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人形

作者: らんと

僕は今まで幾度も怖い思いをしてきた。

大体のことはすぐ忘れてしまうが、これから書いたことは忘れることができない。

今でも鮮明に覚えている・・・・


このことがあったのは、春の穏やかなで暖かい日のことだ。

僕はあんまり暖かいので散歩に行きたくなった。

どこを散歩したらいいのかなと思っていたらなんとなく近所の川に行きたくなったので、その川に行くことにした。

その川でぶらぶら歩いていると、何か落ちているのを見つけた。

なんだろうと思って近寄ってみると、それは人形だった。

その人形は汚く、服は着せてなく、壊れかかっている状態だった。

ただその人形の目だけは汚れておらず、太陽の光を受けて怪しく光っていた。

僕は不気味だったので、そこを避けて散歩を続けた。

人形から遠ざかっていく僕に誰かの視線を感じたが気にせず散歩を続けた。

その散歩の数日後大雨が降った。


次の週僕はまた、川に散歩に来た。

なぜきたかというと、川に気になるものがあったからだ。

人形のことが気になるが、あの大雨で流されてしまっただろうと思っていた。

しかし僕の期待はすぐに消え去ってしまった。

あの人形は流されることなく以前の場所から一寸たりとも変わらないところに落ちていた。

あの人形が落ちていたところは川の流れの近くだったので雨が降ればすぐに流されてしまうはずだ。

しかし人形は以前まったく変わらないところに落ちていた。

人形は、以前よりさらに汚くなっていたが、目は以前より怪しく、不気味に光っていた。

しかもその目は僕を見ていた。

僕は人形と目が合った瞬間寒気を覚え、体が凍りつき動かなくなってしまった。

動けない。逃げたいが体が動かない。人形が笑った。邪悪な笑みだ。僕は恐ろしさのあまり目をつぶった。目を開けた。人形は笑っていなかった。笑う前の時の表情だ。

そのとき僕はもう動けるということに気がついた。僕はすぐに逃げた。全速力で逃げる。

誰かが後ろから追ってくるような気がした。しかし僕は振り返らなかった。無我夢中に逃げた。

家に着いた。僕はすぐに自分の部屋に入った。部屋の中で震えていた。

1時間程たった。ようやく震えが止まった。僕はもう大丈夫だと思い部屋から出た。

その後はいつもと変わらない1日をすごした。



あれからかなり経ったが特に何も起こらずに今に至っている。

しかし今でも人形を見るとこちらを見つめているような気がする。あの日の人形と同じ目で・・・・

また、僕は時々こんな夢を見る。闇の中あの日の人形が浮かんでいて、僕を見つめている。

何もせず、ただただ僕をあの目でジッと見つめている。ジッと・・・・

あの時は本当に怖かった。

皆さんも川に行くときは気をつけてください。

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