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短編

「時効」

作者: hakucv
掲載日:2026/05/24



 そそくさと食器を2つ用意し、金属を叩く甲高い音を響かせる。いつも私の視界には手を合わせる家族がいる。暗い顔で見つめるより、母のような笑顔の方がきっといいだろうに。でも、父や妹は暗い顔をしている。


 季節が1周まわったある日、私の視界が音を立てて割れた。驚きながら前を見つめると、父がその拳を振り上げている。その傍らには怯えた顔で私を見る妹。母は私の隣で笑顔だ。今度は片目が見えなくなった。これはあなたがくれた唯一の目のはずなのに。


 それ以来、私はずっと木を見つめている。木目の年輪を数えるのも、もう飽きてしまった。ねぇどうして?部屋にあるのは、甲高く響く音、いつまでも笑顔の母、供えられた1つの食器。






サクッと読めそうなものを他にも投稿しているので、ぜひ見ていってくださいね。

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