第4話 デジャブ
春の訪れを感じられる今日、結は立てこもり事件が発生した建物の前に立っていた。
建物の中は、とても実家のような温かみのある雰囲気が漂っている。
「えーっと、2階にいるんだっけ……」
結は階段で音を立てないよう慎重に足を運ぶ。しかし――
―――パキッ
「あ……」
思わず大きな物音を立ててしまった。
その音に反応した立てこもり犯が、階段まで姿を現す。
「だ、誰だお前」
「おっと……」
結は瞬時に腰から杖を抜き、拘束魔法を放った。
「ぐっ……なんだこれは……」
「おー、出来た」
魔法が思い通りに決まったことに、結は少し安堵した。
「おい、俺をどうする気だ」
「逮捕ですよ」
結は杖の力を使い、立てこもり犯を軽々と持ち上げ、外へ連れ出す。
「あの〜……これ、どうすればいいですか……」
警察官たちは、結が迅速に片付けた手際に唖然としていた。
「あ……えっと、そこでいいです……」
一件落着した結は、現場を後にし、秋田支局へと徒歩で戻った。
「は〜…やっと事務作業に戻れる……でも、やっぱり現場のほうが性に合ってるな」
結は事務室での作業に向けて気を引き締め、長い一日を終えるべく仮眠室へ向かった。
21時頃、仮眠室に到着すると、結はドアを開け、そのままベッドへ飛び込む。
「はぁ〜…やっぱりベッドは最高〜…」
長時間の現場対応と事務作業で疲れた体を、ゆっくりと休めた。
しばらくしてお腹が空いてきた結は、外に出かけた。
少し歩いたところで、結は視界に入ったラーメン店の扉を押し開け、中に入った。
店内は暖かく、湯気とスープの香りが鼻をくすぐる。
「ふぅ……暖かい……」
席に着くとすぐにメニューを開いた。
「えーっと……味噌ラーメンでいいか……」
ぱっと注文を済ませ、しばらくするとラーメンが届いた。
「いただきます」
熱々のラーメンを口に運ぶと、疲れた体にじんわりと染み渡る。
「あ~……疲れた体にしみる……」
あっという間に完食し、結は満足そうにため息をついた。
「ふぅ……ごちそうさま」
会計を済ませて店を出ると、外には少し雪が舞っていた。
「あ、デジャブが……」
青森でのあの出来事が、頭にふとよぎる。
「油断は禁物……」
結は警戒を強め、慎重に支局へと帰路についた。
次回に続く....




