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空舞う箒の巡遊譚  作者: あすへ
第九章 東北・北陸巡遊
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第3話 秋田での初仕事

朝日が秋田の街を照らす、午前6時30分。


結は 秋田県立美術館 の横を、一人すたすたと歩いていた。


「結構ツルツルするな……またこけそう……」


三月とはいえ、路面にはまだ氷が残っている。

瀬戸内育ちの結にとって、この感覚はどうにも慣れない。

骨折の記憶がよぎり、自然と歩幅が小さくなる。


やがて時刻は午前7時。


結は 秋田駅 西口駅前広場に立っていた。


通勤客が増え始め、街がゆっくりと動き出す時間。


胸騒ぎは、すぐに現実となった。

駅前のバスが魔力異常で暴走しかけたのだ。


結は即座に制御魔法を放ち、エンジンを停止。

被害はゼロ。


「ふぅ……初めてこの魔法使ったな……」


だが、安堵する間もなく次の連絡が入る。


――立てこもり発生。


「えぇ……今度は立てこもり……」


朝の午前3時から外を動き回っている結の体は、すでに芯まで冷えていた。

今すぐカイロでも握りたい気分だ。


それでも任務は任務。

結は足早に現場へ向かった。


規制線の向こうには複数の警察官。

空気は張り詰めている。


「状況と……人質はいますか?」


声は落ち着いているが、内心では“いないでほしい”と強く願っていた。


「30代の男が1名で立てこもっています」


「そうですか。」


人質はいない。

それだけで難易度は大きく変わる。


「あの、突然で申し訳ないんですが、突入してもらうことってできますか?」


警察官は淡々と告げた。


「えぇ、いいですよ。」


結もまた、淡々と答える。


木造二階建ての家。

窓は閉まり、内部の気配は重い。


結は深呼吸をひとつ。

杖を握り直す。


「――できるだけ、傷つけずに。」


小さく呟き、音を殺して玄関へと歩み寄る。


冷え切った空気の中、静かに扉が開いた。


秋田での一日は、まだ終わりそうにない。


次回に続く....

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