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第12話 いざ青森へ
雪がパラパラと降り出した10時頃、結は室蘭市の上空を飛んでいた。
「今日中には青森に入れるかな?」
北海道での出来事を思い返しながら、洞爺湖町、長万部町、八雲町と南下していく。寂しさを感じつつも、砂浜でひと息つき、再び空へ舞い上がった。
日は西へ傾き、冷たい風が体力を奪う。
「ちょっとお腹が空いたな…いや、我慢我慢。」
そう言い聞かせながら飛び続け、ついに津軽海峡へ差しかかる。
だが――
「うわっ…!」
海の上で待ち受けていたのは、容赦のない強烈な向かい風だった。
「くっ…負けるか…!」
箒に込める魔力を最大まで高め、姿勢を低くして突き進む。荒れる風に何度も体を持っていかれそうになるが、それでも前へ。
どれほど飛び続けただろうか。
やがて、暗くなり始めた空の向こうに陸地が見えた。
「……見えた!」
津軽海峡の暴風を耐え抜いた結は、ついに青森県大間町へと辿り着いた。
箒からゆっくりと降り立ち、肩で息をする。
「はぁっ…はぁっ……つ、着いた……」
足元の大地を踏みしめる。
振り返れば、海の向こうに北海道の影がうっすらと浮かんでいる。
「ほんとに渡ってきたんだな……」
達成感と、少しの寂しさが胸に広がった。
冷たい潮風が頬を撫でる。
それでも今は、その風さえ心地よく感じられた。
次回に続く....




