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空舞う箒の巡遊譚  作者: あすへ
第八章 北海道巡遊(後編)
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第11話 苫小牧で食べた物

真っ白に染まる大地の上を、悠々と舞う一人の魔力保安官がいた。


彼女の名は神代結。現在、北海道を巡回している。


「もうすぐ、苫小牧市か…結構近かったな。」


結がお世話になったフミさんの家から、苫小牧市までは箒でおよそ2時間の距離だった。


「にしても…やっぱり北海道って広いですね…」


改めてその大きさに驚きながら、結は空を進んでいく。


やがて市街地がはっきり見えてくる。


安全な場所を確認すると、結はゆっくり高度を下げ、人の目につきにくい場所へと着陸した。


「よし、到着。」


軽く背伸びをしてから、背負っていたカバンの位置を直す。


向かった先は、事前に予約していた市内のホテルだった。


苫小牧市内・ホテルロビー。


自動ドアが開くと、外の冷たい空気とは対照的に、暖かな空気が結を包み込んだ。


「暖かい...」


思わず肩の力が抜ける。


フロントに向かい、身分証を提示する。


「魔法管理庁の神代です。予約しています。」


「神代様ですね。お待ちしておりました。」


手続きはすぐに終わり、カードキーを受け取った。


「こちらがお部屋になります。ごゆっくりお休みください。」


「ありがとうございます。」


エレベーターに乗り込み、部屋の階へ。


扉が開き、部屋に入った瞬間——


「はぁ〜...やっと休める...」


荷物を床に置き、そのままベッドへ倒れ込んだ。


ふかふかの感触に、思わず顔が緩む。


「最近、色々ありすぎたな...」


吹雪での落下、負傷、誘拐、そして玲奈との再会。


静かな部屋の中で、それらを思い返す。


「でも…悪いことばかりじゃなかったか。」


フミさんの優しさや、懐かしい人との繋がりを思い出し、少しだけ心が温かくなった。


すると——ぐぅ、と小さくお腹が鳴る。


「……そういえば、ちゃんとしたご飯まだだった。」


ちらっと、時計を見ると、12時頃。


「せっかくだし、苫小牧っぽいもの食べたいな。」


ベッドから起き上がり、カーテンを開けると、港町らしい景色が広がっていた。


「海の街か…魚とか美味しそう。」


結はコートを手に取る。


「よし、少し街を歩いてみよう。」


こうして結は、束の間の休息と新しい街の空気を感じるため、再び外へ出るのだった。


しばらく市街地を歩いていると、いい感じのカレー店を見つけた。


「カレーか…悪くないね。」


店の扉を開けた瞬間、スパイスの効いた香りがふわりと漂ってくる。


「あぁ〜…いい匂い…」


席に座ってメニューを開く。


どうやら「ホッキカレー」というものが苫小牧のご当地グルメらしい。


「ホッキカレーか…せっかくだし、これにしよう。」


注文を済ませ、しばらくして運ばれてきたカレーは、見るからに美味しそうだった。食欲をそそる香りに、思わず頬が緩む。


「いただきます。」


早速一口。


「うま〜…」


中に入っているホッキの身は柔らかく、それでいてコリコリとした食感があり、バターの風味ともよく合っていてとても美味しい。


数分後、カレーをあっという間に完食した結は、満足そうに息をついた。


「ふぅ…ごちそうさま。」


その後、お会計を済ませて店を出る。しかし店内がとても居心地のいい温度だったため、外へ出るのを少し躊躇してしまった。


「さ、さむ…やっぱりこうなるか…」


凍えることは、もう分かりきっていた。


足早にホテルへ戻ってきた結は、ベッドに飛び込んだ。


「暖かい…ずっとここにいたい…」


ぼんやりとそんなことを思う。


この日はホテルでゆっくり過ごすと決め、結は久しぶりの休息を味わった。


翌日。


支度を終えた結は、ホテルの外で箒を手に立っていた。


「さて、今日で北海道とはお別れか…ちょっと寂しくなっちゃうな。」


結は箒に跨り、魔力を込める。


そして、白い大空へと飛び立っていった。


次回に続く....

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