第3話 くしゃみ
凍えるような朝。
結は午前6時に目を覚ました。
「ふぁ〜...よく寝た。」
眠い目を擦りながら顔を洗い、歯を磨く。
その後、食堂で朝食をとり、静かな朝の支局で出発の準備を整えた。
次の目的地は、帯広。
荷物をまとめ、厚手の上着を羽織った結は、箒に跨る。
「よし、行こう。」
釧路の空へとふわりと浮かび上がり、結は東へと飛び立っていった。
釧路を飛び立って少しした頃、白糠町上空。
「さっむ...それに、昨日ちょっと買いすぎたかな...」
小さくしたとはいえ、カバンはパンパンだった。
少し困った顔で、結は下を見下ろす。
「もうちょっと縮めてみるか...」
そうして結は、白糠町にある高校の近くの公園へと降り立った。
雪の上にブルーシートを敷き、カバンから荷物を取り出す。
「さ、頑張って縮めるとしますか。」
腰に下げた杖を取り出し、荷物に向けた。
「よし、準備完了……あ、くしゃみがで……クション!」
くしゃみと同時に魔法が暴発。
小さくなるはずの荷物は、逆にどんどん大きくなってしまった。
「あちゃ~...ブルーシートせっかく敷いたのに、はみ出ちゃった...」
するとそこへ、小学生くらいの男の子たちが現れた。
「うわ~。すっごく大きな、パジャマだ。」
その一言に、結は固まる。
「え、パ、パジャマ!?
ちょ、ちょっと見ないで〜!」
顔を真っ赤にしながら、慌てて子供たちを追い払った。
今度は、パトロール中の警察官がやってきた。
「あの。何をしているんですか?」
結は振り返り、苦笑い。
「え、はい、ちょ、ちょっとね。ハハハ...」
警察官は、結の服にある《魔法管理庁》の文字に気づき、同じく苦笑した。
「あ、あぁ...そう、ですか...ハハハッ...」
「さ、さてと。気を取り直して。えい。」
今度は魔法は成功し、荷物はきちんと小さくなった。
「ふぅ...これでも私、主席だったんですけど...」
小さく独り言を呟きながら、結は荷物をまとめ直す。
荷物を片付けた結は、カバンを背負い、箒にまたがった。
「さてと、行きますか。」
そう言って、ふわりと宙へ浮かび上がる。
白糠の街並みが遠ざかり、眼下には一面の雪景色。
結は再び、北海道の空へと飛び立っていった。
次回に続く....




