第12話 ピリついた空気
ピリついた空気が、静かな住宅街に漂っていた。
結は、これ以上誰かがこの道を通らないことを、心の中で強く願う。
「杖を下ろしなさい!」
男に向けて、大声で警告を放つ。
次に攻撃してきたら、その瞬間に魔法で拘束するつもりだった。
(ここで、あまり戦闘はしたくないな……)
この場所で強力な魔法を使えば、周囲の住宅に被害が及ぶかもしれない。
子供も多く住む地域だ。被害は、絶対に避けたかった。
しばらく、張りつめた睨み合いが続いた。
そのとき――男が、攻撃の構えを見せる。
結は一瞬の隙を突き、拘束魔法を放った。
紫色の丸い光球が男の腕と足へと飛び、見事に命中する。
「くっ……動けない……」
両手両足を縛られた男は、雪の積もった道に倒れ込んだ。
「南が丘町の住宅街にて、容疑者を確保」
結は業務用の携帯端末を操作し、状況を共有する。
ほどなくして、周辺を巡回していた保安官たちが集結し、男はそのまま連行されていった。
「ふぅ……冬なのに、手汗びっしょり……」
大きく息をついた結は、その足で紋別支局へと戻った。
支局に着くと、休む間もなく荷物をまとめ、箒に跨る。
「いつも思うけど……この仕事、結構ハードだよな……
まあ、その分、給料はいいけど……」
寒空の下、少しだけ愚痴をこぼしながらも、結は釧路市へ向けて飛び立っていった。
箒は北の空を切り裂くように進み、次の街へと彼女を運んでいく。
次回に続く....




