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空舞う箒の巡遊譚  作者: あすへ
第六章 東北巡遊
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第2話 魔力犯罪

自由行動を終えた二人は夕方頃、郡山支局に戻ってきた。


「先輩、楽しかったですね!また行きましょうよ!」


「うん、今度行こうか。」


「絶対ですよ!」


「はいはい。」


そんな会話を交わしていると、突然、結のスマホに通知が届いた。


「なんだろう…」


結は内容を確認すると、すぐに玲奈に準備を促した。


「玲奈、準備して。」


「え、先輩?突然どうしたんですか?」


状況が分からず戸惑う玲奈に、結は落ち着いて答える。


「とりあえず、準備しながら話そう。」


二人はすぐに準備室へ向かい、装備を整えた。


「いい玲奈。これから向かうのは立てこもり事件の現場。警察でも手に負えず、魔法管理庁に応援要請が来たの。」


「でも、警察には銃が…」


「それでも対応できないくらい、危険な事件ってこと。犯人は魔法を使って警察と交戦しているらしい…」


「先輩、私たち大丈夫ですか…?」


玲奈が不安げに尋ねる。


「大丈夫。私がいるから。」


「先輩…」


その言葉に、玲奈は少し安心した。


郡山市内・住宅街


現場に到着した二人は、規制線の中に入っていった。


「先輩、警察から聞いたんですけど、中に人質はいないらしいです。」


「ありがとう、玲奈。じゃあ、行こう。」


結は腰に下げた杖を手に取り、建物に近づいていく。


「犯人は二階にいるね。」


「先輩、そんなことまで分かるんですか?」


「まあね。」


二人は建物の中へと足を踏み入れた。


「結構広い家だね…」


そのとき、立てこもり犯が現れた。


「お前ら誰だ!」


「魔法管理庁です。」


結が答え、杖から拘束の魔法を放つ。


拘束された犯人は身動きが取れず、観念して大人しくなった。


「先輩…意外とあっさり終わりましたね…」


「まあね…準備の時は相手の実力が分からなかったから、ちょっと心配だったけど。」


二人が犯人を外に運ぼうとしたそのとき、背後から魔力弾が結に向かって飛んできた。


結はギリギリで避け、無事だった。


「危ない…まだいたのか。」


実は犯人は二人おり、一人は魔力を潜め、気配を消していたのだ。


「くらえ!」


今度は玲奈に向かって魔力弾が連射される。


「玲奈、危ない!」


結が叫ぶと、玲奈は防御魔法で攻撃を防いだ。


「ふぅ…先輩、なんとか防げました。」


「よかった…」


結は安心するとすぐに杖を向け、犯人に警告した。


「その杖を捨てなさい。」


「誰が捨てるかよ。」


犯人が攻撃しようとした瞬間、結は杖から小型の魔力弾を放ち、犯人の杖を破壊した。


「えぇ、嘘だろ!」


「玲奈、拘束を!」


「は、はい!」


二人は犯人を制圧し、外に出て警察に引き渡した。


「先輩の言った通り、パパっと終わりましたね…」


「ま、相手が弱かっただけ…かな?」


二人はそんな会話をしながら、郡山支局に戻った。


翌日


郡山支局・仮眠室


「先輩、昨日の出来事、新聞に載ってますよ!」


「どれどれ…」


写真には、建物から犯人を連れ出す結の姿が写っていた。しかし結の目が止まったのは、記事の中で立てこもり犯が大きな魔力犯罪組織の実行役だと書かれている箇所だった。


「玲奈、ちょっと行ってくる。」


「え、先輩!午前中からどこに行くんですか?」


玲奈が問いかける間もなく、結は部屋を出ていった。


玲奈は考えていた。「追ってみよう…」しかし結はそれを知らない。



福島県・天栄村


「この倉庫か…」


木の陰から、玲奈が様子を見ている。


(なんであそこに玲奈がいるんだろう…?)


結は玲奈に気づいていたが、あえて知らないふりをした。


「お邪魔しま~す。」


結は倉庫の扉を壊し、ズカズカと中へ入っていった。


「先輩…扉、どうするんですか…?」


その後、1時間ほど、倉庫の中で激しい物音が響いた。


「あ、先輩が出てきた…」


結はボロボロの姿で、倉庫から多数の犯罪者を連れ出してきた。


「先輩!」


つい声をかけてしまう玲奈に、結は少しビクッとしたが、すぐに彼女を見た。


「玲奈、たくさん捕まえちゃった。」


「先輩、ボロボロですね…」


「激しく戦ったからね。」


玲奈は、結が多数の犯罪者を相手にしても、傷が頬の切り傷だけだったことに驚きを隠せなかった。


「じゃあ、後は警察に引き渡すから、先に帰ってていいよ。」


「はい…先輩も気をつけてください…」


そう言うと、玲奈は箒を呼び出し、帰っていった。


郡山支局・事務室


結が戻ると、玲奈はすでに書類整理をしていた。


「玲奈、ただいま。警察への引き渡しは終わったよ。」


「おかえりなさい、先輩。」


結は少しだけ肩の力を抜き、デスクに向かった。


その時、パソコンの画面に新たな通知が表示される。


「…これは?」


結が画面を確認すると、魔力犯罪組織の情報がさらに詳細に上がっていた。どうやら今回の事件は氷山の一角で、組織は国内だけでなく国外にも拠点を持っているらしい。


「玲奈、この件、もっと調べる必要があるかも。」


「え…私も行くんですか?」


「もちろん。私一人じゃ危ないし、玲奈と一緒に動くよ。」


玲奈は少し戸惑いながらもうなずく。結に守られる立場から、今度は共に戦うパートナーとして動くことを意識し始めていた。


数日後・福島県・山間の隠れ家


結と玲奈は情報を頼りに、組織の拠点と思われる山間の倉庫に潜入した。


「ここが怪しいな。」結は小声で言い、周囲を警戒しながら進む。


「先輩、外の警戒はどうしますか?」玲奈が尋ねる。


「まず内部の偵察。慎重にやろう。」


二人は倉庫の影に身を潜め、内部の様子をうかがった。中では数人が、不審な物資を扱っているのが見える。


「…想像以上に規模が大きい。」玲奈の声に、結も軽くうなずいた。


「覚悟を決める時が来たね。玲奈、後は任せた。」


玲奈は杖を握りしめ、緊張の中で息を整える。二人の間に言葉は必要なかった。目線だけで通じ合い、作戦を開始する。


結がまず静かに倉庫の扉を開き、影から一人ずつ魔力使いを無力化していく。玲奈も防御魔法と拘束魔法でサポートする。


「先輩…すごい…」


「今は感心してる暇はないぞ〜。」


一通り内部を制圧すると、二人は倉庫の奥にいた組織の幹部を発見した。


「ここで終わらせる。」結の目は冷たく光る。


幹部は少し笑いながら立ち上がった。


「やっと来たか、魔法管理庁の2人…だが、我々の計画はまだ始まったばかりだ。」


結と玲奈の心に緊張が走る。戦いの先には、今まで以上の危険が待ち受けていた。


次回に続く...

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