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空舞う箒の巡遊譚  作者: あすへ
第五章 関東巡遊(後編)
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第3話 待機

管区本部襲撃事件から二週間後、結は東北管区本部の医務室で医師の最終確認を受けていた。


「うん、大丈夫だね。今日から通常業務に戻っていいよ」

「……ありがとうございます」


医務室を出ると、廊下の壁にもたれた七海が手を振ってきた。


「やあ、思ったより元気そうじゃないか」

「七海さん。はい、今日から復帰していいそうです」


「そっか、それを聞いて安心したよ」

七海は軽く笑ったあと、真面目な声に戻る。

「で、本庁から連絡だ。結と玲奈は、しばらく水戸支局で“待機命令”だ」

「……待機、ですか」


七海は結の表情を読み取り、冗談めかして肩をすくめる。

「そんな顔するなって。待機といっても、鍛える時間なら山ほどある。むしろ好都合だよ」


結は一瞬考え、ふっと小さく笑った。

「……じゃあ、そういうことにしておきます」

「よし。そのくらい前向きなら十分だ」


七海の声には、安心と期待が混ざっていた。


---


その後、水戸支局に戻った結は、入り口で先に戻っていた玲奈と再会した。


「先輩、おかえりなさい!」

「ただいま、玲奈」


「ということで、先輩の写真、撮ってもいいですか?」

「えぇ……まあ、いいよ」

「はーい!撮ります!」


パシャッ。

「おぉ!今までで最高の笑顔です!!」

「そう?せっかくだからね」


そんなやり取りをしていると、七海が廊下に現れた。


「二人とも、そんなところで話していないで、こっちに来なさい」

「はぁい……」


玲奈は少し残念そうに口を尖らせた。

二人は七海に連れられ、事務室へ向かう。


---


「今日からしばらく、事務作業をしてもらうよ」

「マジですか?」

結は少し残念そうに聞く。


「マジ。でも、訓練の時間はちゃんと取れるから安心して」

「やっぱりそう言いますよね……」


七海は少し間を置き、次の指示を出す。

「それと、住む所なんだけど……仮眠室が足りなくてね。玲奈と共同でマンションに住んでもらえるかな?」

「まあ、いいですよ」

「え!先輩と一緒に住めるんですか!やった〜!」


玲奈は思いっきり喜び、飛び跳ねる。

「はい、これが部屋の鍵と住所」

「ありがとうございます」


結は小さく微笑み、少しだけ心が軽くなるのを感じた。


---


二人は荷物を持ってマンションに到着。

部屋はこぢんまりとしているが、十分に落ち着ける空間だった。


「先輩、今日はゆっくりしましょうね」

「うん、そうだね……」


玲奈は窓際の椅子に座り、外の景色を眺める。

結はソファに腰を下ろし、深く息をつく。


「ふぅ……やっと一息つける」

「先輩、魔力を使わなくていいって最高ですよね!」


二人は少し笑い合った。


その後、洗濯を始めた二人。


「ねぇ、先輩、この洗濯ってどうします?」

「うーん、手洗いで軽くやるくらいで十分だと思う」

「了解です!じゃあ私がやりますね」


玲奈は小さな洗濯物を手に取り、手際よく洗う。

結はソファで魔力異常探知機の確認をしつつ、洗濯の進み具合を眺める。


「先輩、今日は魔力の消耗少なかったですよね」

「そうだね。今日は本当に落ち着いた一日だった」

「これならゆっくり休めそうです」


洗濯物を干し終えた玲奈は、結に向かって笑う。

「先輩、明日からまた支局で仕事ですけど、一緒なら頑張れますね!」

「うん、私もそう思う」


夕食はコンビニで買ったサンドイッチを二人で広げる。


「こうして何も考えずに食べるのも悪くないね」

「先輩、たまにはこういう日も大事ですよ!」


軽い会話をしながら、二人は笑顔で食事を楽しむ。

部屋には魔力異常探知機があるが、今日は静かで平和だった。


食後、結はソファで少し休み、玲奈は窓の外の夕焼けを見つめる。


「先輩、明日からまた仕事ですよね……」

「うん、でも無理はしないようにしよう」

「はい!先輩と一緒なら大丈夫です!」


結は微笑み、心の中で思う。

「明日からまた忙しくなるけど、玲奈となら乗り越えられるかも」


窓の外で夕日が沈み、部屋はオレンジ色に染まる。

二人だけの穏やかな時間が静かに流れ、心を休めるひとときとなった。


夜、二人は軽く魔力の管理を行う。


「先輩、今日はもう使わなくていいですよね?」

「うん、もう大丈夫」

玲奈は小さく魔力を整え、手をかざして微調整する。

「ふぅ、落ち着きました」

「ありがとう。安心できるね」


結はその様子を見ながら、微笑んだまま毛布を整える。

「おやすみ、玲奈」

「おやすみなさい、先輩」


隣で静かな寝息が響き、マンションでの初めての共同生活の夜は、平穏に過ぎていった。


翌朝、カーテン越しの光が部屋に差し込む。

玲奈はまだ布団にくるまって寝ていたが、結はそっと起き上がり、軽く伸びをする。


「よく寝たな……」


昨日の疲れは少し残っているが、今日から支局での業務が始まる。

結は深呼吸を一つして、静かに心を整える。


「さて、玲奈と一緒に仕事頑張ろう」


隣で寝ている玲奈の寝顔を見つめ、結は小さく微笑んだ。


朝食を食べた二人は、いつもとは違うスーツに着替える。


「先輩、なんかいつもと違う服で変な感じがしますね」

「うん、でもすぐ慣れると思うよ。よし、行こうか」

「はい!」


次回に続く....

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