第6話 休暇(後編)
バスに乗り、駅前に向かった。
近くにいい感じのカフェがあったためそこに入った2人。
「ねえ先輩、せっかく休暇なんですし、もっとどこか行きません?」
玲奈が椅子をくるりと回しながら笑顔で言う。
「行くって…どこに?」
結はホットココアを飲みながら目を瞬かせた。
「ほら、宇都宮の遊園地といえば ― とちのきランド!」
玲奈がスマホを掲げ、画面には観覧車の写真。
「あ、遊園地かぁ…いいかも。今日は天気いいし。」
結は思わず微笑む。
「やった!決まり!せっかくですし、写真いっぱい撮りましょうね先輩!」
玲奈のテンションが上がる。
「写真はほどほどでお願い、昨日のイルミネーションの時の写真まだ削除してないでしょ?」
「えっ、なななな何のことですか〜?!」
玲奈はあからさまにスマホを背中に隠す。
「(絶対まだ持ってる…)」
結はため息をつきつつも、どこか嬉しそうだった。
遊園地に着くと、園内は子どもたちの笑い声と音楽が響き、カラフルな風船が空に揺れていた。
「観覧車からの景色、絶対すごいですよね!行きましょう!」
玲奈が手を引っ張る。
「ちょ、ちょっと落ちつ— わっ!」
二人は観覧車に乗り込んだ。ゴンドラがゆっくりと上昇していく。
「うわぁ…街が全部見える…!」
玲奈は目を輝かせながら窓に張り付く。
「ほんとだ。こうやって見ると、私たちの守ってる世界って広いね。」
結が小さく呟くと、
玲奈はふっと振り返って笑った。
「はい、いい表情です先輩。撮ります。」
「ちょ、いまはダメって言ったじゃん!!」
しかしシャッター音は容赦なく鳴った。
「やっぱりカメラ向けた時の先輩の顔、好きなんですよね。強そうなのに優しい感じ。」
玲奈の言葉に、結は一瞬言葉を失い、視線をそらした。
「…もう、ほんと勝手なんだから。」
でも頬はわずかに赤い。
観覧車が頂上に差し掛かり、宇都宮の街並み、そして遠くの水戸の方向まで見渡せた。
「この景色、守れてよかったですね。」
玲奈が静かに言った。
「うん。…またバディが組めたら一緒に頑張ろう。」
結が笑う。
「もちろんです!その時はまた写真撮りますけど!」
「そこは撮らなくていいの!!」
二人の声がゴンドラに響き、温かな休暇の時間が流れていった。
その後も2人は色々なアトラクションに乗りホテルに戻ってきた。
「ふ~…今日も歩き回ったなぁ…」
結はホテルの部屋に荷物を置き、椅子に座って靴を脱いだ。
「先輩、お疲れ様です!でもすっごく楽しかったですね!」
玲奈は荷物を置くやいなや、窓から見える夜景に目を輝かせた。
「…うん、久しぶりの楽しい休日だっね。」
結も少し笑みを浮かべる。
玲奈がスマホを取り出す。
「ねえ、せっかくなので、今日撮った写真まとめましょう!先輩のいい笑顔いっぱい撮れましたよ~!」
「ちょ、まさか全部見せる気?」
結は慌てて手を伸ばす。
「見ますよ~!ほら、観覧車のやつとか、ジェットコースターで風に飛ばされそうなやつとか!」
玲奈は画面を見せながら、結の顔を覗き込む。
「ちょ、恥ずかしいって…!」
結は顔を赤くしながらも、スマホを覗き込む。
「でも先輩、自然な表情が一番いいんですよ。強くて頼れる先輩なのに、楽しそうな瞬間もあるっていうのが伝わるから。」
玲奈はにっこり笑った。
「…うん、ありがとう」
結は少し照れくさそうに微笑む。
二人はその後、ホテルの露天風呂に向かった。温かいお湯に浸かると、体の疲れが一気に溶けていく。
「はぁ…気持ちいい…」
結は目を閉じ、温かさに浸る。
「玲奈、もう写真は撮らないよね?」
結は湯気の向こうから小声で確認。
「…はい、今日はもう撮りません。」
玲奈は小さくうなずく。
二人は湯に浸かりながら、今日一日のことをゆっくり振り返った。
「先輩、今日ほんとに楽しかったです!」
玲奈は笑顔で言う。
「うん、私も楽しかったよ…ありがとう、玲奈」
結は心からの笑顔で答えた。
お風呂から上がった後、二人は部屋に戻り、布団に横になる。
「それじゃあ、玲奈…そろそろ寝ようか」
「はい、おやすみなさい、先輩…」
「おやすみ…」
窓の外には宇都宮の夜景が広がり、二人に穏やかな眠りを与えていた。
次回に続く....




