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空舞う箒の巡遊譚  作者: あすへ
第四章 関東巡遊 (前編)
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第3話 風邪(後編)

翌日 ―― 水戸支局 仮眠室


結は昨日の無茶のせいで体調が悪化し、寝込んでいた。


「はぁ…はぁ…頭が痛い…鼻も詰まってる…うう…」


そこへノックもなく突然ドアが開く。


「先輩!助けてください!!」


入ってきたのは結の魔力保安学校時代の後輩・玲奈。

2週間前に水戸支局へ配属され、茨城県の異常監視を担当している。


「なに…なに!!」


突然の声に驚き、体調不良も一瞬忘れて飛び起きる結。


「本庁に提出する書類が今日までなんです!でも七海さんも支局長もいなくて、量が多すぎて整理できないんです!助けてください!!」


「なんだ…書類か…」


ただの書類だと分かって安心した瞬間、結は再び布団へ倒れ込んだ。


倒れ込んだ結を、玲奈が涙目で見つめる。


「うっ…先輩…」


「……はぁ。わかった、持ってきて…」


「はいっ!!」


勢いよく返事をし、玲奈は大量の書類を持って戻ってきた。

ファイルが10冊。


「えぇ…ちょっと多くない…」


「こ、これで半分です…!」


「半分でこれ!?」


結は頭を抱えつつ、パソコンとペンを準備して椅子に座った。


「じゃあ…始めるよ…」


――30分後


「先輩、そこ“魔力障害報告書”です。こっち“魔力異常報告書”です」


「似すぎなんだよね···名前がぁ…ううっ頭痛が増す…」


――さらに30分後


「先輩!ありがとうございます!本当に助かります!」


「褒めてないで手も動かして…」


「はいっ!」


――さらに1時間後


「玲奈、それ去年の年だよ…」


「え!?え!?いままで全部それで···」


「全部修正だね…」


「うそでしょー!!」


――さらに1時間後


薬の切れ熱が上がり、結の顔は赤く、呼吸も荒い。


「はぁ…はぁ…字が二重に見えてきた…」


「先輩、もう私だけで続けますから休んでください!」


「だめ…指示しないと間違える…」


「ぐっ…それは…そう…なんですよね…」


休みたい意志と責任感のせめぎ合いのまま作業は続いた。


――そして3時間後


「はぁ…お、終わった…頭がくらくらする…」


「先輩!ありがとうございます!!」


仕上がった書類を見た玲奈はニコニコ。

一方の結は疲労困憊。


「も…もう無理…」


椅子から転げ落ちたが、立ち上がりそのまま布団へ倒れ込む。


「せ、先輩!?大丈夫ですか!?」


「もう…動けない…」


玲奈は布団を掛け、深く頭を下げた。


「先輩、本当にありがとうございました…!」


「う…うん…」


結はそのまま眠りに落ちた。


玲奈は新しい冷却剤を結の額にそっと置き、静かに部屋を後にした。


――2時間後


七海が支局へ帰ってきた。


「ふぅ…疲れた…結の体調、もう戻ったかな?」


仮眠室のドアを開けると、爆睡している結の姿。


「うわ、だいぶぐったりしてるじゃん…」


魔法で何があったのか確認すると――


「……書類10冊?体調悪いのに? あの子ほんと無茶するよ…」


七海はため息をつきつつ微笑み、眠る結の頭をそっと撫でた。


「お疲れさま。よく頑張ったね」


そう言って部屋を後にした。


次回に続く....


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