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「ローマの休日」のスローリーディング その14

◎場面6 その3


「アメリカン・ニューズ・サービス」のヘネシー支社長から見せられた新聞で、自分の部屋で寝ている女がアン王女であることを知ったジョー。

オフィスのドア近くにある電話でアパートの管理人であるジョバンニに電話をする。


(英語のセリフ) 


・ジョバンニ: Pronto?

・ジョー: Giovanni, it's Joe Bradley. Now, listen carefully: I want you to hurry up to my place and see if there's somebody there...asleep.

・ジョバンニ:  A-ha! Say, Mr. Joe, Subito, I look; you wait, Aspetta.

・ジョバンニ: Mr. Joe?

・ジョー: Yeah! Er, yeah, yeah, yeah, tell me, tell me!

・ジョバンニ: Bellisima.

・ジョー: Giovanni: I love you. Now, listen...

・ジョバンニ: Yes, Mr. Joe. A gun? No!

・ジョー: Yes, a gun, a knife-anything! But nobody goes in and nobody goes out! Capito?

・ジョバンニ: Ok.


(私訳) 


・ジョバンニ: もしもし

・ジョー: ジョバンニか? ジョー・ブラッドレーだ。よく聞いてくれ。急いで僕の部屋に行き、誰か、眠っているか、見てくれ

・ジョバンニ: ジョーさんだね。すぐに見てくるよ、お待ちを。 

・ジョバンニ: (ジョバンニが戻ってきて)ジョーさん?

・ジョー: どうだった?

・ジョバンニ: 別嬪さんだ

・ジョー: ジョバンニ、でかしたぞ。よく聞くんだ

・ジョバンニ: 聞いてるよ、ジョーさん。鉄砲? そいつはいかんな

・ジョー: かまわん、鉄砲でもナイフでも何でもいい。誰も部屋に出入りさせるな。分ったか?

・ジョバンニ: 分かった


(ちょっと一言)


風采の上がらない管理人のジョバンニを演じているのはイタリア人俳優のクラウディオ・エルメッリClaudio Ermelli(1892-1964)。

彼は1915~1962年の俳優人生で100本以上の映画に出演した。

「ローマの休日」以外に名前の知られている出演作としては1946年のヴィットリオ・デ・シーカ監督作品「靴みがき」、1960年にソフィア・ローレンが主演した「ナポリ湾」がある。

チャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイドと並んで「世界三大喜劇王」と言われた俳優にバスター・キートン(1895-1966)がいるが、クラウディオ・エルメッリは同時代に生きたこの名優になんとなく雰囲気が似ている。


アパートの管理人の名前であるジョバンニには個人的な思い出がある。

50年ほど前、私はイタリアに一人旅をした。

ローマからナポリに向かう列車で、

「俺はジョバンニ、君は?」

と人なつっこく話しかけてきた若い男はナポリで警察官をしていると言った。

マカロニウエスタン作品などで活躍したイタリア人俳優フランコ・ネロに似た苦み走った二枚目だった。

その日は休日でローマからナポリに帰るところだと言ったが、彼はまさに「ローマの休日」を過ごしての帰りだった。

二人でナポリで下車し、駅を出たところで突然ショルダーバッグから大型のナイフを取り出して「すごいだろ」と言って私に見せ、「いい旅を!」と握手をして去って行ったが、あのナイフを私に見せたのは一体どういう訳だったのだろうか。

謎だ。



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