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「ローマの休日」のスローリーディング その13

◎場面6 その2


アメリカン・ニューズ・サービスの支局長室。

ヘネシー支局長から見せられた新聞で、自分の部屋で寝ている女がアン王女であることを知ったジョー。

慌てて支局長室を飛び出す。


(英語のセリフ) 

・ヘネシー支局長:  Er, don't disturb yourself; I have a copy here. How did Her Highness react to the idea of a European Federation?

・ジョー: She thought it was just fine.

・ヘネシー支局長:  She did?

・ジョー: Well, she thought that there'd be...two effects.

・ヘネシー支局長:  Two

・ジョー: The direct and the...indirect.

・ヘネシー支局長:  Oh, remarkable.

・ジョー: Naturally she thought that the indirect would not be as...direct...as the direct. That is, not right away. Later on, of course, well, nobody knows.

・ヘネシー支局長:  Well, well, well; that was a shrewd observation! They fool you, you know, these royal kids; they've got a lot more on the ball than we suspect. How did she feel about the future friendship of nations?

・ジョー: Youth.

・ヘネシー支局長:  Yep?

・ジョー: She felt that, er, the youth of the world must lead the way to a better.. world.

・ヘネシー支局長:  Hmm-hmm, original. Er, by the way, what was she wearing?

・ジョー: Oh, you mean what did she have on?

・ヘネシー支局長: Well, that's usually what it means. Er, what's the matter, is it a little warm in here for you?

・ジョー: No, no, I just hurried over here.

・ヘネシー支局長:  Oh, naturally, with a story of these dimensions. Did you say she was wearing gray?"

・ジョー: No, I didn't say that.

・ヘネシー支局長:  Well, she usually wears gray.

・ジョー: Oh well, er, it was a...kind of gray.

・ヘネシー支局長:  Oh, I think I know the dress you mean; it has a gold collar

・ジョー: That's the one, that's the one. Yeah, I didn't know exactly how to describe it, but that's it, yeah.

・ヘネシー支局長:  I think you described it very well. -In view of the fact that Her Highness was taken violently ill at three o'clock this morning, put to bed with a high fever, and has had all her appointments for today cancelled en toto!

・ジョー: En toto?

・ヘネシー支局長:  Yes, Mr. Bradley: en toto.

・ジョー: That's certainly pretty hard to swallow.

・ヘネシー支局長: In view of the fact that you just left her, of course. But here it is, Mr. Bradley

・ジョー: Alright, alright; I overslept. It can happen to anybody!

・ヘネシー支局長: If you ever get up early enough to read a morning paper, you might discover little news events -little items of general interest that might prevent you in the future from getting enmeshed in such a gold-plated, triple-decked, star-spangled lies as you have just told me. If I was you, I would try some other line of business-like mattress testing.

・ジョー: Is this the Princess?

・ヘネシー支局長:  Yes, Mr. Bradley, that is the Princess. It isn't Annie Oakley, Dorothy Lamour, or Madame Chiang Kai-Shek. Take a good look at her. You might be interviewing her again some day!

・ジョー: Am I fired?

・ヘネシー支局長:  No, you're not fired. When I wanna fire you, you won't have to ask! -you'll know you're fired!


(私訳) 

・ヘネシー支局長:  いやそれには及ばんよ。ここに写しがある。欧州連邦化について何と答えていた?

・ジョー: 彼女の考えは「賛成」です

・ヘネシー支局長: そう言ったのか?

・ジョー: 彼女の考えでは二つの効果があるだろうと

・ヘネシー支局長: 二つか

・ジョー: 直接的、および間接的な効果です

・ヘネシー支局長: 素晴らしい

・ジョー: 当然ながら間接効果は直接効果ほど…直接的でなく、つまりその…即効性はない。後になって、当然ながら、まあ、その、誰にもわかりませんがね

・ヘネシー支局長: なるほど。鋭い洞察だな。王室はうまくだましている。思ったより頭がいいな。未来における国家間の友好についての考えは?

・ジョー: 若者です

・ヘネシー支局長: ほう

・ジョー: 王女の考えは「世界の若者がよりよい未来をけん引する」です

・ヘネシー支局長: 独創的だ。ところで服装は?

・ジョー: つまり何を着ていたかということですか?

・ヘネシー支局長: それ以外の意味があるか?どうした、ここは暑いか?

・ジョー: いえ、急いで来たので

・ヘネシー支局長: なんせ重要な記事だからな。 服はグレーだと言った?

・ジョー: 言ってません

・ヘネシー支局長: いつもはグレーだが

・ジョー: そう言えば、…グレー系の色でしたね

・ヘネシー支局長: 君が言うのは金の襟がついているドレスか?

・ジョー:それですよ。うまく説明できなくて

・ヘネシー支局長: うまい説明だったよ。(ヘネシー支局長は突然表情を変えて)王女は夜三時に高熱を出して寝込み、今日に予定された行事は全部中止になったというのに

・ジョー: 全部が中止?

・ヘネシー支局長: そう、ブラッドレー君、全部だ

・ジョー: ちょっと信じられないな

・ヘネシー支局長: 君は実際に王女にあったそうだからな。これを見ろ、ブラッドレー君。ローマ中の新聞の一面を飾っているぞ

・ジョー: 分かりました、分かりました。確かに寝過ごしましたよ。でも誰だってやることでしょう。

・ヘネシー支局長: 普段から早起きして朝刊を読む癖があれば、世間が注目するこの記事にも気がついたはずだ。君が言ったような大げさな金ぴかの噓をつかずに済んだのに。私が君なら新しい職でも探すよ。マットレステストのような。

・ジョー: (手渡された新聞を見ながら)これが王女?

・ヘネシー支局長: そうだ、ブラッドレー君。それが王女だ。アニー・オークレーでもドロシー・ラムールでも蒋介石婦人でもない。よく拝んどけ。いつかまたインタビューをすることもあるだろうよ。

・ジョー: 僕はクビってことですか?

・ヘネシー支局長: いいや、違う。クビにする時は聞く必要がないくらいはっきり言ってやる


(チョットひとこと)


①さて、秘書のリッカルディからせしめたサンドイッチを片手にジョーは腹を決めて颯爽と支社長の部屋に入っていく。

この映画が日本で公開された1954年(昭和29年)当時、観客はこの支社長室の場面に少なからず驚いたに違いない。

何故ならジョーは畏れ多くも上司である支社長の部屋にサンドイッチをかじりながら入っていくのだ。

支社長と話している間にもう一口食べ、さらには支社長のデスクに腰を掛ける。

いったいこの不作法は何たることだろう。アメリカではこのような破廉恥行為が許されるのだろうか。

昭和29年当時は言うに及ばず、現代でさえ日本のサラリーマンがこのような態度をとったら人事評価において決定的な汚点を残すことは確実だろう。

ジョーは過去によほどの特ダネをものにしている有能な、ローマ支局においてはスター的な、上司を恐れぬ存在であるか、又は新聞記者としての適性がはなはだしく欠けており、ジョーの態度はクビ寸前の落ちこぼれ社員の居直りのどちらか、と観る者はとるだろう。


②さて、王女の取材から帰って来たばかりだと作り話を並べるジョーに、ヘネシー支社長はいかにも感心したように話を合わせていたが、突然表情を変え、

Her Highness was taken violently ill at three o'clock this morning

(王女は今朝三時に突然発病した)

「よって今日の予定は全てキャンセルされた」、つまり「金ピカ、ゴテゴテ、キラキラ」の嘘を並べるのはいい加減にしろと、他社の新聞をジョーにつきつける。

そしてそこに載っている王女の写真は、まさに昨晩彼の部屋で一夜を過ごしたScrewball(変な奴)である若い女ではないか。

Is this…the Princess?(これが…王女ですか?)

新聞記者人生最大の特ダネがジョーの元に転がり込んできた瞬間だった。


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