「ローマの休日」のスローリーディング その12
◎場面6 その1
翌朝、ジョーが目を覚ますと隣の長椅子で寝ている女の脚が見える。
我に返って急いでカーテンを開けてみると教会の大時計は12時を指している。
まずい、遅刻だ。
ジョーは勤務先の新聞社にタクシーで駆けつける。
(英語のセリフ)
・ジョー:Holy smoke, the Princess interview- eleven forty-five Oh, shut up.
(ジョーは勤務先の新聞社にタクシーで駆けつける)
・会社の同僚:Hi, Joe
・秘書: Good morning, Joe.
・ジョー: Hello, honey.
・秘書: Mr. Hennessy has been looking for you.
・ジョー: Uh-oh. Thanks a lot, hon.
・ヘネシー支局長: Come in.
・ジョー: You've been looking for me?
・ヘネシー支局長: Just coming to work?
・ジョー: Who, me?
・ヘネシー支局長: We start our days at eight-thirty in this office; we pick up our assignments-.
・ジョー: I picked up mine last night.
・ヘネシー支局長: What assignment was that?
・ジョー: The Princess, eleven forty-five.
・ヘネシー支局長: You've already been to the interview?
・ジョー: Well, sure; I just got back.
・ヘネシー支局長: Well, well, well; all my apologies.
・ジョー: 'S alright.
・ヘネシー支局長: Er, this is very interesting.
・ジョー: Nah, just routine.
・ヘネシー支局長: Tell me, tell me: did she answer all the questions on the list?
・ジョー: Well, of course she did. I've got 'em right here, somewhere.
(私訳)
・ジョー: しまった。 王女の記者会見が。 11時45分だっけ。 なんてこった
(ジョーは勤務先の新聞社にタクシーで駆けつける)
・会社の同僚: やあジョー
・秘書: おはようジョー
・ジョー: やあ (ジョーは秘書に近づいて、彼女のコーヒーカップをとる)
・秘書: ヘネシー支局長が探してたわ
・ジョー: そいつはまずいな (ジョーは秘書の机にあったパンをちぎりとる)
ありがとう (支局長の部屋のドアをノックする)
・ヘネシー支局長: 入れ
・ジョー: お捜しで?
・ヘネシー支局長: 今頃出社か?
・ジョー: 私がですか?
・ヘネシー支局長: わが社は8時半始業だ。全員取材の割り当てを…
・ジョー: それは昨夜もらいました
・ヘネシー支局長: 何の仕事だ?
・ジョー: 王女の記者会見ですよ。11時45分の。
・ヘネシー支局長: それに行ってきたのか?
・ジョー: 勿論です。戻って来たばかりですよ。
・ヘネシー支局長: なるほど それは悪かったな
・ジョー: なに、かまいません
・ヘネシー支局長: しかし不思議だな
・ジョー: いいや、ごく普通の事です
・ヘネシー支局長: 王女は質問には全部答えたか?
・ジョー: 勿論。取材のメモはどこかにあるはずです
(チョットひとこと)
①ジョーの英語のセリフより
・「Holy smoke!」は、驚きや感動を表す表現。「なんてこった!」「まさか!」「すごい!」といったニュアンス。
「Holy smoke」の「holy」は「神聖な」、「smoke」は「煙」という意味
「shut up」は、相手に対し「もう聞きたくない」「これ以上話さないでほしい」という気持ちを伝える。
また、この場面のように怒りや苛立ちなども表す。
②ジョーが新聞社「アメリカン・ニューズ・サービス」のオフィスに駆け込むと社長秘書のリッカルディが
「支社長のヘネシーさんが探していたわよ」
と言う。
この場面で私の好奇心はおおいに刺激された。
秘書のリッカルディは自分の机で丁度昼食をとっていたところだが、彼女が今まさに飲もうとしていたコーヒーカップからジョーは一口飲む。
そして彼女の机の上にあったサンドイッチを取り
Thanks a lot, hon.(有難う)
と言って、ちぎって半分をもらう。
この時のリッカルディの態度には嫌がるそぶりも、驚くそぶりもない。自分の飲みかけのコーヒーを他人に飲まれ、飲みかけのそれを戻されて平然とそれを飲むとは
(この二人は出来ている)
と私はにらんだ。
あまつさえサンドイッチまでジョーに素手でちぎられ、その半分を自分の手に戻されて嬉しそうに笑うとは
(この二人の関係は抜き差しならないものだ)
と私は喝破した。
秘書のリッカルディが登場するのはこのシーンだけだが、私の妄想はこの映画が終わった後へと飛躍した。
アン王女との忘れがたい思い出を振り切る様にジョーは記者の仕事に没頭し、ローマ支局において特ダネを次々とものにする。その仕事ぶりが評価され彼はアメリカ本社に呼び戻されるが、それを機会にリッカルディと結婚する。
その後ジョーは社長にまで出世する。同時に自社の新聞に自ら小説の連載を始めるがそのタイトルは「ローマの休日」。
それがベストセラーになり彼は小説家としても世に知られることになる。
その頃、女王に即位していたアンは親善旅行でアメリカにやって来、その歓迎レセプションで30年ぶりにジョーと再会する。ジョーは自作のベストセラー小説「ローマの休日」を彼女にプレゼントし、アン女王はその夜、人知れず微笑みながらその小説を読み、彼女の人生の最高の一日の回想にふけるのだった…。
私の妄想「続ローマの休日」はここで終わる。
私のこのアイデアを誰か実現してくれないかな。




