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「ローマの休日」のスローリーディング その10

◎場面5 その1


タクシーを降りたジョーとアン王女。

ジョーはフラフラするアンを連れて自分のアパートの部屋にたどり着く。

テラスの屋根からは月光がその部屋に差し込んでいる。

千ューリップ型の素敵なランプがともる部屋にベッドがある。


(英語のセリフ) 

〇ジョー: Out of my head.

〇アン: Is this the elevator?

〇ジョー: It's my room.

〇アン: I'm terribly sorry to mention it, but the dizziness is getting worse. Can I sleep here?

〇ジョー:That's the general idea.

〇アン: Can I have a silk nightgown with rosebuds on it?

〇ジョー: I'm afraid you'll have to rough it tonight-in these.

〇アン: Pyjamas!

〇ジョー:Sorry, honey, but I haven't worn a nightgown in years.

〇アン: Will you help me get undressed, please?

〇ジョー:Er...ok. Er, there you are; you can handle the rest.

〇アン:  May I have some?

〇ジョー: No.

〇ジョー:Now look-.

〇アン: This is very unusual. I've never been alone with a man before, even with my dress on. Hm, I don't seem to mind. Do you?


(私訳)  

〇ジョー: (自分の部屋に入って)俺はどうかしているな

〇アン: これはエレベーター?

〇ジョー: 僕の部屋だ

〇アン: このようなことを言って大変申し訳ないのですが、めまいがひどくなってきました。ここで眠ってもいいですか?

〇ジョー: そう考えるのが普通だな

〇アン: バラのつぼみがついた絹のナイトガウンをいただけます?

〇ジョー: (ジョーは自分のパジャマを持ってくる)申し訳ないが、今夜はこれで我慢してもらおう

〇アン: パジャマじゃないの

〇ジョー: 残念だが、君、僕はここ何年もの間ナイトガウンは着たことがないのでね

〇アン: 服を脱ぐのを手伝っていただけます?

〇ジョー: うん、…(アンのスカーフを外してやってから)さあ。あとは自分でやれるだろう

〇アン: (ジョーがグラスの酒を飲むのを見て)私にもいただけます?

〇ジョー: ダメだ!

〇ジョー: ちょっと、いいかね

〇アン: これはとても珍しいことです。私はこれまで男の人と2人きりになったことはありません。服を着た状態でさえ。服を脱いだ状態では、極めて異例のことです。私は構いませんけど、あなたは?


(チョットひとこと)


1:ジョーの部屋に入るなりアンはこう言う。

Is this the elevator?(これはエレベーターですか?)

これにはいささかプライドを傷つけられたジョーは

It's my room.(僕の部屋だ)

ときっぱりと答える。

私でも自分の部屋をエレベーターと間違われたらカチンとくるものな。


2:睡眠剤の影響で自分がどこにいるかを理解していないアンは、眠る為に着替えをしようとしてジョーに言う。

Can I have a silk nightgown with rosebuds on it?(バラのつぼみのついたシルクの寝間着をとってもらえますか?)

ここで私が引っ掛かったのはrosebudsバラのつぼみという単語。

オーソン・ウェルズが監督・製作・脚本・主演の全てを務めた1941年公開のアメリカ映画「市民ケーン」の冒頭とラストシーンを想起したからだ。

この作品は少なからぬ映画関係者から世界映画史上のベストワンとして高く評価されているが、「バラのつぼみ」という言葉を残して亡くなった新聞王ケーンの生涯に関心を持った記者の取材を基にして回想形式で描かれた作品だ。

毀誉褒貶の生涯を送ったケーンは莫大な財産を残しながらも孤独のうちに亡くなるが、整理されて燃やされるケーンの遺品の中に、かつて母親とともに過ごしていた子供時代に雪遊びで使ったソリがあった。そこに描かれていた模様と言葉が「バラのつぼみ」だった。

幼くして彼が失った母の愛情の象徴が「バラのつぼみ」だったのだ。


3:さて、「バラのつぼみのついたシルクの寝間着」の代わりにジョーが彼女に渡したのは自分のパジャマ。

アンはそれを見て

Pajamas!(パジャマじゃないの!)

と喜ぶ。

この喜びようはこの夜、彼女の宿舎となった大使館での伯爵夫人との以下のような会話が布石になっている。

◎アン王女:私は200歳じゃないのよ。どうしてパジャマで寝てはいけないの?

◎伯爵夫人:パジャマですって!

◎アン王女:それもパジャマの上だけで。…何も着ないで寝る人がいるのをご存じ?

パジャマを着たいというアンの夢がエレベーター並みのジョーの部屋でかなったのだ。

ジョーは勿論アンのそんな胸の内など知らず、次のように答える。

Sorry, honey, but I haven't worn a nightgown in years.

(悪いけど僕は何年もナイトガウンを着てないんでね)



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