SS5.4_コンバット・クラッシュ・コロシアム ~CCCの猟犬~
パンジャンドラムとかいう、珍兵器にして欠陥兵器に撃沈するダイナとJJ。
一方で、セツナは得物を持たないクラスであったため、下手にパンジャンドラムを刺激することなく、戦車まで近づいて来た。
‥‥彼も武器を握っていたら、きっと2人と同じ末路を辿っていたであろう。
走る欠陥兵器を後ろに引き連れて、あとはゴールを決めるだけ。
「――はい! ――ほい!」
背後から迫る2機の車輪。
1機目をサイドフリップで躱し、2機目をフロントフリップで躱す。
パンジャンドラムはランドシップに直撃し、オウンゴールを決めた。
2機目の躱した前宙で、ランドシップの上部に飛び乗った。
パンジャンドラムの連続被弾で、動きが鈍った戦車のハッチを掴み、持ち上げる。
「うぐぐぐぐ――ッ!!」
こういう、堅い装甲に覆われている手合いには、必ず弱点がある。
そして、こういう手合いの弱点は、装甲よりも遥かに脆弱な内装部分!
それがお約束。
全身に力を込めてハッチを引き上げると、ほどなくして蓋が開いた。
ハッチの中に人影は見ないが、攻撃のチャンス。
視界の隅で、特別なアクションが可能であることを知らせるアイコンが表示される。
アクションを発動。
スペシャルスキル ≪フィンガーショット≫ 。
ランドシップの開口されたハッチなど、ボスの脆弱な部分を攻撃する場合には、特別なスキルの発動が可能になるケースがある。
このスキルは、例えばボスとの攻撃に相打ちになっても発動ができる。
被弾のノックバックで、ウィークポイントから距離が離れてしまった場合であっても、問題なく発動する。
その場合、ダメージリアクションをキャンセルしてテレポートし、攻撃を行う。
この仕様により、攻撃のチャンスを逃さずに追撃が可能となっている。
追撃アクションの名称は、スペシャルスキルという名前だが、便宜上「Dキャンセル」とユーザーの間では呼称されている。
セツナは、スペシャルスキル ≪フィンガーショット≫ を発動し、右手を眼下にあるハッチに向ける。
下に伸ばした右手の手首を、左手で支える。
≪炎撃掌≫ などで見られる、チャージモーション。
右手に炎が燃え盛り、彼の周囲に舞う粉塵が、焦げて燃え尽きる。
右手の掌に、力が収束していく。
普段であれば、この魔力を練り上げてガントレットに封入し、次の ≪炎撃掌≫ の威力を高める。
だが、 ≪フィンガーショット≫ は違う。
チャージで得た魔力を、得るはずだった魔力を、そのままダイレクトに打ち込む。
掌に火球が生成され、ランドシップの内部に叩き込まれる。――まずは1発。
右手が纏う炎は、すかさず次の火球を生成し、内部で炸裂させる。――続けて2発。
――3発、――4発、5、6、789。
徐々に連射力と威力を向上させ、絶え間なく火球を撃ち続ける。
ランドシップは、彼を振り落とそうと舵を切る。
左右に揺らし、振り落とそうと試みるも――、叶わなかった。
「フィンガーショット!」
最大威力の10発目が叩き込まれて、ハッチから火柱が起こった。
派手なアクションと魔法に、会場が湧き立つ。
同時に、ハッチが閉まり、これ以上の追撃が不可能になる。
だがしかし、セツナだって、ダイナとJJの同類。
貪欲にダブルアップを狙う。
暴れ回る戦車の天井に、マジックワイヤーを撃ち込む。
張り付いて、暴れ船にロデオをする。
天井に張り付き、もう一度、ハッチを開けてやるつもりなのだ。
ロデオをするセツナに、ダイナとJJが応援に駆け付ける。
「いいよ! やっちゃえ!」
「かましたれッ、セツナ!」
「よーし、任せろ!」
応援されて、俄然やる気のセツナ。
対して、JJとダイナは、戦車に付かず離れずの距離を維持。
暴れる戦車に対して回避行動を取り、アサルトゲージが回復できるポジションを維持する。
すると、囲まれて不利を悟ったランドシップは、超真地旋回。
その場で旋回を始める。
旋回して――、旋回して――、どんどん速くなっていく。
「‥‥あり?」
なんか、イヤな予感がする。
そう思ったが、少し遅かった。
状態異常:拘束。
‥‥マジックワイヤーが、切り離せなくなっちゃった。
超真地旋回の力が、マジックワイヤーの巻き取る力を上回り、遠心力でセツナの身体が浮き始める。
彼の身体が、宙で洗濯機にかけられて、グルグルと大きな力で回される。
「うわぁぁ――、ああぁぁ――、ああぁぁ――!!」
セツナの悲鳴が、ドップラー効果を伴い、2人には高くなったり低くなったりして聞こえる。
彼には申し訳ないけど、シュールな状況が出来上がった。
((‥‥知ってた。))
2人がなぜ、セツナを応援したのか?
彼をおだてて、天井から下りないようにするためである。
彼はお調子者だから、おだてられれば木に登るし、空も飛ぶ。
もちろん、半分くらいは本当に応援していたし、それはそれとして、半分くらいは何か起こらないか期待していた。
結果、彼は期待を裏切らなかった。
歩けば棒に当たる男、それがセツナなのだ。
ランドシップは、歩けば棒に当たる男をジャイアントスイングしながら、コロシアム内を疾走。
時計塔の方角に舵を取り、コロシアムの端――、リングの端にセツナを放り投げる。
マジックワイヤーが切れて、身体が斜め上に飛んで行く。
それを、シールドジェネレータが検知。
シールドを展開。
「痛っつ~~!?」
シールドが展開し、吹き飛ぶセツナを受け止める。
反射能力を持たないセツナは、シールドの高い場所に、衝突したエネルギーで釘付けになる。
シールドには、うっすらとヒビが入った。
そして――。
磔になったセツナを、2つの砲撃が襲った。
砲撃は狙い違わず、セツナに直撃。
空に黒い花火が花開き、会場を轟かせる。
砲撃の衝撃により、シールドの亀裂はより大きく深くなり、攻撃により吹き飛ぶセツナの身体が、シールドを破壊した。
ウォールブレイク。
高性能シールドジェネレータが誇る、最大の目玉機能。
自動で攻撃の威力を検知し、シールドが割れる演出で会場を盛り上げる(安全基準法違反)。
このコロシアムでは、生の戦いを目の前で楽しむことができる。
ド派手な攻撃の威力を、間近で視覚に焼き付け、ド派手な攻撃が震わせる空気の揺れを肌で感じることができる。
ウォールブレイクは、そんなド派手な戦闘をさらに盛り上がるための演出。
シールドが破壊されるという、視覚効果と演出によって、より攻撃の威力を鮮明に体験できるのだ。
やはり、派手な破壊表現は、バトルエンターテインメントでは外せない。
風穴を開けられたシールドは、そこを起点に全てが全壊する。
リングを覆っていたシールド全部が砕けて、その破片が会場に降り注ぎ、粒子となって消えていく。
セツナは、勢いそのままに観客席の上空を飛び越えて、高くそびえる時計塔の頂上付近に激突した。
土煙が舞い、ワンテンポ遅れて、激突音が会場に響く。
時間差で音が聞こえるのも、広い会場ならでは。
戦いと威力のスケールを、味わうことができる。
大小様々なシールドの破片が舞い、セツナの徐々に小さくなっていく悲鳴が聞こえ、大きな土煙が立ち、遅れて激突音が響く。
一連の、スケールの大きなバトルの演出に、会場は今日一番の盛り上がりを見せた。
その熱も冷めやらぬまま、ランドシップは火力を放出。
シールドが直ちに張り直されて、熱から観客を守る。
火炎放射が、コロシアムに残った2人を狙う。
左右の地面を炙りながら直進してくる火炎放射を、2人は飛んで躱す。
次は空を焦がしながらの攻撃、スライディングで頭上の高熱をやり過ごす。
今度は超真地旋回。
鼠花火ように、火炎をまき散らしながらランダムに暴れ回り始めた。
シールドに突進し、反射も利用して加速し、場内を所狭しと火を吹く駒が回る。
‥‥中の騎士は、それでもへっちゃら。
回転中は、宙に浮いており、遠心力の影響を受けていないのだ。
内装の魔力と、鎧の魔力で、疑似的に斥力を生み出して空中浮遊を実現している。
そのため、ランドシップが急加速しようとも、急旋回しようとも、騎士たちが内装にぶつかることは無い。
ベイ駒のごとく暴れるランドシップに、ダイナは攻めあぐねる。
「これ! どうすればイイの!?」
アサルトゲージは溜まっているが、火炎を完全にはやり過ごせず、体力が削られている。
戦車の足さえ止まれば、トドメは刺せる。
ダイナには、その手段がある。
「OK! 足を止めよう。」
JJが、突破口を開く。
そう仲間に合図をする。
「セツナ、聞いてるな? 足を止めるぞ。」
「了解!」
時計塔に吹っ飛ばされたセツナにも通信。
彼から返答が返ってきた。
場外に吹っ飛ばされても、ノックアウトされていなければ復帰が可能。
フィールドアウトでの決着は、サムい。
それが、このコロシアムのルールだ。
JJは、ランドシップの攻撃の隙を見て、火薬銃に持ち替える。
空になっている弾倉をリロード。
脇に抱えて射撃しなければならないほど大きな、リボルビング・ボルトアクションライフルから、シリンダーがイジェクトされる。
この銃のリロードは、シリンダーごと交換する、巨大な弾倉を入れ替える豪快なリロードをするのだ。
シリンダーが抜けた火薬銃に、 ”特別な” 新しい弾倉をリロードする。
シリンダーを差し込む。
銃の基部にあるボルトを引き、シリンダーを撫でる。
すると、本来はロックが掛かって回らないはずのシリンダーが、銃の中で自転を始める。
自転の速度は、最初に回転し始めた初速から、どんどん速くなる。
どんどん速くなり、シリンダーの周りを、青い稲妻が走り始める。
スピンアップ。
複数銃身をの有するガトリング銃などは、トリガーを引いた瞬間から高い連射力を確保するために、射撃前にあらかじめバレルを回転させておくのだ。
いま、火薬銃の中で自転するシリンダーは、それと似た効果がある。
つまり、この火薬銃は現在、とてつもない連射力を秘めている。
「バレットタイムだ。」
EXスキル ≪バレットタイム≫ が発動。
バレットタイムが発動中、火薬武器に込められている弾が消費されなくなる。
JJが、火薬銃の引き金を引いた。
引き金を引いた瞬間、銃口からけたたましい数の遠吠えが放たれる。
狼の群れが、秒間20発を超える牙が、ランドシップに突き刺さっていく。
バレットタイム中、火薬銃は散弾の攻撃からスラッグ弾(散らばらない、単発弾頭の弾)の攻撃に切り替わる。
高威力の単発攻撃を、秒間20発で突き立てる。
この間、火薬銃は間違いなく、この世界において屈指の火力を叩き出す!
火薬武器の中でも、輪をかけた問題児、火薬銃。
大きくて取り回しが悪いだけでなく、連射すら利かない。
火薬武器の悪いところを、さらに際立たせた迷品。
しかし、この瞬間、バレットタイム中においてのみ、火薬銃は屈指の強武器と化す。
――火薬が、武器を魔法に掛けるのだ。
猟犬が唸り吠え、戦艦の装甲に食らいつく。
一撃一撃は、戦車にとっては取るに足らない一撃。
しかし、それが20発、40発、60発と蓄積していくことにより、機動力が目に見えて鈍っていく。
ランドシップは勢いを失い、超真地旋回による高速回転ができなくなった。
戦車はそれでも怯まず、JJに突進。
火炎放射を撒きながら、脅威を排除しようと試みる。
JJは、横にローリングで回避。
デカい図体を活かした、突進攻撃の軌道上から逃れる。
ローリングの起き上がりざまに素早く、得物を火薬刀に持ち替えた。
車体の突進を回避したものの、JJを火炎放射が襲い、ガスと高熱が彼の体力を容赦なく奪う。
速力で勝る戦車の突進において、この火炎放射まではローリングで躱せない。
――だが今は、この火炎に用がある。
だから敢えて攻撃を受けたのだ。
「飛燕衝。」
戦車とのすれ違いざま、鞘に込められた刀を振り抜く。
火薬刀の飛燕衝は、時間差で起爆する火薬を撒く攻撃。
時間差であるために、クセが強いが、強力な遠距離攻撃。
刀身を伝って、黒い火薬が宙に撒かれ、舞い、火炎放射の熱に触れた。
――火薬が火に触れればどうなるか? 火を見るよりも明らかだ。
熱が火薬を炸裂させる。
本来、時間差で爆発するはずの火薬が、火炎によって起爆した。
火薬の炸裂は連鎖し、ランドシップを爆風の波が絶え間なくぶつかり、車体横から煽る。
ランドシップの速度がさらに低下する。
JJは、素早くランドシップに接近。
火薬鎚に持ち替えて、柄のエンドを捻り、撃鉄を上げて――、振り抜く!
無限の火薬を秘めた鎚を叩きつけ、2発、3発と連撃を浴びせる。
本来ならば、弾数の関係で不可能な連携。
それが、バレットタイム中であれば、魔法に掛けられた武器ならば許される。
「ぬぅんッ!」
戦車の側面を、火薬の力と遠心力の混ざった一撃が捉えた。
車体が地面をスリップし、停止する。
戦車の中から、火薬の荒波に船酔いした騎士たちが顔を出した。
1人は天板のハッチから。2人は左右の砲門の裏手から。
彼らと戦車を、大きな影が覆う。
鳥と呼ぶには大きすぎる影、空を飛ぶデミワイバーンが作った影だ。
騎士たちが、翼の生えた暗雲を見上げる。
「エレメンタルコア――。」
デミワイバーンを駆り、セツナが空から騎士たちを強襲する。
時計塔で立ち往生している彼に、かつて翼を貸してくれたワイバーンが、再び翼を貸してくれたのだ。
「星を見上げな‥‥ッ!」
スキルの力を引き出すコアレンズ。
エレメンタルコアは、スキルの属性を強化する。
エレメンタルコア × 飛燕衝 = ――――。
「スターゲイザー!!」
デミワイバーンから飛び降り、その落下エネルギーと魔力を、右拳で大地に叩き込んだ。
叩き込んだ魔力が、大地で膨張し、石畳を下から持ち上げて、地上の戦艦を大きく揺らす。
戦艦に押さえつけれている大地は、ついに魔力の膨張を堪えること叶わず、地中に閉じ込められていた魔力が一気に噴き上がり、津波となって襲い掛かる。
大地が裂け、魔力の津波がランドシップを押し流し、その巨体を宙へと放り投げた。
騎士たちは、船から落ちていき、母なる大地に四肢を投げ出した。
ランドシップは無人船となり、大空をあてもなく彷徨う。
「グリモワール・エレメンタルブラスト!!」
龍のブレスの再演。
彼の者の恐ろしさを知らぬ川の街に、暴走した魔力が人類を見下ろすべく空へと羽ばたく。
翼を持たぬ龍は、目障りな船をひと口で飲み込んで、いずれとして自分を見下ろす青い空を疎ましく思いながら、怒り狂い、船もろとも空に消えていった。
陸上の戦艦が、空で後片付けも無く消滅した。
ファンキーヤマダが、マイクを手に高らかに宣言する。
「ノック、アァァウトォォォ!!
勝者、CCC! 猟犬たちが、サイコーのバトルをプレゼントしてくれタァ!!」
ヤマダの声を皮切りに、観客たちが割れんばかりの拍手をする。
勝者に対する賞賛、最後まで戦った者への労い。
様々な意味や気持ちが、この拍手には込められている。
分かり合うのに言葉は不要。
ただただ、両の掌があれば良い。
ランドシップを破壊された騎士たちが立ち上がる。
立ち上がり、エージェントたちの前まで来た。
‥‥‥‥。
しばし、6人が相対し、睨み合う。
それから――。
握手をして、互いの健闘を称えた。
分かり合うのに言葉は不要。
ただただ、両の掌があれば良い。
アツい戦いを見せてくれた戦士たちに、ヤマダが花束を贈る。
「CCCもBBBも、アンタらサイコーだったZE☆
なぁ、みんな! そうだろ!」
観客たちが、歓声で答えたり、口笛を吹いたりしていている。
観客の盛り上がりに、ヤマダは大きく首を縦に、何度も振る。
「なら、もう一度、猟犬にも騎士にも、大きな拍手を!!
誇り高く戦った戦士たちに、最上級の賛美を!!」
セツナたちは、歓声に感謝をするために、お辞儀をした。
騎士たちも、歓声に騎士たちのお辞儀で答えた。
礼で終わるまでが戦い。
そこを欠いては、画竜点睛を欠く。
礼をした後、6人はコロシアムを後にする。
シールドの外に出て、ほっと一息。肩の荷を下ろす。
コロシアムはまだまだ続いていく。
他にも、予定が盛りたくさんだ。
そのプログラムの隙間を縫って、ヤマダがセツナたちの前に来てくれた。
「聞いたぜ、夢の跡地に行くんだって?」
3人は顔を合わせる。
なんで知っているの? という顔だ。
戸惑う彼らに、陽気な様子でヤマダは続ける。
「HA HA HAA~☆ ラジオが人気になるとな、MCっていうのは、耳が良くなるのさ。
街の声が、良く聞こえるようになってくる。」
ヤマダは、ボルドマン遺産を追えるような人物だ。
顔も広く、耳も敏いのだろう。
「気を付けな、3人とも。夢の跡地は、命知らずのバカでも近寄らなかった場所だ。」
夢の跡地、今はもう暴かれて、寄るべきところも無くなったが、昔は技術と知識の宝庫であった。
そこが滅びた後も、しばらくは他所の者がまともには手出しが出来なかったという。
地上に楽園を築くという、聖書の時代においては神の怒りに触れた行為。
人類は、神の怒りで何度も数を減らし、神は悪魔よりも人類を殺した。
だが、人のための社会で神の魂は死んだ。
確率論や統計学、それから量子力学によって、神の肉体も滅びた。
ならば、楽園を築こうとも、怒れる者は居ない。
それなのになぜか、楽園は滅びた。
その謎をいま一度、紐解いていく必要がある。
エージェントの手によって、理外者の手によって。
「ま、アンタたちなら大丈夫! オレには分かるぜ。アンタら、良いトリオだ。」
3人は、互いに顔を見合わせる。
確かに、良いトリオだ。
3人とも、そう思っている。
「無事に帰って来て、そしたらオレのラジオを聞いてくれ。」
グッドラック!
そう、ヤマダは締めくくった。
激励を送ってくれた彼に、セツナは手を伸ばし、握手を求める。
「ありがとう、ヤマダさん。」
3人とヤマダは握手を交わした。
CCCとBBBの関係。
それは、仲間と言うには遠すぎる。
けれど、敵と呼ぶには近すぎる。
この距離を表現するのならば――、そうライバル。
人の力は、1つだけでは、か細いものだ。
雨が降れば脆くなり、風が吹けば折れてしまう。
そうでなくとも、陽の光が当たるだけで倒れてしまう。
そうであっても。
か細いひとつひとつを束ねて、2つに、5つ、10、100として。
束ねていけば強く、強靭になっていく。
これであれば、ドラゴンだって、ディヴィジョナーだってきっと――。
エージェントたちは立ち向かう、楽園が秘匿する秘密に。
夢の最中に視た、真実に。
――サイドミッション、パーソナル「呉越同舟」クリア。
――Next mission is ‥‥、メインミッション「夢の跡地」。




