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Magic & Cyberpunk -マジック&サイバーパンク-  作者: タナカ アオヒト
7.5章_恐怖! 恐怖のクリスマスシャーク!

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SS12.11_デス・ゾンビメガロドン・デス・メタルネクロマンサー

ノクター。

シャウト奏でるバイオリニスト。


子どもの頃からバイオリンを習っていた彼は、バイオリン教室で、ヘヴィメタルと出会う。

先生がこっそり教えてくれた、イカした音楽。


エレクトロニクスを最大限利用したリリック。

荒々しくも、センチな世界観。


以来、彼はバイオリンを演奏する傍ら、メタルバンドのボーカルとして目覚める。





プレイヤー:ダイナ

クラス  :メイジ

ビルド  :真グリモア


〇スキル

1.魔女の飛燕衝ヘックス・ジルヴァルズ New

2.魔女の七つ道具ヘックス・フェシトビフ

3. 魔導真書(グリモワール・ジーア)ブレイズキック New

4.魔導真書オルラスビルガ New

5.魔導書(グリモワール)フレアボール

6.魔導書マジックサイクロン

7.魔法書サルベージドロー

8.回復石(ヒールストーン)(回復アイテム)


x.外されたスキル

⇒飛燕衝

⇒ブレイズキック

⇒魔導書アイスランス



〇パッシブ

1.アレイスター図書館の司書人形

2.二度目の満月

3.魔導旧書(グリモワール・ブーア)クラウ・ア・ルーイン (Ps) New

4.魔導異書(ディ・グリモワール)ダークボール (Ps)

5.魔導異書カースマイン (Ps)

6..法の抜け道(アンティ・ルール)

7⇒法の拡大解釈(ハウス・ルール)New

8.ケヒトの泉(回復アイテム)


※(Ps)は、パッシブ欄に装備できるスキルのこと。


x.外されたパッシブ

⇒クロウリーの大辞書

⇒魔導異書ブラックパイル



〇EXスキル

1.魔導書エレメンタルブラスト

2.魔導異書ウィルドネスサイス

3.魔導書ブルームーン



〇Ultスキル

1.――――



〇Ultパッシブ

1.光と闇の護符





プレイヤー:フロントさん

クラス  :ナイト

ビルド  :八罪ビルド


〇スキル

1.ホーリーエンチャント

2.シールドバッシュ

3.シールドスマイト

4.七つの大罪:色欲(セブンスシン:ルシュリア)

5.七つの大罪:嫉妬(セブンスシン:インヴィディア)

6.★ヒーリングⅡ

7.★ヒーリングⅡ

8.???(回復アイテム)


x.外したスキル

タワーガード

回復石(回復アイテム)



〇パッシブ

1.騎士の心得

2.鉄の皮膚

3.黄金の魂

4.ダイヤの盾

5.素行不良

6.七つの大罪:強欲(セブンスシン:グリード)

7.七つの大罪:傲慢(セブンスシン:スペルビア)

8.七つの大罪:怠惰(セブンスシン:スロース)



〇EXスキル

1.七つの大罪:貪食(セブンスシン:グラトニー)

2.七つの大罪:憤怒(セブンスシン:ラース)

3.ホーリーサンクチュアリ



〇Ult

S.――――

P.八つ目の大罪(ヒドゥンスシン)慧悟(ニルヴァーナ)





プレイヤー:ヤマブキ

クラス  :モノノフ

ビルド  :ハイカラ忍者



〇スキル

1.火遁:浜之緋桜(はまのひざくら)

2.水遁:新宮四葩(しんぐうよひら)

3.風遁:紫衣薫富(しいくんぷう)

4.金遁:橙灯十里(とうとうじゅうり)

5.忍法:空蝉の術

6.剣術:大盤振る舞い

7.⇒剣術:大番狂わせ

8.丸薬(回復アイテム)



〇パッシブ

1.★十二ひとえ

2.★十二ひとえ

3.忍びに濡るる

4.世は常なしと偲び(しのび)つる

5.忍具:手裏剣

6.忍具:苦無

7.忍具:鎖鎌

8.梅干しの種(回復アイテム)



〇EXスキル

1.鬼神降ろし

2.封じ手:微塵隠れの術

3.秘伝:身口意(しんくい)



〇Ult

S.ひむがしの 野にかぎろいの 立つ見えて

P.かへり見すれば月傾きぬ





プレイヤー史上初のユニークを手に入れたノクター。


彼は、デス・ゾンビメガロドン・デス・メタルネクロマンサーとして覚醒し、クリスマスイベントのボスエネミーになった。



「エイ――! エイ――! ハッ――!」



ノクターに連れられて来たのは、ドームのライブ会場。

ゾンビの観客、ゾンビのバンドマン。


皆、ノクター合わせてヘッドバンギングをしている。

激しく頭を上下に振り、エレクトロニクスを惜しみなく使った大音量にトリップしている。


世界のルール、この世界の神に等しい力を手に入れたノクターは、新進気鋭のランカー。

セツナと同じく、最近ランカーとなったプレイヤー。


また、セツナと似たような個性を持つプレイヤー。


セツナがグルーヴとノリでリミッターを外すのに対し、ノクターはサウンドによるトリップで自分の限界を超える。

2人とも、実力の上振れで格上を食うジャイアントキラー。


ただしノクターは、上振れによる上昇幅が、セツナの比にならない。


自分がステージの真ん中にいること、自分が誰よりも目立っていること。

それにより、青天井で実力を発揮する。


彼もまた、持っている側の人間。


今のノクターは、ノリに乗っている。


イベントボスという美味しいポジション。

ユニーククラスという、唯一無二の特別な存在。


イベントに参加したプレイヤーは、この戦いを見ているだろうし、週刊エージェントでの切り抜きも間違いなし。


こんな目立つ場面で、こんな楽しいライブで、ヘマをするノクターではない。


ユニーククラスよりも、ボス属性よりも厄介な、彼の個性が発動する。

ノクターの、大物食いの本領が発揮される。


彼の相手は、自分と同じランカーが3人。

ノッポの騎士に、魔法使いのチビに、出涸らしの魔導拳士。


彼の相手は、5強ユニットが3人。

鉄壁のナイト、器用万能のメイジ、変幻自在のモノノフ。


――悪くない。――悪くない!



「ヴォォォォォォオオオオ――!!」



開幕、デスボイス!


マイクが彼の声量を拡大し、ドームの熱量を一気に上げる。

観客のゾンビの耳や頭が吹き飛び、血しぶきが上がる。


メタルネクロマンサーのスキル ≪シャウトシャーク・デスボイス≫ 。

不可避のdot攻撃 (持続ダメージ)。


ノクターのシャウトで、4人の体力が無慈悲に削られる。

‥‥が、ダメージエフェクトと共に、回復エフェクトが発生している。


赤いエフェクトが出る度に、緑のエフェクトが発生している。



「あ゛ぁん!?」



ダイナのUltパッシブが発動、「光と闇の護符」。

自分が受けたダメージの15%分、味方全員の体力を回復させる。


クラス「ベルセルク」の被ダメ回復。

マジックシリーズの初期作では、それは元々、メイジのパッシブだった。


ぶっ壊れとまで言われたパッシブが、Ultパッシブになって帰って来たのだ。


本来は、dotで200ポイントのダメージを与えられるはずだった。

体力を2割、強制的に奪うスキル。


しかし、そのダメージの15%分、30ポイントを回復されてしまう。


ダイナは魔法の杖をノクターへ向ける。


スキル発動 ≪魔導書(グリモワール)フレアボール≫ 。

この瞬間、パッシブ「法の拡大解釈(ハウス・ルール)」が発動。


法の拡大解釈は、魔法の性質を変化させる。


杖の先に、炎の魔法陣が展開。

そこから、蜂の巣をつついたかのように火球が繰り出される。


ハウスルール版のフレアボール。

息つかせぬ手数で、敵を制圧する魔法。


不可避のdotのお返しに、不可避の弾幕をお見舞い。


迫る、燃える蜂の群れに、マイクを構える。



「――エェェェイ!!」



マイクが、声量を拡大する。

声の魔力で、火の蜂を全部残らず叩き落とす。


ダイナの魔法は、ノクターを傷つけることは無かった。

この様子だと、彼に遠距離攻撃は機能しそうにない。



「ダイナ!」



セツナが、自分の回復アイテムを彼女へと投げる。

青いポーションを受け取り、飲む。


ブレイブゲージが消費され、AGが2本貯まる。

青いポーションによってUltゲージは溜まらないが、今はそれでいい。


AGを消費。

スキル ≪魔法書サルベージドロー≫ 。

パッシブ「二度目の満月」発動。


二度目の満月、3つ目の効果。


AGを消費して ≪サルベージドロー≫ を発動した場合、装備している魔導書系のスキル1つにつき、味方の体力を10ポイント回復する。


彼女が装備している魔導書系スキルは、全部で11枚。

4人の体力が、110ポイント回復。


ノクターが削った200ポイントが、合計で140ポイントも回復されてしまう。


‥‥彼の方針は決まった。

あのヒーラーモドキを、1番最初に潰す!


スキル ≪次元鮫召喚コール・アウト・ワールド≫ 。

次元の狭間を遊泳するサメを召喚。


背びれだけ姿を見せ、宙を遊泳するサメが4匹、近接組をすり抜けダイナへ襲い掛かる。



「――読み読みですよ、お前の行動は。」



フロントさんが自分の盾を投げつけて、次元の狭間から飛び出したサメを1匹狩る。


それだけなく、剣に聖なる力を宿し、光の斬撃。

飛ぶ斬撃で、サメを叩き斬る。


サメは残り2匹。


ヤマブキが手裏剣を連投。

パッシブ欄に装備した暗器を用いて、1匹狩る。


残り1匹。

それは、ダイナがショートソードで搔っ捌いた。


最初にヒーラーを潰す、遠距離要員を潰す。

その戦略は間違っていない。


‥‥相手が、この世界のメイジでなければ。


スキル ≪魔導真書(グリモワール・ジーア)ブレイズキック≫ 。

足元で銀色の炎が爆ぜ、ダイナの姿が消える。


ノクターの目の前に、剣を握るダイナが現れる。


この世界のメイジは、器用万能。

ゴリゴリの近距離組である他の5強クラスとも平気で切り結べるほどに、メイジは近距離性能が高い。



(野郎‥‥ッ!)



ノクターが足を踏み鳴らす。

コールアウトワールド。


巨大な次元鮫が現れて、ダイナを足元から飲み込もうとする。


テレポートで回避。

≪魔導真書ブレイズキック≫ による瞬間移動と、パルクールスキルのテレポートは、別判定。


これにより、連続で瞬間移動ができる。

しかも、Fキャンセルしたブレイズキックは発動扱いにならず、即時再使用が可能。


ダイナの奇襲に対応したノクターを、セツナが狙う。

足に火炎を纏い接近。


攻撃の本命は、ダイナではなくセツナ。



「シャラくせェェ!!」



大音声を張り上げる。

声に力負けしたセツナが、ノクターを捉えきれずに吹っ飛ぶ。


――マジックワイヤーを射出。

十八番(おはこ)の、ワイヤータクティクス。


だが、相手もランカー。

末席といえども、上澄みの人間。


セツナの初見殺しは通じない。


ワイヤーを掴み、イベントボスに恥じない出力で、セツナを引き寄せる。


上等と言わんばかりに、セツナは ≪ブレイズキック≫ 。

相手の力を逆に利用して、勢いをつける。


ヤマブキが動いた。

スキル ≪忍法:空蝉の術≫ を発動。

パッシブ「十二ひとえ」の効果で、4体の分身が出現。


セツナを援護するように、ノクターの背後を取り、空から蹴撃。



「舐めんじゃねェェ!!」



自分はユニークであり、ボスなのだ。

スペシャルな自分にトリップし、トランスに入った彼の実力は上振れる。


ブレイズキックを放つセツナに、ヘッドバンキング。

彼の側面に回りつつ、出涸らしの頭部へ頭突きをかまして叩き落とす。


忍者の空からの蹴撃を、拳で蹴散らす。

1体2体と蹴散らして、不審な動きを見せたセツナを蹴り飛ばす。


フロアポジションへと移行したセツナの動きに目敏く(めざとく)反応。

下から蹴りを放つセツナの、その背中を蹴り飛ばす。


ヤマブキの分身が、ノクターを羽交い絞めにする。

AGを、10ポイント消費。


EXスキル ≪禁じ手:微塵隠れの術≫ を発動。


分身を爆破させ、ノクターに攻撃。


分身が爆発し、視界が遮られる。

爆発が明けると、そこにノクターは居ない。



「‥‥上だ!」



フロントさんが、全員に警告する。

4人の上空を、サメの背びれが泳いでいる。


次元の狭間から、メガロドンが現れる。

ノクターを飲み込んだ巨大なメガロドンが、ステージに降り注ぐ。


全員、遠距離攻撃。


セツナが抉った地面を殴り飛ばし、フロントさんが聖なる斬撃を放ち、ヤマブキが智拳印(ちけんいん)(左手の人差し指を立てて、それを右手で握りこむ印相)結び、風の手裏剣を3つ飛ばす。


ダイナは、ジャベリンを召喚。

エンチャント ≪魔女の飛燕衝≫ 。


魔法の力を込め、青白い閃光を描く投げ槍を投擲。


4つの遠距離攻撃が、メガロドンに直撃。

幾ばくかのダメージを与え、それでもメガロドンは止められない。


ノクターのユニークスキル ≪モッシュ&ダイブ≫ 。


メガロドンが、腹からステージに舞い落ちる。

間欠泉が噴き上がり、大波が4人に襲い掛かる。


大波による広範囲攻撃。


セツナは ≪ライトニングアクセル≫ を発動。

大波の上を取るように、空へと飛ぶ。



「読めてんだよ! タコが!!」



飛んだ先には、次元鮫とノクター。


セツナを蹴り落とし、サメで追撃。

オマケに、キッチリと大波も直撃させる。


広範囲攻撃によって、他のプレイヤーが防御に追われている隙に、1人ずつ潰す。


1対1ならば、出力に優れるノクターが上回る。

トランス状態のノクターを、1対1で止められる者は、この場に居ない。


ゾンビメガロドン・ネクロマンサーの狩り。

大物食いが、大物以上の力を手にした、何人も手が付けられないユニークボス。


ヤマブキは、空蝉を盾に大波を凌ぐ。

フロントさんは、大波をシールドバッシュで叩き割った。


ダイナは――。



「――ぐはぁ!?」



ノクターの胸を、槍で貫いていた。


魔導真書(グリモワール・ジーア)オルラスビルガ≫ 。

この魔法は、Zキャンセル対応技。


ビルガの発生を、ブレイズキックでキャンセル。

この瞬間、ビルガの持つ無敵判定を残したまま、ブレイズキックでの移動が可能。


ビルガステップと呼ばれる、遠距離攻撃のカウンターとして使えるテクニック。


大波を無敵で受けて突っ切り、瞬間移動。

遠距離攻撃に打ち勝ってAGを貯めつつ、カウンター。


セツナの身体を張った囮作戦にダイナが応え、ノクターにやっとダメージらしいダメージを与える。


胸に突き刺した槍が、黄金に燃える。

突進攻撃。


ノクターを伴い、空から地上へと落下。

ネクロマンサーを、槍でステージに磔とした。


ステージで大の字となるノクターは、槍が刺さったままダイナの胸倉を掴む。

メイジの攻撃をボスのタフネスで耐え、屈んでいた彼女の胸倉を掴み、ぶん殴る。


燃える槍を無理やり引き抜いて、フォローに回るフロントさんへ投擲。

ヤマブキに向かって、ダイナを投げつける。


そして――。



「ヴォォォォォォオオオオ――!!」



不可避の全体攻撃。

スキル ≪シャウトシャーク・デスボイス≫ は、クールタイム制のスキル。


そのCT、脅威の90秒。


90秒ごとに、彼は全体200ポイントの回避不能技を使う。


ユニーク属性にして、ボス属性。

合法的なチートスキルで、4人を追い詰める。


この技の前では、モノノフの空蝉も、ナイトの盾も意味を成さない。


そして、90秒というサイクルでは、ダイナがAGを貯めきるには少し足りない。

AGは、戦わないと貯められない。


計算しているのだ、ノクターは。


ダイナを潰せないと分かるや否や、狙いをセツナやヤマブキに変更。

落としやすい遊撃から狙って狩り、ダイナにリソース攻めを強いる。


ダイナは、回復アイテムを取り出す。

AGの温存を意識して、回復石(ヒールストーン)による回復を――。


――ノクターの口角が、ニヤリと上がる。

ヒールストーンが、黒く変色する。



「使ったな‥‥! トラップ発動!」



ユニークパッシブ「贈与に対する疑念(ノット・ライクユー)」。


()()()()()()()()()()()()を使用した時に発動する。

回復アイテムを、ミミックシャークに変化させる。



「‥‥‥‥え?」



‥‥体力を回復させるヒールストーンが、命を奪うサメに変化した。

回復石が手元を離れ、1メートル四方の箱となる。


箱から、サメの頭が飛び出す。

彼女の右前腕に、深く噛みついた。



「あ゛ぁ゛――――!!」



左手の杖を投げ捨て、ホルスターからピストルを抜く。

サメの鼻っ柱を、銃で撃ち抜く。


サメは死に、右腕が力無く垂れる。



状態異常:ゴア (右腕)



右腕に力が入らなくなり、しばらく使い物にならなくなる。

AGを消費、 ≪魔法書サルベージドロー≫ 。



「させねぇよ!!」



次元に姿を隠したサメ4匹が、背びれで宙を切り裂きながら、ダイナに襲い掛かる。


彼女のスキルの隙を、ヤマブキとフロントさんがフォロー。

ヤマブキが分身でサメを蹴りつけ、フロントさんが盾と剣でダイナを守る。


味方の体力が、回復する。

しかし、ダイナとセツナの消耗が激しい。



「仲良く、逝っちまいな!」



固まったダイナたちに、メガロドンが襲い掛かる。


ランカー同士の戦い、互いに数手先を見越して攻撃をしている。

ダイナは、回復の隙を味方がフォローしてくれると信じていたし、ノクターは、回復は阻止できないと分かっていた。


だから、阻止できない状況を悪用する。

ダイナを守るために固まったところを、一網打尽にする。



「――ふっ。下段ガードを固めた俺に隙は無かった!」



EXスキル ≪ホーリーサンクチュアリ≫ が発動。


3人を守るように、聖域が展開。


聖域に触れる敵には、浄化の光を。

聖域の中に居る味方には、癒しの光を。



「生半可なナイトには真似できない、ホーリィィィ!」



バスタードソードを、力強く大地へと突き刺す。

フロントさんを中心に、眩い聖域が発生し、メガロドンを焼き切る。


そして、聖域内の3人は、体力が200ポイント回復する。



「‥‥クソがッ! クソがッ!

 どうなってやがる、この世界のヒーラーはッ!」



器用万能のメイジに、全クラス最硬のナイト。

それらがヒーラーを務めるのだから、相手する側からしたらクソゲーでしかない。



「お前は馬鹿すぐる。ナイトはユニークなんて無くても、唯一ぬになんだが?」



フロントさんのポジショントークを、ノクターはセツナの相手をしながら聞いている。


セツナもセツナで、だいぶ頭がおかしい。

ノクターのラッシュを食らい、体力は3割を切っている。


あと1回、まともにコンボを叩き込まれたら終わる。


にも拘らず、自分が後れを取ることなんて微塵も思わずに、ノクターに突っ込んで来る。

神にも等しくなったユニークに、凡百が食らいつく。


ユニークだろうがボスだろうが関係ない。

現実で死を経験し、悪魔として目覚めた彼を前に、神を名乗るとは‥‥、愚かさは浅はかしい。


ワイヤーに繋いだ岩塊を振り回す。

徒手空拳で戦うはずの魔導拳士が、平気で武器を使ってくる。


振り回し、蹴り飛ばされた岩を、此方も蹴り飛ばして破壊する。

破壊した岩の先に、セツナの姿は無い。


魔女の力を付与、 ≪ライトニングアクセル≫ 。

ノクターの上へ瞬間移動し、雷光一閃。


だがしかし、瞬間移動の起こりを読まれている。



「――死ねッ!」



ノクターの足元から、メガロドンが飛び出す。

空のセツナに向かい、大口を開ける。


‥‥ブレイブゲージを消費。

ブレイブキャンセル。


落雷の一撃をキャンセル。

魔力が霧散し、強烈な下方向のベクトルだけが残る。


≪魔女の一撃≫ をZキャンセル。

エンチャント ≪ブレイズキック≫ 。


空中で、横一線の蹴りを放つ。


落下ベクトルが、垂直方向から斜め下方向へとズレる。

メガロドンを躱し、ノクターの背後を取る。



「なにッ!?」



ベクトルコントロールの独特な動きについて行けず、ノクターは懐への侵入を許す。

AGスキル ≪魔女の炎撃掌≫ 。


下に弧を描く裏拳が、振り返ったノクターの鳩尾を捉える。



「がはぁ!?!?」



身体から力が抜ける。

魔女の火炎に、体内の魔力を燃やし尽くされる。


膝から崩れ落ち、無防備を晒す。


セツナの連撃。



「ブレイズ。」



炎撃一閃。

横一文字の火炎が、ノクターの側頭部を蹴り飛ばす。


身体は、物理的な力に反して、宙へと投げ出される。


――カカカカッと、フロントさんが走る。

「俺にも一撃を入れされろ」と、距離を詰める。



「追撃のグランドヴァイパ!」



低い姿勢から剣戟で拾い、そこからシールドスマイトのコンビネーション。

盾殴りで、上方向へカチあげる。



禅定外合掌ぜんじょうがいがっしょう――。」



追撃の追撃を担当するのは、ヤマブキ。

AGスキルを発動するために、印相を結ぶ。


瞑想のポーズで知られる、禅定印ぜんじょういん。

左手の親指を立て、それを右手で握り込む、外縛拳がいばくけん。

蓮の蕾つぼみを思わせる、手のひらを密着させない合掌、虚心合掌きょしんがっしょう。



さらに、EXスキル ≪秘伝:身口意(しんくい)≫ を発動。

このスキルはAGを消費せず、追加の印相を結ぶことで、遁術の威力を高める。



阿弥陀(あみだ)覆手(ふしゅ)壇陀(だんだ)――。」



親指と中指で丸を作り、その両手を合わせる瞑想のポーズ、阿弥陀定印(あみだじょういん)

両手の親指と中指を合わせる、覆手向下(ふしゅこうげ)合掌。

両手の中指を立てて合わせ、それ以外の指を絡ませる、壇陀印(だんだいん)


6つの印相で、八百万三千世界の縁起を知り、釈迦如来の助けを得る。


7つ目の印相を結ぶ。


右手で刀印。

人差し指と中指を立てた、印相。


印相に力が宿り、緋桜が舞う。



浜之緋桜(はまのひざくら)!!」



不動明王が如き炎が、ノクターを切り裂く。

緋桜舞う二連の太刀筋。


ノクターを守るために飛び出したメガロドンごと切り裂いて、彼を地上へと叩き落とす。


地上では、魔法を唱えるダイナが待ち構えている。


左手の得物を、杖から剣に。

足元では、銀の爆発を伴う瞬間移動。


AGエンチャント ≪魔女の飛燕衝≫ 。


魔法を極めたメイジの飛燕衝は、魔法剣士のように、自らの得物に力を与える。

AGを消費したことで、幾重にも片手剣にエンチャントが施される。


青白く、剣が輝く。


叩き落とされたノクターに、剣を振るう。

下から上へと、縦一閃。


瞬間、ダイナの周囲を囲むように、何百もの剣戟が放たれる。


剣戟の壁が、ノクターを閉じ込め、切り刻む。



「調子に乗ってんじゃ‥‥、ねぇェェ!!」



ブレイブゲージを消費。

ブレイブバースト。


剣戟、ダイナ、その他大勢を衝撃波で弾き返す。


全体攻撃のクールタイムは、とうに終わっている。

マイクを構え、シャウト――。



「ヘックスコア――。」



‥‥抜かった。

バーストを読まれていた。


ブレイブバーストで吹き飛ばされたフリをしているヤツがいた。



ヘックスコア × 魔女の一撃 = 魔女の一撃



「魔女の――。」



シャウトに怖気ない、全霊の一撃が、顔面を砕く。


ブレイブゲージは、ブレイブバーストで消費した。

シャウトのキャンセルはできない。


つまり、出涸らしの攻撃を、避けられない。



「‥‥一撃!!」



ノクターの顔面に、二度目の拳が命中。

シャウトが中断され、身体が吹き飛ぶ。


セツナが、右手に昇った、昏く鼓動する太陽を握り潰す。


堰を切ったかのように、ノクターの内部に流された魔力が爆ぜる。

連鎖的に爆発を起こし、彼を上下左右から、まるで拳で滅多打ちにするかの如く、爆発が起こる。


一瞬で28発。

昏い爆裂拳を浴び、力無くステージに倒れ伏す。


ブレイブバーストで吹き飛ばされた3人が、セツナの元へ。

フロントさんがジュースを奢ってくれて、セツナの体力が回復。


まだ戦いは終わっていない。

気を引き締めて、構え直す。



「ちくしょう‥‥‥‥。畜生ォォォ!」



ノクターは、発狂した。

音楽とユニークにドップリとトリップして、窮地でなおも、力を増す。



「畜生ッ! 畜生ッ! 畜生ッ! 畜生ッッ!

 クソがッ! クソがッ! クソがッ! クソがッ!」



ヴィランを心から演じ、よりトリップを深め、内なる力を引き出す。



「神であるオレにッ! ユニークであるオレにッッッ!

 ノーマルどもがッ、泥を付けやがってェェェェッ!!!!!」



喚き、絶叫し、観客のゾンビを皆殺しにする。

次元を泳ぐサメを大量に呼び出し、動かなくなった死体を食らわせる。


ドームの屋根が崩壊し、どこからともなく夕日が差し込む。


空から100を超えるサメが、たった4人を取り囲む。

夥しい(おびただしい)背びれが、次元の狭間から生者を食おうと狙う。


ランカーのユニークボス。

それを囲む、絶望的な物量。


それでも、4人は怯まない。

フロントさんが、啖呵を切る。



「お前が俺たちに勝てないのは、確定的に明らか。

 ナイトは守る者がいるから最強になれるという名セリフを知らないのかよ?」


「ウルセェ! オレより目立とうとするんじゃねェ!!

 神の前で、しゃしゃってんじゃねェ!!」


「おっとと、思わず完全論破してしまった感。

 やはり、ナイトのヘイト稼ぎは、A+だなというか鬼なる。」



平常運転のフロントさんに対して、怒髪天のノクター。



「良いぜぇ‥‥。なら、見せてやる!

 後悔させてやるッ! 思い知れ! 神の力をッッ!!」



ドームライブ会場にいた、数万に及ぶ魂が、ノクターに食われていく。



「フハハハハハ――――!!!!

 人々の魂を生贄に、オレはUltを創造する!


 神に相応しい! 最強無敵のUltをッ!!」



セツナがホルスターからリボルバーを抜く。

ファニングショット。


しかし、効果は無かった。


手出しができないように、守られている。



「フハハハハハ――――!!!!

 ひれ伏せ愚民ども! (こうべ)を垂れ、平伏し、服従しろ!


 ユニークUlt! 神の審判(ノット・ザ・オンリー)!!」



ユニークUlt ≪神の審判≫ が発動される。

神は審判を下す、「お前たちは、特別ではない」。


特別とは、絶対のユニークのみ。


ノクターを、緑の光が包む。

魔力野を介して、彼の生命力がみるみる回復していくのが伝わる。


体力が全回復。

それどころか、限界を超えて回復している。


Ultを創造し、神になった者の背中に、翼が生える。

白い、血塗られた天使の翼で、空に浮く。


空から、ラッパ吹きの天使が2体、舞い降りる。


息を吸い込む。

ラッパの音色が響く。



「ヴォ゛ォ゛ォォォォオオオオ゛――!!」



ノクターのシャウト。

先ほどまでの比ではない勢いで、生命力を刈り取るシャウト。


天使のラッパが、ノクターとサメに力を与える。

攻撃力にバフ。


体力が削られる中、4人にサメが襲い掛かる。


サメと戦いながら、視界の隅で削られていく体力ゲージに、ヤマブキは焦燥する。



「おいおいおい‥‥。これは流石にシャレにならねぇぞ。」


「確かにな。AGを回復に持っていかれて、DPSが足りぬい。

 このままだと、高確率でシャウトで頭が可笑しくなって死ぬ。」



焦るヤマブキに、ヤバいのか余裕なのか良く分からないフロントさん。

セツナとダイナも、状況の打破を考える。


サメが襲い掛かって来てくれるおかげで、リゲインは出来ている。

が、体力の回復が間に合っていない。


この均衡は、長く持たない。


切り札となるのはUltだが、この状況でぶっ放すのは、リスキー過ぎる。


何とかして、短時間でサメを蹴散らし、ノクターの動きを止め、Ultを叩き込む必要がある。



「――なら、ボクに任せて!」



杖を片手に、ウインクをするダイナ。

彼女に、何か考えがあるようだ。



「フロントさん、ジュースの用意をお願い。」

「hai!」


「セツナとヤマブキは、ボクを手伝って。」

「「了解。」」



シャウトが止む。


しばし、休憩。

休憩している間も、体力は限界値を超えて回復している。


ダイナが、空からこちらを見下ろすユニークを一瞥。



「よ~っし! じゃあ行くよ!」



銀炎が爆ぜて、ダイナの姿が消える。

彼女が現れたのは、サメが群がる空中。


複数のサメが、ダイナに寄ってたかり、食おうとする。



『「さあ、ショウタイムだ‥‥!」』



ハウススキル発動 ≪魔導異書(ディ・グリモワール)ダークボール≫ 。

使用可能な魔導異書を2枚捨てることで、ダークボールを即時使用可能にする。


‥‥‥‥。

このスキルには、バグがある。


バグだけども放置され、半ば(なかば)仕様となっているバグがある。


そのバグとは、ダークボールのコストに、ダークボール自身を選べること。


そう――。

この仕様により、実質コスト1枚で、ダークボールを連発することができる。



ユニークUltに、バグで対抗。


ハウス ≪魔導異書ダークボール≫ は、瞬間移動後、自分の頭上に闇の隕石を降らせるスキル。

発動に体力のコストは発生しないが、自分は爆風から絶対に逃れらず、確定に自傷ダメージを受ける。


サメが群がるダイナの頭上に、隕石が降り注ぐ。


黒い稲妻が空をジグザクと駆けたかと思えば、フレアボールほどある大きさの、直径3メートルの暗い隕石が、ダイナに直撃。


爆風が広がる。

サメは闇に飲まれ、たちまち次元の藻屑となる。


ダイナの口から、赤いエフェクトが線を引く。

Ultパッシブ「光と闇の護符」により、味方の体力が回復する。


Eキャンセル。

魔導異書のスキルを連続発動。


発動するのは、当然 ≪ハウスダークボール≫ 。

瞬間移動したかと思うと、そこに隕石が降り、爆発が起こる。


――魔導異書を、2枚捨てる。

コストとして、 ≪魔導異書ダークボール≫ と、 ≪魔導書フレアボール≫ を捨てる。


パッシブ「法の抜け道(アンティ・ルール)」によって、魔導異書と魔導書を同じカテゴリとして扱うことができる。


瞬間移動、爆撃。

ダイナの口から、大量のエフェクトが零れ、空中で消える。


ジュースによる回復。



瞬間移動、瞬間移動、爆撃。

瞬間移動、爆撃。


ブレイズキックのテレポートに、ハウスダークボールのテレポート。

そして、パルクールスキルのテレポート。


最大3連続のテレポートにより、ドームの中を誰よりも自由に、縦横無尽に駆け回り、ダイナは辺り一面を爆撃していく。


その姿は、そのイカれた戦法は、クラス「エクスプロージョナー」。

発破士を彷彿とさせる。


自爆特攻を、発破士とかいうネタクラスでは無く、5強のメイジが使う。

そのパフォーマンスの差は、歴然。


自爆のダメージを、Ultパッシブで軽減。


敵を殲滅することで稼いだAGで、 ≪魔法書サルベージドロー≫。

コストにした魔導異書と、失った体力を回復。


それでも足りない分は、フロントさんの ≪ヒーリングⅡ≫ 。



「な‥‥なんだ!? 何が起きているッ!!」



ひたすら自爆を繰り返す、イカれた魔法使いを前に、神が慄く(おののく)


このふざけた戦法が、このふざけた自爆特攻が、この状況では、呆れるほどに有効なのだ。



神の取り巻きであるサメが、100匹以上いたはずのサメが、ものの30秒足らずで、絶滅しかけている。

EXスキルでも、Ultでもない、ただのノーマルスキルによって蹂躙されていく。


ノクターは、息を吸い込む。

Ultを発動し、神となった彼は、30秒で審判を下せる。



「オレより目立つなァァァ! 不敬であるぞ!」



神の前に、魔法使いが現れる。

両目から赤い涙を流しながら、笑っている魔法使いが。



「‥‥ヒィ!?」



神がテレポートで、魔法使いから逃げた。


テレポートで逃げた瞬間、爆発。

彼のラッパ吹きは、爆発に巻き込まれて死んだ。


逃げた神を、イカれた魔法使いが追いかける。


逃げた先に‥‥、もうヤツがいるッッッ!



『「あっはっはっはっ――――!!」』



ダイナの物とは別の声が、開放感のあるドームに響き渡る。

神のシャウトを掻き消して、何人たりとも、歌うことを許さない。


神は、一目散に逃げる。

一度でも、たった一度でもヤツに捕まれば――。


爆発で、永遠にハメ殺される。



神の脳裏に、敗北の2文字がよぎる。



「――――キャッチ!」



その文字は、神の名において創造され、現実のものとなる。


ダイナの相手で一杯一杯のノクターを、セツナが捕まえた。

羽交い絞めにして、動きを奪う。



「やっちゃえ! ダイナ!」

「この――、出涸らし野郎がァァァッッッ!!」



セツナもろとも、味方もろとも爆発で吹き飛ばす。

黒焦げになったセツナが、空から落ちる。


≪ハウスダークボール≫ は例外的に、フレンドファイアによってダメージが発生する。


それでも、セツナの体力は無くならない。

ダイナの流した血によって、傷は癒えている。


今度は、ヤマブキがノクターを捕まえる。

その表情は、引き攣っている。


セツナとダイナの連携に、ドン引きしている。



「‥‥あの、お嬢さん‥‥。ぜひ、お手柔らかに――。」



言い終えることもできず、全力の隕石で、黒焦げにされた。

落ちるヤマブキと入れ替わるかのように、セツナが空を飛ぶ。


隼が飛んで――、落ちた。

神だった者と一緒に。


地に伏すノクターの前に、満天の笑顔を浮かべる堕天使。

爆発が起きる。



「グワァァァァ!?!?!?」



情けなく転がるノクターを、ダイナが踏みつける。

彼女はもう、サメに噛まれた右腕すら気にならないほど、無惨にボロボロな姿。


だのに、その表情には暗い笑みで満ちて――。

まるで、嗜虐的な暗い月を思わせる。


爆発、爆発、爆発――。


踏みつけ、踏みにじり、動きを奪ったノクターの上で、ダイナは自爆を繰り返す。

3度、それを繰り返し、金髪すら黒くなった彼女は、ゆっくりと後ろに倒れる。



「キャッチ。」



それを、セツナが肩を抱えて受け止める。

ダイナの口元から、白い歯が覗く。


足元では、ボロボロのノクターが伸びている。



「くぅ‥‥‥‥。ぶっ飛んでヤがる‥‥。」



彼の身体から、ユニークの力と、ボスの力が失われる。

ノクターは、ノーマルなプレイヤーへと戻る。


そして――。

力の残滓が、形を取り、巨大なサメとなって顕現する。

宙を漂い、再起を図るために、この場から逃げようと魔法陣を展開する。



ダイナが、セツナから離れる。



「さて――、と。」



楽しい楽しい、フィニッシュブローのお時間がやって来た。



「一気に行くぜぇ!」



フロントさんも、やる気満々。

彼の回復が無ければ、実際ヤバかった。


ダイナとフロントさん。

2人のビルドが、ノクターと相性が良かったおかげで、ここまで詰められた。


ヤマブキが、セツナの肩を叩く。

3人で決めろという事らしい。


セツナは、オーバーコアを取り出す。

ダイナは杖をしまい、胸のネックレスを握り祈る。

フロントさんは――、特に何にもしていない。



セツナの元に、1番目の女神が顕れる。

銀月の大剣の封印を解き、真の力を解放する。


ダイナの元に、2番目の女神が顕れる。

灼銀のディーナ。


赤く燃える、情熱的な瞳と髪。

青白く燃える大剣を掲げ、ダイナと共にそれを握りしめる。


フロントさんの背後に、6番目の女神が顕れる。

輝けるシュミーシュカ。


青みがかった美しい髪に、星空のような瞳。

フロントさんの背後でハープを奏で、英雄を讃える詩を唄う。


女神の幻影が消え、加護を受けた3人が、剣を合わせる。



――Ultスキル、発動。



「フルムーンクリーオ!!」

「ブルームーンクリーオ!!」

「ナイツ・オブ・アヴァロン!!」



3人の放った光は、プレイヤーを神に至らしめた、神の権能を撃ち砕いた。

仲間との連携が、強大な力を打ち破ったのだ。


持つべきものは、ユニークではなく、シグネチャー。

持ちべきものは、ユニークではなく、仲間。


4人の戦いは、それを如実に証明した。



‥‥‥‥。

‥‥。






そして4人は、ドーム会場から、瓦礫の海上に放り投げられる。

世界は、アンコールを求めている。


ランカーの織りなす、物語の。

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