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Magic & Cyberpunk -マジック&サイバーパンク-  作者: タナカ アオヒト
7.5章_恐怖! 恐怖のクリスマスシャーク!

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212/229

SS12.09_サイバー・ゾンビメガロドン

M&Cまで続くマジックシリーズ3作において、史上最初のユニークプレイヤー、ノクター。

彼は、クリスマスイベントのボスとして、6人のサバイバーの前に立ち塞がった。


まさか、プレイヤーがイベントボスになるとは、経験者でも予想外の展開。


この事態に、全員が気を引き締め直す。

これだけのメンツが居ればボスも楽勝だろうと思っていた感情を、心の外へと追いだす。



「イイ表情になったじゃねぇか? あぁん?

 上澄みが5人も居れば楽勝かと思ってたか?

 甘めぇんだよォォォォ!! ヒィィハァァァ!!」



実のところノクターは、裏で密談を交わしていた。


密談の相手は、メリッサ。

彼女は、サバイバーを勝利に導くと同時に、裏でキラーの手も引いていたのだ。


サバイバーをオーブに導く裏で、キラーをサバイバーへとけしかける。


その中で、今回のイベントに相応しいキラーを見繕い、キラーにナイスデイを殺害させる。

クリスマスを乗っ取る。


‥‥そっちの方が、サプライズだから。


メリッサの思惑は上手くいった。

イベントの主催者たるナイスデイは倒れ、手綱を握る者は居なくなった。


ナイスデイのシナリオやバランスなんて無視して、メリッサとノクターが暴れ回る。



「感じるぜ、この力! この魔力ッ!

 オレが――、オレこそが、この世界のルールッッ!!!」



ノクターは、マイクを片手に狂喜乱舞。

左手でメロイックサインを作り、サバイバー全員を指差す。



「世界のルールである、オレが命じる。

 4人だ。4人、オレの贄となれる機会をやろう。


 6対2で遊んでやっても良いが、それでは目立てない脇役が出てしまうだろう?

 サバイバー共! オレを楽しませろ! 観客を興奮させろォ!!」



6人のうち、4人をノクターが相手し、残りの2人をメリッサが相手をする。

これも、密談で取り決めた約束。


最初は3・3で山分けする予定だったのだが、ノクターが駄々をこねて4・2となった。


‥‥いま思うと、ノクターの意見を飲んで正解だったと、そう思う。

上澄み3人相手は、さすがに一方的になりそうだ。


ノクターがボスバトルのルールを決めると、6人の前にウインドウが表示される。

パーティの編成を決めろということらしい。


セツナが、みんなの意見を確認。



「4・2で別れろって言ってるけど、どうする?」



質問に答えたのは、八車。



「なら、いい案がある。

 俺とコイツは、別々だ。」



そう言って指差したのは、フロントさん。

八車は、フロントさんと組むのが嫌らしい。



「――ほう。お前、頭良いな。

 ナイトが強くて最強なのは確定的に明らかだが、はっちゃんも唯一ぬにの一級廃人。


 ナイトの背中を安心して任せられることで、俺はさらに全力を出せるだろうな。」


「コイツ‥‥っ!?」



皮肉が通じない。

下段ガードを固めて隙の無いフロントさんに、八車はぶっきらぼうに背中を向けた。



「なら、はっちゃんの相方には、俺が行こう。」

「はっちゃん言うな!」



八車とのバディに名乗り出たのは、JJ。



「まあまあ。助けられた恩もある。

 それに、お互い気が合いそうじゃないか? な?」


「‥‥チッ。好きにしろ。」


「決まりだな。よろしく。」

「足を引っ張るようなら、見捨てるからな。」


「上等。」



JJと八車。火薬術士と、魔導鎧士。

2人は、5弱クラス。


きっと気が合うし、きっと良いコンビネーションができる。


とんとん拍子で、パーティ分けが済んだ。

ノクターの相手は、ダイナ・セツナ・フロントさん・ヤマブキ。



「ほう‥‥。上澄みが3人、5強が3人――。

 ナイト・メイジ・モノノフ。

 それとォ! 姉の出涸らしィ!」


「出涸らしぃ~!?!?」



指差されて、出涸らし呼ばわりされるセツナ。

優秀な姉のメイジの影に隠れて、影の薄い魔導拳士を煽られる。


出涸らし呼ばわりをフォローするのは、心強い味方であるフロントさんとダイナ。



「お前、頭悪いな。

 魔導拳士が出涸らしだったのは、今は昔の話し。

 英語で言うと、バックトゥザフューチャー。」(?)


「そうそう。舐めてると、痛い目みるからね!」


「――ハッ! 上等だぜ! ユニークに目覚めた俺の前では、強クラスも出涸らしも関係ェねぇ!

 ヒィィハァァァァ!!」



マイクを口に近づけ、ノクターが吠えた。

魔力の乗ったシャウトが、大気を震わせる。



「――イッツァ、デモニックフィールド‥‥‥‥!」



ウィスパーボイスで囁くと、ノクターとダイナたち、それとゾンビの姿が街から消えた。

どこか、専用のバトルステージに移動したようだ。



「さて‥‥。」



JJは八車に目配せをし、空を見上げる。

空には、帯電したゾンビメガロドン。


メリッサが憑依した、メガロドンが2人を見下ろしている。



『プレイヤーJJ、プレイヤー八車‥‥。

 観測を始めます。』



メガロドンの姿に変化が起きる。

メガロドンが分解されていく。


テクスチャが剥がれ、電子の存在へと分解されていく。



『肉体を再構築‥‥。プロトモジュールを適用――。』



地上に魔法陣が展開される。

再構築されたテクスチャが現れる。


CAD(設計ツール)で作図されたような見た目に肉付けがなされ、テクスチャに生命が吹きこまれる。



『パターン1。想定、地上戦闘。

 タイプ、ケルベロス。』



街に現れたのは、ケルベロス。

犬の体に、サメの頭。


三頭のサメから成る、地獄の番犬が、ボスとして立ち塞がったのだ。


シャークケルベロスを前に、JJは苦笑い。



「――如何にも、B級映画って感じだな。」

「頭を増やせば、強いとでも思ってるのか?」


『ご安心ください。

 きっと、お二人に満足していただける戦闘となるでしょう。』



‥‥‥‥。


JJと八車 vs サイバー・ゾンビメガロドンの戦いが、死とクリスマスの街で始まる――!





◎装備確認


プレイヤー:JJ

クラス  :火薬術士

ビルド  :ダブスタビルド


〇スキル

1.黒色・飛燕衝 New

2.⇒硝煙の残り香 (Sp) New

3.単純な製法 (Sp)

4.高性能火薬 (Sp)

5.強化シリンダー (Sp)

6.★ロケットスターター (Sp)

7.★ロケットスターター (Sp)

8.サバイバルキット (回復アイテム)


※Spは、スキルに装備するパッシブのこと。


x.外されたスキル

飛燕衝

飛燕刃



〇パッシブ

1.火薬鎚 (Ps)

2.火薬刀 (Ps)

3.火薬籠手 (Ps)

4.★無鉄砲な大量生産 New

5.★無鉄砲な大量生産

6.午後の死

7.七発目の弾丸(リーサルウェポン)

8.滋養と狂走 (回復アイテム)


※Psは、パッシブに装備するスキルのこと。


x.外されたパッシブ

火薬銃

失敗の母



〇EXスキル

1.バレットタイム

2.ダブルバレル New

3.高純度火薬(EXパッシブ)


x.外されたEX



〇Ultスキル

S.賢者の火薬 New

P.愚者の引き金 New



―――――



プレイヤー:八車

クラス  :魔導鎧士

ビルド  :カオスダブルオー (ビルド)



〇スキル

1.ストライクコア

2.エレメンタルコア

3.ヘヴィコア

4.ソードコア

5.ファントムコア

6.★アップグレードパッチ (Sp) New

7.★アップグレードパッチ (Sp) New

8.アドバンスパーツ(回復アイテム)


x.外したスキル

ショットコア

ストーカーコア



〇パッシブ

1.★カオスフォージバンクル

2.★カオスフォージバンクル

4.ソードコア適正

3.ダークアーマーキー

5.ファントムコア適正

6.背徳の狼

7.活性ディヴィジョナーウイルス

8.オーバードライブキー(回復アイテム)


〇EXスキル

1.ファイターチップ

2.ソードマンチップ

3.カオスチップ



〇Ult

S.オーバーコア

P.カオスシェイドフォージ



―――――


PvP専用ルール


PvPサーバーでは、Ultスキルの発動条件が通常と異なる。

Ultゲージと呼ばれる専用のゲージを使用して発動する。


Ultゲージは、AGの増減によって溜まっていく。

AGを100ポイント(4本分)、貯めるか使うことによって、Ultゲージが溜まり、スキルの使用が可能になる。


1度使用すると、そのゲーム中(イベントや対戦中)は、使用が不可能になる。

ただし、自分がデスしてリスポンした場合には、また使うことができる。





街に姿を現したシャークケルベロス。

CEの半分ほどの大きさに、黒い体。


赤い6つの眼で獲物を睨み、3つの頭で吠える。


3つの口から成る遠吠えは、雷の如き轟音。

易々と大地をカチ割って、衝撃波がJJと八車へと迫る。



「任せろ!」



JJが八車の前へ。

火薬刀を取り出し、コッキング。


EXスキル ≪ダブルバレル≫ を発動。


≪ダブルバレル≫ は、AGを消費せず、次の攻撃に弾丸を2発消費することにより、威力と範囲を強化する。


火薬刀の鞘に取り付けられた、引き金を引く。

スキル発動――。



「飛燕衝。」



≪黒色・飛燕衝≫ 。

黒色火薬のような真っ黒い煙と共に、刃が抜き放たれる。


下から、上に向けて抜刀斬り。


火薬を2発消費した斬撃は、黒い三日月となり、サメの背びれのように地を駆ける。


シャークケルベロスの背丈ほどに伸びた火薬の三日月が、ケルベロスの咆哮と衝突。

咆哮を火薬で掻き消し、JJたちが立っている場所だけ、咆哮の被害から免れる。


残弾、4発。



「――はッ!」



八車が、JJの背後から飛ぶ。

空中に着地し、踏み込み、空中ダッシュ。


八車のクラス「魔導鎧士」は、魔導拳士の使うコアレンズの力を装甲として纏い戦うクラス。


現在、八車が装備しているのは、ファントムコア。

魔導鎧士の専用コアレンズで、使用には特別なアーマーバンクルが必要。


その分、性能が高く、運動性能と格闘能力に優れる。

ただし、出力が強すぎるため、バンクルが焦げ付いて、レンズの交換ができなくなる。


八車が空中で踏み込むと、黒い炎が起きて、彼の身体を前へと押し出す。



「はァァッ!!」



黒炎を足に纏い、ジャンプキック。


ケルベロスは、キックを避けようともせず、真ん中の頭の口を大きく開く。

八車の攻撃ごと、食ってしまうつもりだ。



「ぬぅん!」



ブースターオン。

そうはさせないと、JJの攻撃。


ショットシェルを2発消費して、物凄い勢いですっ飛んできたJJが、無防備な顎下にアッパー。


赤く燃える拳が、蒼い炎を伴って繰り出される。

アッパーがケルベロスの真ん中の頭を捉え、八車のキックが、鼻先を捉えた。


JJと八車は、空中で姿勢を制御、追撃。

拳に、炎を纏う。


JJのスキル ≪硝煙の残り香≫ が発動。


火薬武器の弾丸を消費すると、一定時間「残熱」状態となる。

残熱状態中は、弾丸を消費する攻撃の威力が上昇する。


強化段階は3段階で、威力が最大20%上昇する。


JJの拳が白く、八車の拳が黒く。

拳から火炎が放たれ、ケルベロスに直撃。


地獄の番犬の巨体を退かせる。


が、ケルベロスもタダではやられない。


左右の頭が、それぞれに口からブレスを吐く。

高速かつ、圧縮された水のブレス。


渦巻く水流が、2人を別々に狙う。


左右に散るJJと八車。


ケルベロスに回り込むように近づき、首の可動域から逃れるように走る。

2人の後ろでは、道路と建物が、ブレスによって枯葉のように吹き飛んでいる。


三つ首の真ん中がダメージから回復する。


空を見上げ、狼のように吠える。

たちまち、空に黒雲が広がる。


狼の遠吠えに応えるように、空から雨のごとく雷が降り注ぐ。


地面は、水のブレスにより水浸し。

雷が、濡れた地面を通電し、2人を捕らえる。


一瞬で、地面を濡らす水が蒸発し、乾いた。


紙一重で宙に逃れた2人を、熱いスチームと、落雷が襲う。

スチームで怯み、雷に叩き落とされた。


ケルベロスが、追撃。

右の首が、JJにブレスを吐いて牽制。


体は八車の方へと向き、彼を前足で踏みつけようとする。


八車はテレポート。

しかし、移動先に回り込まれ、狩られてしまう。


番犬が頭を低く構え、地面を抉りながら突進し、跳ね飛ばされてしまった。



「ぐあッ!!」



吹っ飛び、建物を2枚抜きしてしまう。

が、時間は稼いだ、注意は逸らした。


この一瞬があれば、JJは立て直す。


――Ultパッシブ、発動。

「愚者の引き金」。


JJの右手に、ドクロの刻印がされたショットシェルが現れる。

体力100ポイントをコストに、愚者の弾丸を生成。


Ultとは、各クラスの到達点であり、極致。

この技法は、火薬術士、マイナス方向の極致。


火薬籠手のチャンバーオープン。

左手を素早く2回、開いて閉じる動作を行うことで、チャンバーが開く。


手の甲と、手首の部分の装甲が開き、使用済みのショットシェル3発をイジェクト。


空になった装弾口にUltで生成した弾丸を詰める。

チャンバーを閉める。


‥‥‥‥ブースターオン。


火薬籠手から、夕暮れのような、夜明けのような、光が漏れる。

光が蒼い炎と混ざり、爆ぜる。


愚者の弾丸は、次元を裂く。

宇宙とは無限に広がり、ロマンへと収束する。


左手起こった爆発は、次元を裂き、次元に広がり、ケルベロスの脳天へ火薬を叩き込む。


空間を捻じ曲げ、火薬を直接敵に叩き込む。

それが、愚者の弾丸の力。



火薬を極め、火薬術士は魔法を体得するに至る。


JJは、その場から1歩も動くことなく、三つ首の真ん中を潰した。


ケルベロスも、メリッサも、まさか火薬術士が魔法を使えるなんて知らなかったのだろう。

予想だにしない初見殺しにより、強烈な一撃を叩き込まれた。


頭を失い、足がもつれ、倒れ込む。


――そして、火薬術士の前で隙を見せるということは、死を意味する。


ブースターオン。

火薬籠手に残った、最後の弾丸を消費。


背を向けて倒れる番犬の元へと、一気に距離を詰める。

距離を詰め、背に登り、銃を構える。



「よぉしポチ! 躾の時間だ。」



主力火器、パイルバンカー。

パッシブ「無鉄砲な大量生産」が発動。


本来、AGが3ゲージ必要なパイルバンカーを、威力を半分にして、AG消費無しで使用できる。


そして、パイルバンカーは、火薬武器。

主力火器に装備されていても、パッシブによる火力上昇の恩恵を受けられる。


これにより、いまJJが放つパイルバンカーは、威力の減少幅を、1割にまで抑えている。

それを、無料で撃てる!


脇に抱え込んだ銃の引き金を引く。


6点バースト。

シリンダーに装填された全ての弾丸を使い、バレルに格納された杭を、音速を超える速度で撃ち出す。


杭の衝撃波が、ケルベロスの内部を破壊しながら、地面へと撃ち込まれる。


強力なダメージにより、立ち上がり暴れるケルベロス。

背中のJJを振り落とそうとするが、マジックワイヤーを撃ち込まれて、上手くいかない。


雷を呼ぼうにも、雷を制御している真ん中の頭を失って、上手くいかない。



「もう1発、食らっとけ!」



使いきりのパイルバンカーを捨て、新しいパイルバンカーを取り出す。

暴れられて不安定な背中の上で、無造作に引き金を引く。


接射ができず、威力が完全に発揮できないまでも、撃ち出された杭が、背中へ深々と刺さる。


ケルベロスは、2つとなった頭で悲鳴を上げる。

震える足で駆け、巨体を建物の壁に押し付ける。


背中と壁でJJを潰し、引き剥がした。

JJが、建物に埋まる。


JJと距離を取り、大きく口を開く。

2つの首が、ブレスで消し飛ばそうと構える。



――空を、黒い鎧が飛ぶ。


空を駆け、空を蹴り、黒炎を纏う。



「破ァァァ!!」



黒炎纏う蹴りが、ケルベロスの背中に命中した。

背中の、深く突き刺さった、杭に。


杭が燃え盛り、猛獣の背中へと食い込み、腹まで貫通。


腹に大穴を2つ開けたケルベロスは、空元気も限界に達し、動きが止まる。


建物に埋められたJJが飛び出す。

火薬鎚を縦に振るい、回転しながら空を飛ぶ。


八車がアーマーバンクルに「アーツチップ」を差し込む。



『――カオスチップ。オーバードライブ。』



EXスキル発動 ≪カオスインパクト≫ 。


右手に力を込め、単純明快なパンチを放つ。

――それを、黒炎の跳躍力で威力を高める。


『ファントムジャンプ。』

『――カオスインパクト。』


「ぬぅぅん!」

「デヤァァァ!!」



JJの火薬鎚が、八車の拳が、ケルベロスの左右の首を捉えた。


火薬と混沌をモロに受けたサメの頭には、亀裂が生じる。

内部を駆け巡る、膨大なエネルギーに、肉体が内部から崩壊していく。


爆発四散。


左右の頭は、亀裂から白と黒の光を放ちながら、ついに爆発して砕け散った。

サメの頭を失った犬の体は、憐れにもフラフラとよろめき、その場に伏せた。


八車が右手をプラプラと振り、JJが火薬鎚を担ぐ。



「伏せは、出るようになったな。」



軽口を叩き、八車の方を見る。

彼は腕を組み、「ふん」と鼻を鳴らした。


伏せをした犬を横目に、リロード。

鎚の柄尻を叩いてシリンダーを外し、新しいシリンダーを装填。


火薬籠手も、同様にリロード。

左手を2回、握っては開いて、チャンバーオープン。


タンカージャケットの裏地に括りつけてあるショットシェルを取り出して、装填。



「――リロードの時間をくれるなんて、随分と余裕だな。」



犬の亡骸に、そう呟く。



『ええ。おかげ様で、良質なデータの採取ができました。』



メリッサが、電子の身体を現わす。

ケルベロスの体が、電子の海に還っていく。



『あなた方を超えるには、首が3つでは足りないようです。』

「「‥‥‥‥。」」


『ならば――、こうしましょう。』



魔法陣が展開される。

CADの設計図が浮かび上がり、そこにテクスチャの肉付けがされていく。



『観測終了。プレイヤーJJ、プレイヤー八車。

 2人を倒すために必要な戦闘力の計算結果がでました。』



ケルベロスの2倍は大きい、怪物が街に現れる。

背の低い建物と、小さな人間を見下ろす。



『計算結果によれば、8つの頭があれば、あなた方を圧倒できる。』



此方を見下ろすのは、ドラゴン。

8つの頭を持つ、ドラゴン。


顔が3つあり、手と足にも頭があり、尻尾にも頭がある。


ヤマタノオロチのような、8つ首のドラゴン。



『サイバー・ゾンビメガロドン・ドラゴンアハト。

 これで、相手をして差し上げましょう。』


「‥‥サメに頭やられ過ぎだろ。」

「気を抜くな。強敵だぞ。」



サイバー・ゾンビメガロドン・ドラゴンアハト。

8つの首を持つシャークドラゴンが、5弱クラスコンビの前に立ち塞がる‥‥!

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