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Magic & Cyberpunk -マジック&サイバーパンク-  作者: タナカ アオヒト
7.5章_恐怖! 恐怖のクリスマスシャーク!

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210/228

SS12.07_ゾンビメガロドン

◎クリスマスイベント


逃げ延び、生き延び、オーブを20個破壊しろ!


参加人数:961人

1時間46分経過


サバイバー:113/761

キラー  :38/200

オーブ  :16/30





『草ァ! なんか知んないけど、草ァァ!』

『朗報! 我々の敵、パンツ姿で発見される。』

『修・羅・場! 修・羅・場!』



人の不幸とは、サイコーのエンターテインメントである。


例えるなら、ギロチン刑を見せ物にしたり、火あぶりを見せ物にする感覚に似ている。

石打ちのように、参加型の見せ物であれば、なおよい。


――エイメン。クリスマスの敵が、裁かれる時が来たのだ。



「――っ!? 何やってるのよ! 変態兄貴っ!!」

「不潔ですわ~! 不純ですわ~!」

「‥‥‥‥‥‥。」



情けない恰好のセツナを見て、やいのやいの騒ぐ、ハルとアンジェの金髪組。

目を見開き茫然自失のアイ。



「あ――! いや――! これは違うんだって!?」


「うわぁ!? 近寄るな変態!」

「痛っっった゛!?!?」



釈明をしようとしたところを、ハルに殴り飛ばされるセツナ。

シャークトパスと戦っただけなのに、ヒドい仕打ちである。


さすがに可哀想に思う、JJとダイナ。


野郎のバカなノリに、突然、女性の知り合いが混ざってきたら、こうもなる。

2人は、この愉快で憐れな状況から、今日セツナは、ハルとアイと遊んでいたことを察する。


アイは、M&Cの広報として働いていることを、ライブ配信で知っている。

会うのは初めましてだが。


金髪碧眼のミニスカサンタの方は、知らない。

話しぶりからして、セツナの妹らしい。


‥‥目の前の短いやり取りだけで、なんか兄妹の力関係が垣間見えてしまった気がするが‥‥。


ダイナは、歩けば棒に当たる男の行く末を見守りながらも、キラー3人組の1人、金髪ロールヘアの方を見る。



「――あれ? アンジェちゃん! やっほー!」

「ご挨拶が遅れましたわ、ダイナさん。」



アンジェは、ダイナのチャンネルのリスナー。


リスナーだし、何度か一緒に遊んだことのある仲。

ダイナが挨拶をすると、アンジェがドレスのスカートをつまんでお辞儀をする。


状況を見るに、アンジェもセツナを追っていたらしい。


ダイナは苦笑い。

頬を掻きながら、アンジェに説明を求める。


「え~っと‥‥。どういう状況か、教えてくれない?」

「それは、オレに任せてもらおう!」



むくりと変態が起き上がった。

‥‥ズボンを穿け。



セツナは、なぜ3人のキラーに追いかけられているのか?

それを、華麗なジェスチャーで説明する。


ゾンビの真似をして、首チョンパ。

チョンパした首を抱えて、ボーリング。

パーカーの裾を摘まんで、キャッ!


JJとダイナは顔を合わせる。

女性陣は、腕を組み頷いている。



(ゾンビの生首を、キラーの足元に投げた。)



と、セツナは説明をした。


ダイナとJJが、セツナに向き直る。

――とても良い笑顔で。



「ふふ~ん♪」

「へへへ――。」


「‥‥あの? ちょっと!?」



セツナの両脇を2人で捕まえて、放り投げる。

ゴロゴロと、セツナがキラーの前に差し出される。


投げられた変態に、ドン引いて退く(しりぞく)キラーたち。



「うわぁ!? ――ちょっと、変態を投げないでください!」



先ほどからの散々な扱いに、ビミョーな顔をするセツナ。

本日、セツナの好感度株は大暴落。ストップ安。



「さっきから聞いていれば‥‥。

 いいのか? そんな事ばっかり言って?


 あんまり傷つけちゃうと――――、上も脱ぐぞ!」


「うわぁ!?!?」



好感度暴落により、無敵の人になりつつあるセツナであった。

キラーは、パーカーの裾を掴む彼から、さらに距離を取る。


アイが、ほんの少しだけ、頬を赤らめる。



「ドン引きです、ドン引きです! ドンっっっ引きです!!!!」



そう言って、顔を両手で覆った。

赤く美しい瞳が、手のひらに隠れてしまう。



「‥‥‥‥。」



無言の時が流れる。


セツナが、転がった姿勢で、アイをビミョーな顔で見ている。


例えるなら、目玉焼きに、ケチャップをかけて食べた時の、ビミョーな顔。

オムレツには合うのに、どうして目玉焼きにケチャップはマイノリティなのだろう?


全員の視線が、アイに集まる。



「‥‥‥‥(チラッ)。‥‥‥‥(チラッ)。」

「‥‥‥‥。」



チラチラと、指の隙間から、赤い瞳がチラチラとしている。

繰り返すこと、それを数回。



「‥‥‥‥脱がないんですか?」

「脱がんわ!? 当たり前でしょ!!」



アイの発言に即答するセツナ。

無表情と、ビミョーな表情が交錯。



「「‥‥‥‥。」」


「――うふふ♪」

「ひ゜え!?」



キラーが、サバイバーにグイとにじり寄る。

起き上がったサバイバーの、パーカーのフードを掴む。


そして、パーカーの裾に手を掛ける。



「きゃ~~~!! 変態ぃ~~~!!」

「良いではないですか。良いではないですか。」



裏声で叫ぶセツナ。

平坦な抑揚で、ノリノリのアイ。


迷子だった空気に、オチが見え始めた。


JJとダイナは顔を見合わせ、ハルはアンジェと見合わせる。



「「「「‥‥はぁ~~。」」」」



一同、みな一様に、ため息をつくのであった。





「オイ! 全員逃げろォ! ヤツが来る!」



穏やかな、サバイバーとキラーの団欒を切り裂く、男の怒号!

6人は我に返り、気を引き締める。


公園に居た愉快な6人組に、サバイバーが叫んだ。


セツナは、着替え機能により、服装をチェンジ。

裏社会の蝶を追っていた時の、ワインレッドのスーツに着替える。


男は、しきりに空を気にしながら、何かから逃げている。

公園の入り口に停めてあったサメバイクに跨り、一目散に逃げようとする。


空を見上げるも、何も居ない。

人食いザメの残党が飛んでいるが、ここまで生き残ったプレイヤーにとっては脅威にならない。


周囲を警戒する。

――地面が揺れる。


地震――とは異なる。

地中の奥底が揺れるのではなく、もっと浅い所が揺れるような――。



「うわぁぁぁぁぁぁあ!?!?」




瞬間、男が地面に飲み込まれた。

バイクのエンジンを点け、道路の真ん中に出た瞬間のことだった。


地中から顔を出した捕食者に食われた。

サメの頭が、道路を下から食い破り、サバイバーを地中に引きずり込んだ。


固唾を飲む一行。

公園の前には、地中へと繋がる大きな穴と、静寂だけが残る。


恐る恐る、セツナが大穴へと近づく。


ハルとアイが、心配そうに止めようとするも、JJとダイナがセツナの背中を押す。


映画で良くあるパターンだ。

一瞬だけ姿を見せた()()を確かめようとして近づいて、食われて死ぬパターンは。


スクリーンの向こうから見ている分には、なぜ迂闊に近づくのかと思うことであろう。


だが、自分の立場になって考えて欲しい。

今そこにある脅威を、見て見ぬふりをするのは、脅威に近づくよりも恐ろしいのだ。


スーツに着替えたセツナが、大穴に向かい、大穴を除く。

空のお日様が、大分傾いてきた。


黄色味を帯びる日差しに照らされて、アスファルトの下の土を照らし、その奥で深淵がこちらを覗いている。


穴からは、湿った(しけった)土の匂いが立ち上っている。

‥‥‥‥。


物音。

穴の奥から、音が聞こえる。


地中を泳ぎ、地面を揺らす、音が。



「ああああああああああ!!!!」



日差しに照らされ、地中を泳ぐ何かの正体が明らかとなる。

サメに食われた男の手が、地中から伸びて来る。


セツナは大穴から離れる。

振り返ると、残りの5人は銃を構えて迎撃の準備が整っている。


穴から、食われたサバイバーとサメが飛び出してくる。


――大きい。

空の人食いざめが、コバンザメに思えてしまうほどに、大きい。


体長15メートルの巨体、白く濁った瞳。

‥‥背中と腹に、杭を穿たれたような風穴。



「――!? アイツは!」



JJが勘づいた。


そう、ヤツは「ゾンビメガロドン」。

地獄の淵より、生者を地獄の腹に引きずり込むべく、蘇ったのだ。


空でメガロドンが口を開くと、サバイバーの悲鳴は消える。

地上に、彼の腕だけが零れて落ちてくる。



「撃て!!」



ダイナが叫んだ。

各々、持ち得る火器をぶっ放す。


JJは、ダイナから譲り受けた軽機関銃をぶっ放す。


弾丸の嵐が、クジラに匹敵する巨躯を襲う。

音速を超える暴力と運動エネルギーによって、肉が削がれ、骨が砕かれ、鉛が体を貫通する。


‥‥が、濁った瞳は、悠々と地上を見下ろしている。



「逃げよう! 全員で!」



セツナが、ハルとアイの背中を押すようにして撤退を促す。

ダイナたちも銃をしまい、公園の敷地を走り出す。


サメは、プレイヤーを無差別に襲う。

ゾンビメガロドンを前に、サバイバーやキラーなどと言っている場合ではない。


ハルとアイは、セツナの指示に従う。


想像したのであろう。

彼奴に無惨に食い殺される、自分の姿を。


この街で、プレイヤーは綺麗に死ねない。

グロテスクな肉塊に変えられる自分の姿を想像するのは、女性陣にはさぞ堪えるだろう。



「どうしますの? これから?」



アンジェが、今後の方針をダイナに聞く。

混成6人分隊の後方では、セツナとJJがメガロドンを引き付け、捕食を避けて凌いでいる。


ゾンビメガロドンは、動きこそプレイヤーのダッシュよりも速いが、攻撃は緩慢。

セツナとJJであれば、2人掛かりでターゲットを分散させれば、何とか凌げる。


メガロドンが、公園の芝生を飲み込みながら、セツナを追いかける。

それを横から、JJが射撃。


軽機関銃の攻撃により、メガロドンの速度が削がれ、セツナがメガロドンの追跡を振り切る。


メガロドンが立ち止まり、JJの方へと方向転換をしようとする。


ホルスターからリボルバーを抜く。

早撃ち。サメの鼻っ柱に強烈な1発をお見舞いする。


メガロドンは停止し、その後、空へと飛ぶ。


ダイナは手鏡を使って、空を飛んだメガロドンを追う。



「オーブを探そう。

 オーブを壊して、魔力を取り戻す。」



現状では、勝ち筋が見えない。

ゾンビメガロドンは、あまりの巨体ゆえ、攻撃を避けるのにすら弾丸を消費する始末。


倒し切る火力が無ければジリ貧だ。

ダイナは、そう判断した。


コートのポケットから、通信機を取り出す。



「メリッサ。オーブの位置を教えて。」

『‥‥‥‥。』


「メリッサ?」

『‥‥‥‥。』



トランシーバーに呼びかけるも、メリッサから返事が無い。

通信機からは、砂嵐の音が虚しく響いている。


公園を抜ける。

メガロドンは、相変わらず6人を追いかける。


道路から、シャークレイダー。

2体のレイダーが、ますます場を混沌とさせる。


セツナが、レイダーに捕まった。

メガロドンとの波状攻撃によって、投げ縄に捕まる。



「セツナさん!」



彼の窮地に動いたのはアンジェ。

腿に隠していた銃を抜き、レイダーの背後を撃ち抜く。


セツナを拘束する縄をレイピアで切り裂いた。



「ありがとう。」



お礼を言ったのも束の間、レイダーの残党が2人に襲い掛かる。


2人とも横方向へ回避。

セツナはリボルバーを引き抜きながら、捻り側宙。


サイドフリップでレイダーを捌きつつ、空中で180度回転。


頭が地上を向いた状態で発砲。

レイダーの背中に弾丸が命中して、レイダーを倒す。


リボルバーの残弾、あと1発。


それを、空へ。

標的はメガロドン。


膝を付いているアンジェに狙いを定めた、大ザメを狙う。


射撃は命中。

――が、メガロドンは止まらない。


空からの自由落下によって、減速することなくアンジェに大口を開く。



「‥‥。セツナさん!」



最期、レイピアを託し、笑顔を向けて、アンジェはサメの腹に消えた。



「――ッ!! ‥‥‥‥。」



脱落者が出た。

託されたレイピアを拾い、JJのサポートによって、メガロドンを振り切る。


悪夢と受難は終わらない。


公園を出て、街に戻れば、そこには死者の宴。

建物の中から、次々と亡者が溢れかえり、道を埋め尽くさんとしている。


クモの卵から赤子が孵ったかのように、建物から道路へとゾンビが溢れる。



「ピンポンパンポーン☆

 良い子のキラー諸君、ご苦労!」



この状況を煽るかのように、ナイスデイのマイク放送。

アイとハルの身体が、光に包まれる。



「脱出用のヘリの準備ができた!

 今から、転送しちゃうぞ~。」



アンジェが死亡したことで、脱出ヘリの席が足りるようになった。


キラーの役目は終わり。

テレポートで、フィールドから退場させられる。


すべては、ナイスデイの策略通り。


ゾンビメガロドンという、サバイバーとキラー、両陣営の脅威となる存在がフィールドに現われれば、プレイヤーは結託する。


敵の敵は、味方というヤツだ。

だから、キラーを退場させる。



「皆さん、これを!」



ハルが呼びかけ、キラー2人が持っていた武器を、サバイバーに託す。


セツナが、アイからレバーアクションクロスボウを受け取る。

レバーアクションライフルのようにコッキングすることで、弦を引き、装填を行えるクロスボウだ。


ダイナは、ハルからグレネードを数個と、チェーンソーを受け取る。

JJは、鉈と投げ斧を受け取った。


3人がお礼を言うと、サンタ服のキラーはテレポートで脱出した。


ダイナが、グレネードのピンを引き抜き、ゾンビの群れに投擲。



「行こう。」



背後にメガロドンを引き付けつつ、3人は死者の群れの中を進む。



『生存者、残り31名。』

『オーブ破壊数、18個。』



――生き残るのだ。

生き残り、少しでも脅威を引き付けるのだ。


そうすれば、他の生存者がオーブを壊してくれる。


ここまで生き残るプレイヤーであれば、言葉を交わさずとも、連携が取れる。

そう信じて、確信して、3人は死者と死ザメの相手をする。





「殺せッ! 残らず撃ち殺せッ! 弾を抱えまま死ぬのは恥じと思え!」

「「「オオォォぉ!!」」」



どこかで聞いたことがあるような怒号が、街の中に響き渡る。

ゾンビの呻き声を掻き消すように、恐怖から自らを奮い立たせるかのように、勇ましい声が響く。



「いいか! 生き残ることは諦めろ! だが、簡単にくたばるな!

 死ぬまでに何ができるか考えろ!」


「「「オオォォぉ!!」」」


「悪趣味なサンタに、誰に喧嘩を売ったか、教えてやれェ!」


「「「ウオオォォぉ!!」」」



ここに居るのは、6人分隊。

本当は10人だったのだが、オーブを壊すために、別行動をすることにした。


6人が敵を道に引き付け、4人がその隙にオーブを破壊する。


ゲームが大詰めへと差し掛かり、数が増えたゾンビを次々と薙ぎ倒していく。


――託すのだ。

自分たちがここで終わっても。


あと2つ、オーブを壊せば、魔力を取り戻せる。

そして、1つは自分たちが責任を持って破壊する。


そうすれば、生き残っている連中――。

自分たちとは違う、スペシャルな連中が、絶対にゲームを勝利へ導いてくれる。


自分たちとは違う、群れずして大群の連中が、ボスだろうが何だろうが、倒してくれる。


‥‥‥‥。

願わくば、そんな連中と肩を並べて、あるいは――、相対して――。


味方の中に、弾が尽きた者が現れ始めた。

彼らは身体を張り、ゾンビの群れへと突っ込む。


自らの身体を武器として、盾として、味方の火力を支援する。


そして、体力が尽きる寸前――、グレネードのピンを抜く。


爆発が起きた、2つ。

揺動部隊は、残り4人となった。



「――報告します!」



破壊部隊から連絡。



「オーブを破壊! 繰り返します! オーブを破壊!」

「ヨシ! 良くやった、合流して――。」


「――!?!? な、なんだコイツは――!?

 うわぁぁあぁああああ!!??」


「!? オイ! 何があった! 応答しろ!」



通信が途絶える。


揺動部隊を、暗い影が覆う。

空から、巨大な影が。


――順番だ。死神の鎌が、首筋に掛けられた。



「怯むなァ! 地獄を見せてやれぇェェェ!!」


「「「ウオオオオオオオオオオ!!!!」」」



‥‥‥‥。

‥‥。



――そして物語は、冒頭へと至る。



喫茶店に、バッハの名曲、G線上のアリアが流れている。

喫茶店の扉と窓を、死者の軍団が、ひっきりなしに叩いている。


セツナは、ゾンビに抉られた腹の傷を押さえながら、名曲に耳を傾ける。


ゆったりと、田園に流れる川を、二羽の白鳥が泳いでいるようなメロディに、うっとりと心を傾ける。


喫茶店の窓が割れた。

ゾンビが、店内へと雪崩れ込む。


顔にガラス片が刺さり、血みどろとなったゾンビが、たった1人の生者に迫る。


背もたれにしているカウンターの裏を見る。

そこには、プレゼントボックス。


絶望的な彼を煽るかのように置かれたプレゼントを、血の付いた手で開封する。

思えば、今日はコイツに振り回されてばかりだった。


だからこそ、最後くらいは――。



「‥‥‥‥。

 当たり、だね。」



導火線に火が付いた中身を確認して、セツナはカウンターに背中を預ける。

ゾンビが、彼に集った(たかった)と同時、喫茶店は爆発を起こし、空高く火柱を上げた。


火柱と共に、喫茶店の残骸が空へと飛んで、ナイスデイの乗るヘリコプターを墜落させる。


喫茶店の外では、ゾンビがお食事タイム。

JJに対し、100人掛かりで、むしゃむしゃしている。


喫茶店から約200メートル離れた、ハンバーガーショップの屋根。

腹に赤く一文字を入れたダイナが、お店の看板にもたれて、しんみり夕日を眺める。


彼女を屠った巨躯のゾンビが空に吠える。

両手に鎌を持つ彼は、どことなく、「ヒーハー」と叫んでいるように聞こえる。



「――ああ‥‥‥‥。夕日が、しみるなぁ‥‥‥‥。」



視界がぼやけ、目を瞑る。



サバイバー:セツナ(Dying)

サバイバー:JJ  (Dying)

サバイバー:ダイナ(Dying)



サバイバーの願った、勝利は遠い。


街に沈む夕日を追いかけるように、近づいても近づいても、追いかけても追いかけても、遠く離れてしまう。





‥‥‥‥。

‥‥。






「生半可なナイトには真似できない、ホーリーィィィ!」



銃声は失せ、死者の音だけとなった街に、ナイトの声が高らかに響いた。

名も無きサバイバーたちの遺志は、確かに託された。





◎クリスマスイベント


逃げ延び、生き延び、オーブを20個破壊しろ!


参加人数:961人

2時間17分経過


サバイバー:6 (瀕死3名)/761

キラー  :20(19名脱出)/200

オーブ  :20/30



‥‥‥‥。

‥‥。


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