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Magic & Cyberpunk -マジック&サイバーパンク-  作者: タナカ アオヒト
5.5章_11月のサウィン祭

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170/231

SS8.EX1_ステータス確認_三悪魔

HAHAHAHAHA――――。


やあ、良い子の諸君。

あわてんぼうの、サンタクロースだよ!


私のサプライズプレゼントは、気に入って貰えたかな?


今日は、サウィンの夜に配り忘れた、三悪魔CEの説明書を配布するよ。


説明書を忘れるなんて――。

サンタさんったら、あわてんぼうでお茶目な、うっかりさん☆


要件はそれだけだ。

シーユー、あばよ!!

◎バックボーン:棄てられたはずの三悪魔


三悪魔は、厄災時代に棄て置かれたはずのCE。


厄災を殺すため、厄災の力を振るうCE。

それが、三悪魔の設計思想であり、運用理念。


厄災の(あるじ)たる、龍の体や残骸をCEのパーツに使用することで、厄災を振るうCEを作り上げた。


それらのCEは、龍を母体とする厄災の子として、悪魔のセンチュリオン「デーモンCE」と呼ばれるようになる。


悪魔は人によって創られ、母たる龍に挑み、設計思想と運用理念の通り、戦火を上げ続けた。


戦火を上げ、死闘を生き残り、厄災を食らい続け、悪魔は同胞を増やし、より強大になっていった。

悪魔の力が増すほどに、終わりのない厄災の最期が近づいた。


青さを忘れた空に、夜明けの星が灯った。


そして、最後の龍をついに倒した時――。


悪魔の1体が、8体目の龍となった。


8体目は、兄弟を皆殺しにし、かつての戦友を殺し、最悪の厄災として人類を震撼させた。


厄災を生き残った人類は、明けの明星に誓った。

悪魔は、この時代に棄てていこうと。


以降、強くも忌まわしいあの存在と、その技術、その力。

龍にまつわる技術と知識を、人類は棄てた。


‥‥捨てた、はずだった。

しかし、新時代を生きる人類は、その知的好奇心と探求心によって、現代に悪魔を復活させてしまった。


いったい、どこから龍の残骸を入手したのか?

いったい、どこで厄災の技術を知ったのか?


それは定かでは無い。


ひとつ言えることは、人類は、手にした力と武器を、手放すことはできないということだ。


力が呪われているのではなく、武器が呪われているでもなく――。

我々の本能が、そう呪うのだ。





◎三悪魔:カオスルーラー (???型 ???シリーズ)


〇スペック(ノーカスタム時)


0 - 100  :1.66s (基準値:1.5s)

実戦最高速:145km/h (基準値:150km/h)

理論最高速:215km/h (基準値:220km/h)


CE耐久値:12222 (基準値:1万)

積載武装:カオスレガリア・悪魔の黒雷



〇性能比較(ホワイトナイト:ダイナカスタム)

0 - 100  :1.18s (基準値:1.5s)

実戦最高速:162km/h (基準値:150km/h)

理論最高速:262km/h (基準値:220km/h)


CE耐久値:12000 (基準値:1万)

積載武装:エネルギーソード、エネルギーシールド、外付け魔導電池



〇機体解説

三悪魔の機体のひとつ。

最も最初に製造された、悪魔の機体。


戦闘によって剥がれ落ちた龍の鱗を、ボディフレームの素材として使用している。

素材は龍の鱗、素体となったCEはホワイトナイト。


ドラゴンフレームを、ホワイトナイトにカスタムすることで、悪魔の第一子は誕生した。


汎用性に優れるホワイトナイトは、龍の残滓(ざんし)が残るボディにも適応。

結果として、膨大な魔力を持つ機体に進化した。


また、龍パーツへの適応により、機体は中量級と重量級のあいだを取ったスペックに変質。

まるで脱皮をするように、有機的な変異を起こすのは、悪魔が生きていると言われる所以(ゆえん)


ドラゴンフレームは、尽きぬ魔力を有しており、ジェネレータとは別の動力源として使用が可能。


そのため、この機体は、見かけ上のジェネレータ効率が100%を超える。

この特徴は、他の悪魔CEにも共通する。


また、その他の共通点としては、黒雷が挙げられる。


黒い稲妻は、悪魔のノイズ、不協和音。

シンクロとは似て非なる機能であり、武装。


黒雷は、パイロットの生命力を奪うことで発動する。

この機能を、ゼナスと呼び、三悪魔の象徴となっている。


黒雷の発動条件は三悪魔で共通だが、性能は機体によって異なる。


カオスルーラーの黒雷は、エンチャントゼナス。

身体能力が強化され、武器や装甲にエンチャントが掛かる。


三悪魔の中では、最も大人しい黒雷で、シンクロと似た性質を持つ。

シンクロとゼナスは別の機能であり、同時に発動による重複が可能。


不和同調(ゼクロス) (XX)により、相乗効果を得ることも可能。


ただし、三悪魔の黒雷は、武器であり拘束具。

パイロットを死地に縛り付ける、拘束具。


パイロットをCEに縛り付け、生命力を奪い、戦いを強要する黒雷(ゼナス)

強力な機能ゆえに、使い間違いは許されない。


機能に使われれば、そのまま死に直結する。

――用心されたし。


カオスルーラー固有の武装としては、様々な武器を生成する、カオスレガリアが挙げられる。


ドラゴンフレームから生じる魔力を、武器として形成することによって、あらゆる戦場に対応する。


生成できる武器は、剣や盾。弓にボウガン。槍・メイス・フレイルなどなど。

剣と魔法の世界にありがちな武器は、一通り生成することができる。


反面、現代的な武装は一切装備させることができず、ホワイトナイト由来の汎用性は死んでいる。


これに関しては、龍のパーツに適応できているだけでも、相当に機体に負荷を与えているため、仕方のない面もある。

カスタムの幅は、内装関係(※)のみに留まることになり、カスタムで個性を出すことは難しい。


内装は、サブジェネレータなどの追加アタッチメントが代表例。

他には、CEの血管であり筋肉である、CEファイバーの換装などが該当する。


しかし、カオスルーラーの個性は、ガレージの中でなく、戦場でこそ発露する。


扱う武器の豊富さから、どんな局面でも仕事ができる安定感。

これが、この機体の強み。


選択肢の多さは、パフォーマンスの安定や向上だけでなく、パイロットの個性の表現にも寄与する。


パイロットの得意を押し付ける武器選択、その状況に持っていくための搦め手。


扱える武器が多いということは、長所を伸ばし、得意を押し付け、苦手を潰す。

これら一挙三得の強み。


カスタムの幅こそ少ないが、その立ち回りは、パイロットの個性が色濃く表現されるだろう。


総じて、カオスルーラーは、厄災の子でありながら、まだCEとしての理性と機能が残っている機体。

CEの延長として操縦ができ、三悪魔の中で、最も人類に寄り添っている機体。


混沌の支配者を名乗っているが、意外とフレンドリーで友好的なCEである。





◎三悪魔:スノーデビル (???型 ???シリーズ)


〇スペック(ノーカスタム時)


0 - 100  :1.00s (基準値:1.5s)

実戦最高速:200km/h (基準値:150km/h)

理論最高速:300km/h (基準値:220km/h)


CE耐久値:6666 (基準値:1万)

積載武装:DDD (ダイヤモンド・ダスト・ディアマンテ)・悪魔の黒雷



〇性能比較(プロトエイト:セツナカスタム)


0 - 100  :0.84s (基準値:1.5s)

実戦最高速:180km/h (基準値:150km/h)

理論最高速:350km/h (基準値:220km/h)


CE耐久値:8500 (基準値:1万)

積載武装:カタール(双剣)、ブロードソード(両手剣)、ENクナイガン



〇機体解説

極めて珍しい、氷を操るCE。


シャープなデザインと、ダイヤモンドダストを発生させながら戦う美しい姿から、「ダイヤモンドリリー」の異名を持つ。


素体となったCEは「ハイレーン」と呼ばれる、プロトエイトの遠い祖先。

使用した龍の部位は、血液。


軽量機のハイレーンに、龍の血を注入。

CEファイバーに、龍の血を混ぜて織り込むことにより、スノーデビルは誕生した。


血を素材とするとこで、構想段階では、龍のような高威力のブレスの実現を期待されていた。


高速機動、高速離脱による、龍のブレスによる制圧。

例えるならば、爆撃機のような運用を期待されていたのだ。


しかし、実際に龍の血から生まれたのは、氷の女帝だった。


後に分かることだが、龍の血には、龍自身の強すぎる力を抑止するための鎮火剤としての機能があったのだ。

感情が高ぶり、鼓動が鱗を逆立てると、この抑制効果が薄れ、自分の身を滅ぼすほどの魔力を発生させる。


龍の血は、龍の心臓が生み出す、無限の力と闘争心を、奪って放出霧散させている。

無限の力を絶えず奪うために、血液は強力な負の魔力を帯びている。


これが、スノーデビルの氷の正体であり、三悪魔の黒雷の正体。


氷の悪魔が放つ、龍由来の負の魔力(ゾント)は、あらゆるエネルギーを奪い凍てつかせる。

そのため、彼女が舞えば、周囲の熱は奪われ、ダイヤモンドダストが発生する。


それだけでなく、氷柱や氷壁を生成する芸当も可能。


この氷に触れると、負の魔力にエネルギーを奪われ、あらゆる物体は脆弱になる。

歩兵、CE、建築物を問わず、凍傷は重症の引き金となる。


氷で相手の力を奪い、動きを奪い、鋭い爪で仕留めるのが、女帝の美しくも残酷な戦い方。


また、負の魔力は攻撃だけでなく、防御にも使用できる。


氷壁で遠距離攻撃を防ぐ。

吹雪を発生させて姿を眩ます。


ダイヤモンドダストを纏い、氷の鎧とすることで、ダメージを軽減しながら相手を脆弱に陥れる。


――などなど、氷は攻守に優れた性能を誇る。


カオスルーラーのような豊富な武器を持たず、武器は氷の生成一辺倒ではあるが、混沌の支配者には真似できない、テクニカルで狡猾な戦い方が可能になっている。


黒雷(ゼナス)の性質は「サルニエンシス」。彼岸の雪。

発動させると、ダイヤモンドダストに黒雷が付着して、地上と空を問わず、赤い花が咲く。


氷の種を黒雷が育み、世界に根を下ろし、(つぼみ)を付け、花開き、満開となって散る。


散った花弁は激しい猛吹雪となり、辺り一面を襲い、花弁は種となって再び花をつける。


種、花、吹雪。

このサイクルを、女帝に歯向かう者が居なくなるまで続ける。


赤い花は散って積もり、大地に挿す大輪となる。


一帯を、赤い凍土に変えてしまうゼナス。

これほど強力な力である。吹雪の影響は、女帝に仕えるパイロットにまで及ぶ。


赤い凍土は、コックピットの中にまで広がり、パイロットの身体をも花の糧にさせるのだ。

一度ゼナスが発動すれば、コックピットは赤い花で一杯に埋まる。


そのため、無策でスノーデビルのゼナスを使用すると、パイロットは高確率で死亡する。


対策としては、シンクロによるゼナスの強制中断が挙げられる。

シンクロによって、機体の主導権をパイロットが完全に掌握し、女帝に命令に従わせるのだ。


パイロットの闘志によって、女帝の権力を奪い、彼女を跪かせるのだ。


プライドと不遜の結晶である氷の悪魔と付き合うならば、彼女を這いつくばらせるくらいの気概が無ければ、文字通り身体がもたない。


総じて、スノーデビルは、美しく残酷なCE。

俊敏かつ狡猾、矛にして盾。


そして、一度でも逆鱗に触れようものなら、従者もろとも世界を凍らせる。

美しく、冷たく、情熱的な機体。


‥‥なお、ひどい浪費癖があり、シンクロをしても、戦闘能力が向上しない。

女帝に貢物が供されるのは当たり前だし、それを浪費するのは女帝の務め。


このように、カオスルーラーを除く他の機体は、龍由来の気性難な性質がある。

気性難は、CEが龍に近づくほど顕著に現れる。





◎三悪魔:グレイドラグーン(???型 ???シリーズ)


〇スペック(ノーカスタム時)


0 - 100  :1.5s (基準値:1.5s)

実戦最高速:150km/h (基準値:150km/h)

理論最高速:220km/h (基準値:220km/h)


CE耐久値:10000 (基準値:1万)

積載武装:龍の心臓・悪魔の黒雷



〇機体解説

かつて、人類が生み出してしまった厄災。

その元凶となったCE。


科学者たちは、厄災の力をより効率的に引き出す方法を模索していた。


カオスルーラーと、スノーデビルの戦闘データを研究し、ひとつの仮説に至る。

それは、CEが龍に近づくほど、機体の性能が向上するのではないかという仮説。


様々な()()()()の末、この仮説は確からしいとの確証を得た。


そして満を持して、龍の心臓を核としたCEが製造された。

それが、グレイドラグーン。


素体となったCEはおらず、龍にふさわしい体を、特注で生産。

ゆえに、この竜に父はおらず、他のCEと血が繋がっていない。


彼の肉親は、厄災の主か、それらから生まれた悪魔たちだけである。


厄災を終わられるために生まれた悪魔は、龍の心臓を持って生まれた影響で、気性が相当荒い。


科学者や技術者をして、「龍はまだ生きている」と、そう言わしめるほどだ。

他の悪魔と異なり、このCEにはOSを積んでいないのに、彼には最初から自我があった。


その自我と気性の荒さは、戦闘においてパイロットを大いに悩ませる。

なんと、グレイドラグーンは、パイロットの操縦を振り切って、勝手に行動をすることがあるのだ。


例えばそれは、戦闘領域を離脱しようとする時に、極めて強く現れる。


パイロットが戦域を離脱しようとすると、ゼナスでパイロットを気絶させ、戦闘を続行しようとする。

彼は、敵が居なくなるまで戦うことを止めない。


もし、エージェントがこの機体に乗り込んだ場合でも、それは変わらない。


パイロットが、待ちや引き行動など、消極的な行動を繰り返すと、グレイドラグーンは苛立ちを募らせる。

そして、細くて短い堪忍袋の緒が切れると、パイロットの制御を振り切って、勝手に暴れ始める。


これは戦術兵器・戦略兵器としては無視できない欠陥で、厄災時代の関係者は相当に頭を悩ませたらしい。


一応、どうしてもやむを得ずに、竜を命令に従わせたいのであれば、シンクロで無理やり言うことを聞かせる他ない。

‥‥機嫌がますます悪くなるので、破滅の先送りでしか無いのだが。


彼の戦友としてありたいのならば、彼の闘争心に応えられるだけの器が求められる。

逆に、強さにしか興味が無い彼を十二分に扱える者には、龍の誇りに習い、敬意を表して接するだろう。


悪魔の中の問題児。

末っ子の竜である、グレイドラグーンのゼナスは、捕食。


黒雷によって敵を食らい、相手の力を我が物とする。


捕食に成功すると、自身の耐久値も回復するため、上手く使えば、他のCEでは有り得ない継戦能力を発揮する。


また、龍の心臓の最も近くにあるパーツによっても、彼の性能は変化する。

乗り込むパイロットのクラスやビルドに応じて、彼のスペックや武装も変化する。


戦いに関して勤勉で真摯な彼は、パイロットの戦闘データも参考にしているらしく、ビルドが同じであっても、微妙に性能が変化する。


龍に至るために製造された、唯一無二の体。

パイロットによって変化する性能。


この機体はまさに、正真正銘のワンオフ機体となり得る。


総じて、グレイドラグーンは、CEという枠組みから大きく逸脱した機体。

竜の体に、暴走する闘争心。


悪魔を、味方だと思っても、仲間だと思ってはいけない。

悪魔に乗るとは、悪魔を使役するとは、そういうことだ。


竜の我儘や、気性難さえも楽しめるならば、彼を戦地に呼ぶと良い。

地獄の沙汰も、天の巡りも、悪魔しだいなのだから。


‥‥‥‥。

‥‥。


異常なまでの、強さへの執着。

異常なまでの、進化への憧憬。


それらは全て、劣等感の現れ。

偉大な母の、厄災と力の象徴たる母の足元にも及ばぬ、非力で小さな自分への劣等感。

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