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Magic & Cyberpunk -マジック&サイバーパンク-  作者: タナカ アオヒト
5.5章_11月のサウィン祭

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SS8.03_ハロウィンな気分にさせられて。

アイは、セツナに遊ぼうと声を掛けられた。

サウィンイベントの初日、一緒にイベントを見て回ろうと。


ハルは、セツナに遊ぼうと声を掛けられた。

サウィンイベントの初日、一緒にイベントを見て回ろうと。


イベント当日、アイとハルは、同じ時間、同じ待ち合わせ場所でばったり出くわした。

2人は知人で、フレンド同士。


それだけなら、奇遇で終わっただろう。


しかし、それでは終わらなかった。

なぜなら2人とも、セツナに誘われた者同士だったからだ。


ハルは、アイがセツナとフレンドだということを知らなかった。

同じくアイも、ハルとセツナがフレンドで、しかも兄妹ということを知らなかった。


知り合いの知り合いが、自分にとっても知り合いだった。

しかも、全国から人の集まる電脳世界で。


そうであったならば、思わず驚いてしまうもの、仕方がないであろう。


「どう? 驚いた? ビックリした? ビックリしたよね?」


手持ち看板を左右に揺らしながら、驚く2人を煽るセツナ。

驚いた声を聞いて、イタズラ好きなカボチャさんが3人の元へ駆けつける。


セツナとカボチャさんは、左右に揺れる看板と共に、身体も左右に揺らしている。


2人の反応――、仕込みと芝居を打った甲斐があった。


週刊エージェントを視聴した日に、セツナは行動に移った。


まず、映像の検証を実施。


検証画面では、プレイヤー名までは表示されない。

プレイヤー1とか、プレイヤー2などの表示となる。


ただ、パーティの組み分けは知ることができる。


その画面にて、アイの体力が減った時に、ハルの体力が回復していたことを確認。


アイはパッシブによって、被ダメ回復の能力を有しており、自身がダメージを受けると味方全員 (パーティ全員)を被ダメージの一定割合分を回復させる。


そのビルドを知っているからこそ、2人がパーティを組んでいることが分かった。


検証が終われば、さらに下準備。

アイとハルのサポットに、セツナのサポットであるマルが、2人の交友関係を確認。


もし、考えにくいことだが、アイとハルの関係がこじれていないかを、マルに確認して来てもらった。

その結果は、色よい物だった。


2人の仲は良く、あの後も一緒に遊ぶ間柄となったらしい。


これで条件は整った。

仕掛けねばなるまい、ドッキリを。


計画は今夜決行。

作戦は成功。


2人の驚く顔を見て、セツナはご満悦。

裏で手を回した労が報われた。


「「むう‥‥‥‥。」」


そんなセツナを、アイとハルがむくれっ面で囲む。


「あれ? どうしたの? ――なんか怖いよ?」


カボチャさんの手籠から、飴玉を貰う。


「ほらほら、笑って笑って? スマイル、スマ~イル。

 トリック・オア・トリート~~~!

 ‥‥なんちゃって~~?」


「ハルちゃん。」

「はい。」


ハルがセツナを羽交い絞めにする。

アイが嵐を纏い、拳に霜を宿す。


「ちょいちょいちょいちょいッ!? タンマッ! タンマッ!!」


‥‥霜を纏った拳が、セツナの首筋に突っ込まれた。


「冷たぁぁぁい!?!?」


少し早い雪の冷たさに、セツナは悲鳴を上げ、カボチャさんが楽しそうに笑うのであった。



「‥‥うぅ。ちびたい。」


ガチガチに凍った背中を背負って、セツナは繁華街を歩いている。

凍った背中を、ハルが手で擦って温めている。


セツナ・アイ・ハルの3人で、サウィンに飾り付けられた街を見て回る。


「それにしても驚きました。まさか、セツナとハルちゃんが兄妹なんて。」


世間とは狭いものである。

アイは何となく、ハルに親しみやすさを感じていたのだが、それに合点がいった。


セツナとハルは兄妹。

言われてみれば、納得している自分がいる。


セツナの背中を擦りながら歩くハルと、目が合った。


「私も驚きました。まさか、兄さんとアイさんがお友達なんて。」


世間とは狭いものである。

そして思い返される、アイと出会った時の出来事。


「‥‥あの、アイさん。

 もしかして、森でアイさんから聞いたアレロパシーって――。(※)」

「あぁーーー。あぁーーー。あぁーーー。」


※ ep123_SS7.05話参照。


ハルの言葉に被せるように、アイが身振り手振りを加えて遮る。


アレロパシーという単語を聞いて、セツナが会話に加わる。


「うん? アレロパシーがどうしたって――――、冷たいぃぃ!?!?」


頬に、霜の手が引っ付いた。

ペリペリと、音を立てて離れる手のひら。


「セツナセツナ。それよりも、どうですか? 今日の私の服装は?」


露骨に話題を逸らすアイ。

冷たい頬っぺたをさすりながら、セツナはアイの服を見る。


ベトナムの民族衣装のアオザイ。

白く、タイトな仕立ての衣装は、長身でスレンダーなアイに良く似合っている。


頭に被った笠で光が遮られた奥から覗く赤い瞳が、ミステリアスな印象を際立たせている。


「うん、似合っていると思うよ。黒ドレスの時よりも、もっと髪が綺麗に見える。」

「ふふふ。そうでしょう、そうでしょう。」


「‥‥そんで、口を開けば、いつものアイ。」

「‥‥。分かってない。セツナは分かってません。」


――分かってる分かってる。

――分かってない!


「似合っている」、だけで終わらせなかったまでは良かった。

「似合っている」、だけで終わらなかったのが良くなかった。


ハルは、セツナとアイの、なんだか小慣れたようなやり取りを、視線を交互に振りながら見ている。


(――なんか、兄さんとアイさん、仲良しじゃない?)


ここで、ハルの頭脳に電撃が走る。


(――!! はっ!? もしかして、私お邪魔だった!?)


セツナがハルを誘ったのだから、それは無い。


ハルも年頃の女の子。

仲の良い異性を見てしまえば、色々と妄想に花開くお年頃。


ハルは、セツナの背中を擦って氷を溶かす。

さっきまでよりも、力を込めて、強くゴシゴシ。


氷が溶けて、ガリガリ、ゴリゴリとセツナの背中を擦っていく。


「どうしたのハル?」


急に強くなった摩擦に、セツナが振り向く。


「にひっ――!」


困惑するセツナに、満天の笑顔で返す。


「なんでもな~~~い。」


そう言って、ちょこんと自分の肩を、セツナの背中にぶつけた。


‥‥‥‥。

‥‥。



繁華街を見て回ること数十分。


お祭りに彩られた街並みや、いつになく平和なセントラルを3人は観光していた。

道行くお店では、サウィンイベント中のみ使用できる限定アイテムが販売されている。


そのほとんどはジョークアイテムで、カボチャの銃弾や、ジャックオーランタンを召喚できるクラッカー。

それから、食べると即死してゾンビになれるペロペロキャンディ (超ジューシー)などなど――。


お祭り仕様のアイテムが、お店の前からお店の中まで所狭しと陳列されている。


様々なアイテムは、買わなくても見ているだけで楽しい。

時たま、繁華街の中では花火も上がる。


カボチャや、コウモリの花火が上がって、お祭りを彩っている。

打ち上がった花火は、プレイヤーが購入して打ち上げた花火。


特注バズーカに弾を入れれば、誰でも花火職人。


現実のお祭りでは有り得ない、無法に片脚を突っ込んだ、セントラルのサウィン祭り。

これこそ、電脳世界の特権である。


中には、繁華街の真ん中に特設リングを設けて、ストリートファイトを催しているプレイヤーも居る。


プレイヤー1人でさえ、セントラルに混沌の暗雲をもたらすのだ。

それが数百人、数千人と集まれば、混沌は積乱雲になって、カオスのゲリラを振りまく。


日常を品行方正に生きているからこそ、ルールをはみ出す楽しさが、この地にはある。


いわゆる、ハレの日、ケの日というやつだ。


満月は、たまにしか見れないからこそ美しい。

桜は、咲いて散るからこそ美しい。


お祭りだって、年に数回しかないからこそ楽しい。


日本人は元来、勤勉である前に、祭り好きな民族である。

黙るよりも、囃子(はやし)さわぎ、はしゃぐことの方が好きな民族なのだ。


でなければ、沈黙は美徳などという美意識は生まれないだろう。

誰でもできるのであれば、誰でも成せるのであれば、それは美としての価値を持たない。


もし、空に月がいくつも浮かんでいれば、月は今ほど日本人に愛されなかっただろう。


滅多に無いからこそ、有難く(ありがたく)目出度い(めでたい)ものなのだ。


よって、お祭りの場では、さわぐことこそ礼儀なのである。


『――ピンポンパンポ~ン! イタズラ好きのカボチャさんから、お知らせがあります。』

『『『ありま~~~す!』』』


繁華街に、カボチャさんからのアナウンスが響く。

可愛らしいアナウンスに、プレイヤーは足を止めて上を見上げる。


プレイヤーの顔は、どこかみんな殺気立っている。(?)


いよいよ、今宵のメインイベントが始まる。

それを待ちわびていた表情だ。


カボチャさんのアナウンスは続く。


『こほん。エージェントの皆々様、それとレディス&ジェントルマン、ついでにボクたちにケンカを売て、憐れに返り討ちにされたクソ野郎ども!

 トリック・オア・トリート!!』


『『『トリック・オア・トリート!!』』』


「「「トリック・オア・トリート!!」」」


アナウンスの挨拶に続いて、プレイヤーたちも挙って(こぞって)挨拶を返した。

お祭りのノリは上々、サウィンな気分。


『うんうん、盛り上がってマスねぇ~~。

 楽しんでくれているミンナには、もっと楽しいイベントにご招待だ~~~!!』


『『『イエーーーイ!!』』』


「「「イエーーーイ!!」」」



『これからミンナを、ボクたちの故郷に招待するヨ!』


『『『イエーーーイ!!』』』

「「「イエーーーイ!!」」」



『題して、1月おくれのサウィンツアーだ!』

『『『ツアーだ!』』』


『参加したいミンナは、これから配る招待状を受け取ってね。』

『『『そ~れ、ファサファサ~~~!』』』


宙を漂うカボチャさんの手籠から、大量の便せんがばら撒かれる。

これを手に入れれば、サウィンツアーのイベントに参加ができるようだ。


セツナたちも、それぞれ便せんを手に取った。


『招待状を受け取ってくれたミンナは、順番にツアーに案内するから、仮装でもしながら待っててね。』

『『『順番! 順番!』』』


『それじゃあ、アッチの世界で待ってるよ~~~ん。』

『『『はじめのグループ、いってらっしゃい!』』』


アナウンスが終わると同時、繁華街から一部のプレイヤーが消えた。

彼らが、はじめのグループなのだろう。


このイベントに何人が参加しているのかはプレイヤーからは分からない。

が、おそらく最低でも1000人規模は居ると、肌感で予想ができる。


一気に移動しても混雑してしまうので、グループ分けを自動でしているのだろう。


セツナたちはどうやら、グループ3らしい。

視界の隅に、転送までの時間が表示される。


5分は時間がある。


拾った招待状をインベントリにしまう。

しまうと、アイがキャンディを取り出した。


「せっかくです。みんなでこれを食べてみませんか?」


アイが持っているキャンディは、カボチャさんから貰ったキャンディ。

食べると、ハロウィンな気分になれるキャンディである。


ちなみに、このアイテムは、アイ考案のアイテム。

合法的にコスプレをできるのだから、コスプレ趣味の彼女が提案しないはずがない。


アイの仕事は、M&Cの広報。

広報と言っても、イベントの司会や役者をやったり、公式による攻略情報を発信するのが彼女の仕事。


アイのポジションと役割は、内部の部外者という位置。

なので基本的に、イベントなどはプレイヤー目線で体験してもらうために、上から情報が降りてくることはほぼ無い。


イベントの告知などは、内部流出やリークを防ぐため、AIが全てを担っている。


しかし、イベントに対する改善事項や提案はできる立場にあるので、アイは全プレイヤーが手軽に仮装を体験できるアイテムを提案したのだ。


強制ではなく、あくまで任意という形の仮装。

提案は取り入れられて、それは仮装キャンディという形で実装された。


セツナは、周囲を軽く見渡して見る。

どうやら、キャンディを口にしているプレイヤーは多いようだ。


パッと見た感じ、全体の7割が使用しているように見える。


お祭りでハレの気分になっており、みんなその勢いでキャンディを口にしている。


セツナも、キャンディをインベントリから取り出す。


「そうだね。せっかくだし、使ってみようか?」

「うぅ‥‥、あまり恥ずかしいのに当たりませんように!」


ハルは、期待と不安が入り混じった表情。

恐る恐るキャンディを取り出して、1番はじめにパクリと頬張った。


キャンディは口に入れた瞬間、わたあめみたいに口の中で溶けてしまう。

口の中で、コーラのような味がパチパチシュワシュワと広がった。


「あっ! けっこう美味し――。」


口元を隠しているハルを、ポフンとカボチャの煙が包む。

お菓子の甘い香りが広がって、煙の中から仮装状態となったハルが現れた。


仮装して早々、足元が涼しくなったことに、強い違和感を覚える。


ハルの前に、ホログラムの姿見が現れる。


赤い頭巾に、口から伸びた犬歯。

狼を爪を思わせる、赤いオーバルネイル。


ヨーロッパ風の衣装に、ふわりとしたフレアミニスカートとエプロン。


足元は、ショートブーツ。

ブーツは、シャフトを折ってレースアップして、履き口が広くなっている。


ソックスはブーツから見えない。

くるぶし丈のアンクレットソックス。


その姿は、童話の赤ずきんを意匠とした衣装。


(スカートっ!? 脚っ!?)


普段、ミニスカートなんて履かないハルは、スカートの頼りなさを焦り、咄嗟に裾を抑える。

インナーパンツを穿いているので、動き回っても大丈夫ではあるのだが、慣れない格好に羞恥心が勝ってしまう。


フレア型のスカートと、レースアップされたブーツによって、脚の曲線美が際立つ服装になっている。

広がったスカートの裾が、腿のシルエットをスッキリとして見せ、ブーツの広い口が、足首を細く見せている。


赤ずきんに仮装し、恥ずかしがるハル。

それを見たアイは、自分の口の前で両手を合わせている。


「ハルちゃん、ハルちゃん!」


似合っていると、ハルの両肩を抱いて嬉しそうなアイ。


「ハルちゃん、こうしてみてください。こう、がおーって。」

「‥‥が、がおーーーっ!」


口から牙を覗かせ、両手の爪を突き立てて、可愛らしい威嚇のポーズを取るハル。

押しに弱いハルである。


「あぁ‥‥、ハルちゃんに私の心が食べられちゃいました。」


(‥‥うぅ。恥ずかしくて、どうにかなりそうっっっ!!!!)


リンゴのように、顔を真っ赤にする赤ずきんであった。


(‥‥で、でも、そんなに悪くない‥‥‥‥かも?)


姿見に映る見たこともない自分の姿に、ちょっぴり悪くない気分の赤ずきんであった。


セツナは、甘くて酸っぱい様子のハルを刺激しないように、それとなく視界に入らないよう、小っちゃくなっている。


長年の付き合いである。

ここは褒めるでもなく、茶化すでもなく、空気になっておくの正解。


‥‥‥‥。

‥‥狼と目が合ってしまった。


「あぁん!?」

「‥‥‥‥。」


ガルガル唸って、威嚇してくるハル。

すごすごと、両手で頭を押さえて小さくなるセツナ。


「フシャァァァ!!」


飛び掛かってくる狼。


「あーあー! じゃれるでない、このじゃじゃ馬が。

 写真撮るぞ! 写真撮ってマドカ (ハルのサポット)に送って、飾らせるぞ!」


じゃれつく狼に、口撃で応戦するセツナ。

仲良し兄妹である。


「まあまあ、ハルちゃん。そのへんで。」


アイが、ハルをセツナから引き剥がした。

ガルガル唸るハルを尻目に、セツナはアイに「サンキュー」とお礼を言う。


じゃじゃ馬オオカミが、赤ずきん姿に慣れてきて落ち着いて、お次はアイの番。


「ふふふ。刮目しなさい! 私の変身に!」


何やら、変身ヒーローのノリでキャンディを頬張るアイ。

シュワシュワなソーダ味が口に広がって、溶ける。


アイの周りをカボチャの煙が覆って、お菓子の甘い香り。


――頭の上から伸びる、ピンとはった三角耳。


鮮やかな朱色の生地に、溢れんばかりの華の刺繍が入った、脚丈の短い着物。

白い足袋に、歯の無い下駄。


そして、おしりから伸びる、2本の尻尾。


「にゃん!」


猫又の仮装をしたアイが、煙の中から出てきた。

趣味にしているだけあって、本人はノリノリだし、仮装姿もなんだか堂に入っている。


感嘆した様子の兄妹。


「アイさん、ちょっといいですか?」


ハルはそう言って、アイの頭の上に手を伸ばす。

手を伸ばして、頭に生えた猫耳に触れた。


「おお‥‥! これは――っ!」


例えるならば、猫と犬の中間、いや良い所どりをした感触。

猫の繊細で柔らかい毛並みのような手触り、犬のように肉厚でコリコリとした感触。


「ふへへへ~~~。」


親指と人差し指でコリコリしながら、ハルの表情は溶けてしまった。

アイは、ハルが耳を触りやすいように、少しだけ屈んでいる。


身目麗しく戯れる女性陣を前に、セツナは顎に手をやる。


「アイ。その耳って、神経通ってるの?」

「良い質問ですね。」


アイが、曲げた膝を伸ばす。


「それはですね。」


自分の猫耳に両手を伸ばす。


「よいしょっと。」


――平坦な抑揚のまま、猫耳を根元から引き千切った。


「つけてみれば分かります。」

「「‥‥‥‥ッ。」」


引き千切った耳からは、何やらケチャップなのか? トマトジュースなのか?

ともあれ、赤い液体がボトボトと滴っている。


猟奇的な沈黙が流れて、アイの頭の上に猫耳がまた生えてくる。


「この猫耳は、移植ができるんです。」

「移植できる猫耳ってなに!?」


「ちなみに、猫耳プレイヤーにキルされると、猫耳が感染します。」

「感染する猫耳ってなに!?」


――おひとつどうぞ。

――いらないよ! ひとつだけつけてても怖いよ!


アイの妄言に、セツナとハルが突っ込む。


その後、試しにハルの頭に猫耳を移植。


どうやら、神経が通っていることが分かった。

触覚はあるが、痛覚は無いらしい。


余談だが、耳かきをされると幸せになれるらしい。


また、猫耳は回復アイテムを使用すれば、任意で解除も可能。

――それを解除するだなんて、とんでもない。


さて、ハルは赤ずきんに、アイは猫股に仮装した。

お次は、セツナの番。


キャンディを取り出す。


『は~~~い。それじゃあ、グループ3のミンナ~~~!

 そろそろ転送すっるよ~~~ん。』


キャンディを食べようとしたが、時すでに時間切れ。

3人の上に、カボチャさんの1体がやって来て、3人の足元に魔法陣を展開する。


「えっ!? 待って、まだキャンディ食べてない。」


『うるせぇカボ! 野郎の仮装になんて、興味ねぇカボ!』

「え? なに? え、なに、その語尾!?」

『裏で食って、勝手に仮装してろカボ!』

「えぇ!?!?」


魔法陣が光り輝き、光に身体が飲まれる寸前、セツナはブドウ味のキャンディを頬張った。

甘いはずのブドウは、ちょっぴり酸っぱく感じた。


‥‥‥‥。

‥‥。

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