最終話 慶州(キョンジュ)
深夜(1:30)、ホノルルを発ち、ソウルへ向かう。
機内は日本人、韓国人が圧倒的に多い。
早朝、無事韓国入り。ソウル国際空港でUSドル全てを韓国ウォンに両替した。1ドルは約800ウォンである。
9時発の高速列車でソウルを出発し、13時45分には慶州に到着した。慶州の一つ手前の駅付近の緑は実に美しかった。
慶州駅前に屋台のような観光案内所があり、日本語を勉強中だという韓国人が居た。彼は親切にも近くの宿まで案内してくれた。
(この慶州駅前での韓国人との会話の記憶がどうにもあやしい。2日後にも登場する女性と会話した記憶しかありません。彼女の記憶だけで彼の記憶がないのです。
彼女は私の ”安いホテルを希望” に応えて、いろいろと電話をしてくれました。初めに必ず『ヤブサヨー』と言ってたのがはっきり記憶に残っています。これは恐らく、日本語の『もしもし』、英語の『If if でなく、Hello』であろう事は容易に推測できます。
日記と記憶とを繋ぎ合わせると、案内所には男女2人居て、彼女が宿を見つけてくれて、彼が宿まで案内してくれた事になります。
先ほど、ネット検索してみて、電話の最初は『ヨブセヨ』らしい事が判りました)
その宿は新しくはないが清潔そうで私向きの好宿である。素泊りで10,500ウォン(約13ドル)とまずまずであろう。
昼食は近くの韓国食堂に入ってみる。メニューを見るとハングル文字でサッパリ解らない。困っていたら、そこの主人が『ANAGO SASHIMI?』と言ってくれた。躊躇なくそれにした。日本人観光客が多いと見え、日本語の料理名も多少は解ると見える。が、それよりも、先に日本語のメニューを作るべきだろう。
その人は店内の水槽で飼ってるのを網で掬って手際よく料理し始めた。定食で3,500ウォンと安い。味は、マアマア。
昼食後は近くを散歩してみた。この慶州の町も、ダウンタウンは、家はごちゃごちゃと並んでおり、あまり美しいとは言えない。このあたりは万国共通であろう。
ダウンタウンから離れると緑が多くなり美しい。ただ、塀や屋根が壊れかかった家も多く、全体的に古い感じは否めない。
宿の風呂はお湯が出ないそうなので、宿の女性に紹介されたサウナに行ってみた。日本のと比較すると高温である。
翌日、午前中は近くを徒歩で周ってみる。
先ずは、慶州博物館。思っていたより展示物はずっと少ない。特に興味を引くモノは無かった。修学旅行か授業か、中高生が圧倒的に多い。
その後、古墳公園を訪れてみた。多少の期待はしていたのであるが、観光化され過ぎており、古風なムードが全く感じられなく期待外れであった。
ここで、日本で生まれ育ったというご老体に声を掛けられた。日本語で、自分の家に寄って冷たい物でも飲んで行きなさいと言う。最後に、観光的でない旅らしさに出遇えたかなと思い、付いて行ったら何の事はない。土産物店の客引きの爺さまだった。
日本語を流暢に話す若い美形の女性(日本人か韓国人かは不明)が2人居たが、すぐに土産物を勧めてきたので、お茶だけ呼ばれてさっさと店を出た。
午後から、バスを利用して仏国寺を訪れてみた。ほぼ全ての建造物の色が緑を主体にしている。さほど手を掛けているようには見えず、日光の東照宮のような美しさは見られなかった。
(この仏国寺も自分の中では朱色一色だったように記憶している。ところが、日記では『緑を主体』になっている。勘違いをして日記に書いたのではないかと思い、ここでもネット検索してみたところ、確かに『緑』である。未だに狐につままれた気分である)
昼食、夕食とも同じ食堂でとったが、美味しい上にとても安い。特にカルビタン定食は1,800ウォンだったが、これでやっていけるのだろうか⁉ 意外にも、キムチだけが辛くて、不味かった。
最終日。
4か月に亘る一人旅も今日が最終日である。慶州を発つ前にもう一度、観光案内所に顔を出してみた。初日にお世話になった韓国人女性が今日は一人で居た。『パーク・ミンジュ』という名だそうだ。女優の『高部知子』に似ている。一緒に記念写真を撮らしてもらった。
慶州⇒ソウルは、今度は高速バスを使ってみた。時間はほぼ同じなのに、料金は高速列車の半分以下だ。
駅からである空港までは1時間半を要し、ずいぶん焦った。空港での買い物がゆっくりできず、ちょっと残念。新婚一年の義妹に韓国美人人形だけ買った。
18時30分ソウル発、20時00分大阪着。わずか1時間半、時差無しなので国内便のムードであった。
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すごく良い旅だった。アメリカの田舎町で受けた数々のご親切は忘れられない。みんなとても良い人たちだった。いつか再会できるであろうか⁉
いろんな事があった。
長いようで短い、4か月の一人旅だった。
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完