第34話 L.A.(ロサンゼルス)
8月最後の日、再びカリフォルニアに戻ってきた。6月中旬にサンフランシスコを発って2か月半、予定通り『アメリカ国立公園』、『大西部の今昔』、『大草原の小さな家の舞台』を訪ね歩き、ロサンゼルスに到着した。自分の今回の旅の目的は、ほぼ果たし終わった。後はのんびり行こう。
ツーソンからの12時間の夜行バスの旅は、殆ど砂漠ばかりでうんざり。セントラルシティでの初見の頃は感動的であったが、流石に堪能し尽したようだ。
ロサンゼルスのバスデポで目を付けておいた日本人経営のホテル加宝に向かう途中、中国系らしき青年に声を掛けられた。安いホテルを探しているという。それではと、ホテル加宝のツインルームに宿泊する事を提案し、即決まった。彼は中国系マレーシア人で、ニューヨークを目指していると言う。
夕食をリトル東京の日本レストランで摂ったのは良いが、庶民的な中華料理店でお客も殆ど日本人だったのでチップを置くのを忘れてしまった。申し訳ない事をした。
それにしても、ロサンゼルスのダウンタウンは予想以上に汚い。ニューヨークの黒人街と大差ない。バスデポからホテル迄の道はお小水の匂いが漂っている。浮浪者が30人ほど寝転がっている。
一夜明けて、今日から9月。
マレーシア人の彼とユニバーサルスタジオに行く事にした。
RTDで安くティケットが買えるので1時間近く並んで買った。
(当時の日記にこのように記されているが、この時の記憶が全くありあせん。このRTDの意味が解らずスマホ検索をしてみる。いろんな種類のティケットが販売されているが、RTDに該当するものが見当たらない。唯一の心当たりが、LDT (Late Day Tickets) のミス記述ではないかと思う。これは遅い時間帯であれば、安く入場できるティケットの事である)
さて入ってみると、予想していたより広い。日曜日と相まって大変な賑わいだ。楽屋見学を期待していたが叶わず、少し残念。完全に観光地であり遊園地みたいであるが、結構楽しかった。
アリゾナと違ってそれほど暑くないので助かる。
翌朝目覚めた時、マレーシア人の余君はラスベガスに向けてホテルを発った。それにしても、早朝5時頃にTVを点けられたのには閉口した。中国系だけあって無神経な面がある。シングルルームに移動したが、$16.5と良心的で有難い。
日本人オーナーと少し会話してみたが、黒人の客を嫌っているようだ。彼らはベッドをよく汚すそうである。
『金を払えば何をしても良いと思っている』
そう言って、苦い顔をしていた。
このオーナーは良心のある方で、安い宿泊費で部屋を提供してくれているように思われる。こういう方にとってベッドを汚されたり傷つけられたりするのは大きな痛手になると思われる。
利益優先の大きなホテルであれば、その辺の事も見込んでいるであろうが。
今日は一人でハリウッド見物。
予想通り、チャイニーズシアターにはあまり感動しなかった。映画を観るのではなく劇場とその周囲の雰囲気が目的だったが、あまり私向きではないようだ。しかしながら大した人気で大変な人出である。
別の劇場で ”Fright Night” という吸血鬼のホラー映画が上映されてたので入ってみた。全然怖くはなかったが面白かった。
Farmer Market に冷やかしに行ってみたら、祭日の所為か休業だった。今日はアメリカの労働感謝祭である。祭日だからでなく、労働感謝祭だからかな?
夕食は又々リトル東京へ足を運んだ。回転寿司をやってたので入ってみる。安いけど味は今一つ。外人客(日本人から見て)が多いのは、回転寿司は日本人には安っぽく見えるのかな? それとも会話しにくいからか?