第33話 砂漠の町・ツーソン
ハードな一日だった。
サグアロ国定公園(東)、コロッサル洞窟(Colossal Cave)へ、レンタルサイクルで行ってきた。早朝から夜まで12時間のサイクリングは少々きつかった。7年前のカナダ・バンフでの160kmサイクリングの頃とは体力が落ちているのかな?
昨日も感じたがツーソンはフェニックスほどは暑くないので助かる。サグアロは何度見ても草には見えない。どうしても樹木だと認識してしまう。それにしても魅力的だ。東西2つのサグアロ国定公園では、昨日訪れた西と比べて東の方がサグアロ自体は多少大きいように思う。しかし形は西の方が良いようだ。
コロッサル洞窟は予想以上に傾斜がきつかった。デザートミュージアムのより美しさでは劣るが規模が大きく見応え十分である。少しカビ臭かったのは何故だろう?
ここで日本人の家族に会った。ご主人はIBM社の人で1年間のニュージャージーでの勤務を終えて、家族と共に帰国途中の旅との事であった。
帰路は概ね下りで流石に速い。夕食は予定通り日本のレストラン ”Japanese Kitchen” でステーキの鉄板焼きを食べたが、なかなか美味しかった。
ベッドに入ってから明日からの行動について考えてみる。
『O.K.牧場の決闘』で有名なツームストーンはどうするか?
ここ迄来たのだからもう少し足をのばそうか…とも考えたが、O.K.牧場の牧場は Ranch や Farm ではなく柵や囲いを意味する Corral であるそうなので、訪れても感動は無いかな…と断念する事にした。
それより、興味深いのはアパッチ街道である。西部劇で必ず登場するあの街道。既に今日十分、サグアロは堪能している。でも『サボテンの花咲いている砂と岩の西部』のあの広大な砂漠を、白人やアパッチが馬で走り抜けるあのシーン。あの街道に足を踏み入れてみたい。
明日もう一度、フェニックスのレンタルモペッドを扱っている店に電話してみよう。十中八九は繋がらないだろうが、もし繋がって借りられればフェニックスに戻ろう。
心は決まった。しっかり寝よう。
翌朝、ホテルの公衆電話から電話してみると、『$1.90追加してください』とのメッセージが返ってきた。電話は繋がらない可能性が圧倒的に高い。それでも追加した$1.90は返金されないかも…。
アパッチ街道は諦める事にした。仮にレンタルサイクルでアパッチジャンクション迄遠乗りをしても、その後のアパッチ街道を、乾燥サウナのような40度の猛暑の中歩くのは流石に恐い。それに見られる範囲も限られてくる。
多少の心残りはあるが妥当な判断だと思う。
がっかりしたような、少しほっとしたような複雑な気持ちを振り払って、サン・ザビエル伝道所に行ってみる。もう少しの所で道路がクローズになっていた。気を取り直して遠回りしてとにかく行き着いた。ガイドブックの説明とは逆に内部は古く汚かったが、昔日の豪華さは偲ばれた。外部は純白で凄く美しい。どうやら、外だけ塗り替えたようだ。