第32話 西部劇のムード・ツーソン
市内バスで、すぐ東側にあるスコッツデールを訪ねてみる。思ったより賑やかである。その賑やかな表通りに西部開拓時代の町並みを再現したオールドスコッツデールがある。ひなびた西部開拓時代の雰囲気を味わいたかったが、あまりにも車が多過ぎる。走行中、駐車中を問わずである。
土産物店が軒を並べ観光化が進み過ぎており、多少の失望感は否めない。砂漠の中の街故に暑いのは仕方ないが。
帰りにハード博物館に寄ってみた。ここでは、インディアン関係の資料が随分展示されていた。
夕食はバスの中から見つけた日本料理店で食べた。割合安かったが味の方はイマイチかな。
翌日快晴の中、パパゴ公園内の砂漠植物園へと足を運ぶ。昨日訪れたのは、砂漠動物園である。猛暑の中、何度も冷水を飲みながら歩く。暑さの所為か、思ったより訪問客が少ない。
いろんな種類のサボテンが植えられているが、名前はとても憶え切れない。まん丸くて大きいのが一番美しかった。巨大なサグアロはむしろ園外のものの方が形が良いようだ。
サボテンの種を4袋買った。日本へのお土産だが、持ち出せるのかな?
無理を承知でUーHaul (引っ越し用のトラック、荷物運搬車などのリース会社)にモペッドを扱ってないか訊いてみたが、扱ってなかった。アパッチ街道へは観光バスしかないかな?
その後3日間、何ら成果無く過ごしてしまった。Gray Line 社にツァーの申し込みをしようとしたが、道路状況不良の為休止中との事だった。ローハイド牧場やパイオニア・アリゾナに行くのもバスは出てないし、レンタルサイクルも調べてみたがどこも扱ってなかった。
フェニックスでは碌な事がない。一先ずフェニックスを出る事にしてツーソンにやってきた。日本のガイドブックで目を付けていた宿をやっと見つけたと思ったらドアーがしっかり閉まっている。倒産したか夏季休暇中であろう。
フェニックス以来、レンタルサイクルショップ、バス会社、宿泊施設と休業中がやたら多い。砂漠の街では真夏は仕事をする気にはならんのであろうか⁉
やむなくバスデポ周辺の一見豪華そうなホテルに宿を取ったら、意外と安くシャワー、トイレ付で14ドルだった。猛暑で街全体が碌なサービスができないので、せめて宿泊代ぐらいは安くしてやろうとの配慮かな⁉ それなら有難い。
観光案内所でいろいろ訊ねてみたが、この街も車がないと具合が悪そうだ。でも見どころはダウンタウンからさほど遠くない所に有るので自転車さえ有れば十分なのだが。一軒、レンタルサイクルショップを見つけたが一週間単位でなきゃダメだと言われた。不親切な店だ。
ツーソン2日目は久々に満足した一日だった。やはり自分には自転車が一番合ってるようだ。昨日の不親切なレンタバイクショップのすぐ近くにもう一軒有ったので訪ねてみたところ、良心的な店で1日5ドルと安く有難い。
オールドツーソン、デザートミュージアム(砂漠博物館)、サグアロ国定公園(西)を観て周る事にした。
期待のオールドツーソンは西部開拓時代のツーソンを再現した町で、元々映画のセットとして造られたもので今でも撮影に使われているようだ。ここで、スタントマンによるガンファイトの実演があり、観客からも有志による出演があった。スタントマンから公募が有ったとき少し心が動いたが、言葉の問題とシャイな性格故に意思表示できなかった。
(参加してたら、良い思い出になってたろうな。それとも恥をかいただけかな?)
オールドツーソンよりデザートミュージアム (Desert Museum) が期待以上に見応えがあった。
(紛らわしいのはネーミング。
フェニックスでは、パパゴ公園内に砂漠動物園と砂漠植物園が有り問題無し。ところがツーソンでは、デザートミュージアム (Desert Museum) 内に砂漠動物園と砂漠植物園が有る。このデザートミュージアム (Desert Museum) は日本のガイドブックでは砂漠博物館と訳されている。博物館って建物ではないのだろうか? 砂漠動物園も砂漠植物園も野外でした。デザートミュージアムか砂漠ミュージアムのネーミングが良さそうです)
砂漠動物園、砂漠植物園の他に Cave と言う狭いループトレイルが有り、一人で歩いていると抜け出せなくなりそうで、方向音痴の私にはスリル満点である。全体的にもフェニックスと比較してより自然に近いようだ。
このデザートミュージアムでも、その後訪れたサクアロ国定公園およびその周辺でもサクアロは至る所に生えている。フェニックスとは比較にならない。巨大なサクアロがこれでもかとばかり群生していた。