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第30話 グランドキャニオンの谷底トレイル

 翌朝、朝食後すぐ北縁方面にトレッキングを開始する。

 今トレッキングをしているトレイルは North Kaibab Trail と言う。昨日南縁から下ってきたトレイルが幹線トレイルでもある Bright Angel Trail である。ただ、どこ迄がそうなのかもう一つ分からない。恐らくコロラド川迄ではないかと思う。コロラド川から Phantom Ranch までは North Kaibab Trail なのか South Kaibab Trail なのかはよく分からない。自分だったらコロラド川で分けた方がすっきりすると思う。

 

 North Kaibab Trail を1人ゆっくり北縁方面に歩く。コロラド川にも合流している Bright Angel River が並走している。気温は意外と思っていたよりは暑くない。昨日歩いてきた南縁方面と違ってトレッカーは少ない。それでも10組ぐらいには会った。途中で見つけたでっかいスイカみたいなサボテンがきれいだった。


 途中、Ribbon Fall という小さな滝に出た。近づいてみるとどうやら後ろに周れるようだ。後ろは短い洞穴になっている。滝の飛沫を身体に受けながら周り込んでみた。少々冷たく気持ちが良い。滝の裏側に周り込んだのは初めてだった。


 そこからもう少し進むと Cotton Wood というキャンプ場に到着した。綿がフワフワ飛ぶ時期は秋なのでその光景は今は見られない。近くにクリークがあったので足を浸して遊んでみた。冷たく良い気持ちだ。昨日の Pipe River の水は恐ろしく冷たかったが、この Bright Angel River の水は適当に冷たく気持ちが良い。


 宿に戻ると日本人男子が3人来ていた。3人はそれぞれ別グループで、3人とも22歳~23歳ぐらいのようだ。うち1人はL.A.で英会話スクールで学びながら、ホームスティをしているそうだ。

 一日中炎天下を歩いた所為であろう、夕方から少し頭痛がする。


 3人から悲しい日本のニュースを聞かされた。先日のJAL の墜落事故で、歌手の坂本九ちゃんも犠牲になったそうである。


 翌朝、まだ真暗の4時30分に起こされた。6時前には出発する。今日は谷底には別れを告げて、南縁に戻る。これは登山とは言わないだろうな。”谷を登る” で良いのかな?


 下って来たときと同じトレイルでは芸が無い。当然多少の遠回りはしても、私は別コースを登る。Phantom Ranch の前のトレイル(たぶん、North Kaibab Trail)をコロラド川まで戻り、今度は Bright Angel Bridge は渡らず手前を左折した。そのまま東へ進んだら、やがて別の橋が見えてきた。この Black Bridge を渡ってSouth Kaibab Trail を南に向かう。


 一昨日のBright Angel Trail ではそこそこトレッカーに会ったが、ここでは誰にも会わない。これもまた静かで楽しい谷歩きである。Tonto Trail に合流した場所でラバを連れた青年に会っただけである。ここで右折、進路を西に変えて Tonto Trail を進む。


 やがて、下って来た Bright Angel Trail に合流し、そこの Indian Garden で昨日宿で会った日本人2人に再会した。彼らは Plateau Point を見てきたそうで満足そうである。こちらも負けずに行ってみた。

 崖の先端にある View Point から、コロラド川を見下ろしてみた。


 Wow !

 Oh, Wonderful !

 何と、素晴らしい!


 この View Point からのコロラド川は本当に素晴らしい。しばらくは眼を奪われてしまった。

 南縁のいろんな View Point からのグランドキャニオンのマッチョのような岩肌は見応え十分だったが、この眼下のコロラド川の景観はその比ではなかった。

 自分の足で歩いて辿り着いたからこその感動であろう。しばらくの間、すべてを忘れて立ちすくんだ。


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