第12話 イェローストーン国立公園2
今日から7月、早いものだ。
今日のバスツアーがイェローストーン国立公園でのハイライトであろう。それだけの価値は十分にあった。ツアーは前半と後半に分かれている。
前半はUpper Loop Tour。その目玉の一つであるMammoth Hot Springs のループコースを一周した後、ノーリスのガイザー(間欠泉)では周囲を各自トレイルした後、Canyon へ。ここにもトレイルコースがあったが時間が足らず、下車して近辺を歩くだけで終わり残念なり。
後半は更に見どころ十分でとても良かった。イェローストーン・グランドキャニオンは初日の Lower Loop Tour で一望した北からのルックアウトの他、南からも眼下に見下ろす事ができたが、こちらの方が更に見ごたえがあった。
Canyon から Lake へのバスの旅もなかなかのものであった。大草原にバッファローがいるわいるわ。他にもムース、マーモットも見られ、車窓からの景観には大満足である。
それに引き換え、イェローストーン湖は今一つパッとしない。ただ広さのみが目立った。ただ後半のドライヴァーは丁寧で明るくとても好感がもてる好青年だった。
ツアーの終点はオールドフェイスフルである。本日はここのキャビンに宿泊する。
イェローストーンには至る所に温泉が湧き出ており、ガイザー(間欠泉)が数多く見られる。その最大規模のものがオールドフェイスフル・ガイザーであり、1時間に1回の割合で温泉を噴き上げるそうだ。
予め予定時刻が知らされているので待機してカメラを構えていたら少し遅れて始まった。火山の爆発と違ってあまり迫力は感じられない。大自然の中だと神秘的だろうけど、ホテルの傍らではね。
それよりもここの高級ホテル、オールドフェイスフル・インは素晴らしい建物だ。内部は殆ど丸太で古風に造られている。また、ロッジの方もなかなかのモノである。それに引き換え我がキャビンは…。いやいや、キャビンも決して悪くはない。今までのキャビンの中では一番良い。
翌日。
予定ではグランドティートン国立公園に行くはずだった。観光旅行者と違って、行き当たりばったりのバックパッカーはどうしても宿の手配は後手後手になってしまう。
今朝一でオールドフェイスフル・インの総合案内所から宿の予約の電話をしてもらったが空室無しとの事だった。公園内に宿泊施設は一軒しか無いのにのんびりし過ぎたようだ。幸いツアーバスはキャンセルでき、グランドティートンは諦めてウェストイェローストーンに引き返す事にした。
幸運にもバスのドライヴァーは前日の好青年で客が少ない所為もありいろいろ話ができた。
別れに彼が言った言葉は、"I mind you alone." だったと思う。 ”Never mind." である。一人旅こそ真の旅なり。
ウェストイェローストーンにでは躊躇なくあの親切な老婦人の Tepee Motel" を訪ねる事にした。一番安い28ドルの部屋を希望したら、TV無しながら、20ドルの部屋を推薦してくれた。どこまでも親切である。前回の時は空いてなかったのか、安くしてくれる為にTVを片付けた? いや、まさか!
(この時はこんな疑問は全然持たなかった。 今なら、冗談半分に訊いてみると思う)
『大草原の小さな家』の父さんの言葉にあったが、大きな損をした時は代わりに小さな得をするそうだ。確かにその通りである。