第66話 勇者と魔王の娘におぶられて
【新作です】5/1より更新中。
TS転生したカラフルdeマジカルな私は、ビビッと来たら強くなる。
水の国『アクアパッツァ』はここから、500キロある。馬車も竜車も使わないので、走っているけれど、流石に疲れてきた。
ここまでどのくらい走ってきたんだろうか。
『ファスト』の町からはもう遠く、ふと気になったのでフェルルに聞いてみることにした。
「フェルル、今どのくらい?」
「うーん、100もないとか?」
「えっ!?まだそんなの!」
「そうですね。でも、今日中に350は行きたいですね」
「いやいや無茶言わないでよ!」
アイリスまで簡単にそう言ってくれる。
だけど私には無理っぽい。正直、フェルルみたいに鍛えてないし、アイリスみたいに朝から元気いっぱいでもない。
疲れが溜まっていくだけで、不満じゃないけど、人間業じゃなかった。転生者の身体でも、厳しい。
「そう言えば師匠、ちょっと息荒いよ。大丈夫?」
「う、うん。でもちょっとしんどいかな」
私は苦笑いをしてしまった。
だけど本当は違う。
(いいや無理です。足痛いです!あぁもう!スニーカーにして来ればよかった!)
流石にブーツは重たい。
でもフェルルも同じようなブーツだけど、鍛え方が違うのかな。
私が貧弱なのか、フェルル達が化け物なのか・・・どっちなんだろ。
もう訳がわからなくなってきたところで、ふと頭の中でソフィアさんのことを思い出していました。
「ソフィアさんは、なにしてるんだろう」
『クロエさんお久しぶりです。やっと、会話して来れましたね。待っていたんですよ』
「ほえっ!?」
驚いて私は声を上げてしまった。
それに気が付いた2人が私に、「どうしたの?」と首を回した。けれど「なんでもないよ」とすぐに返答すると、ソフィアさんとの会話に耳を傾ける。
「えっ、聞こえてたんですかソフィアさん!?」
『はい。こちらから声をかけるのは流石に失礼かと思いまして』
「話しかけていいですよ。何度も話したい時はあったんです。今だって、この状況がヤバいってことぐらいわかってるんですよね!?」
『は、はい。正直異常ですね』
ソフィアさんは声を震わせていました。
それを知り、安堵するのと同時に、落胆の動きが心に表れます。
「ちなみに、大丈夫系ですかな?」
『大丈夫時ではない系です』
「で、ですよね。流石に転生者でも……」
「無茶苦茶ですね。転生者の身体と言えど、相手が相手です。勇者と魔王の血を引く者に、これ以上合わせるのは身体に悪い影響がでかねません』
「ちなみどんな?」
『最悪、死ぬかもです』
「マジですか……」
私は言葉が途切れました。
するとソフィアさんも、
『マジです。今すぐやめましょう』
慌てて忠告する始末だ。
それを聞きつけ、全身が寒々しく震えだしたので、私はソフィアさんとの会話を即座に切り、フェルル達に声を張り上げた。
「フェルル、アイリス。休もう。私には厳しいって!」
軟弱だと言われてもいい。
でもここまでとうとう125キロきた。もういいでしょ。
その気持ちで一杯になってしまったので、今すぐ休みたかった。
しかしそれを聞いてフェルルとアイリスは一旦立ち止まると、互いの顔を見合わせて、私に近づいた。
「じゃあ師匠、私の背中に乗って」
「えっ!?」
「いいから乗って。その方が私もトレーニングになるし、師匠と楽でしょ」
「それはそうかもだけど……それじゃあフェルルが大変なんじゃないの?」
「全然っ!どんとこーい!」
目の瞳に星マークを煌めかせるフェルル。いつもよりも生き生きしているその姿を目の当たりにして、少し怖くなってしまった。
だけど流石に甘えることした。
妙に広く感じるフェルルの背中に全身を預け、まな板に近い胸を押しつける。
「よっと。あはは、やっぱり軽いや」
「そ、そう?」
「うん。師匠って、筋肉質じゃないんだね。あっ、でも痩せてるってことは……」
「余計なお世話です。はい、さっさと行く!」
「はーい」
フェルルのあどけない様子に、心を救われた。罪悪感がすっきりして、フェルルにおぶられる。
楽だ。しかも速い。
フェルルはまるで疲れた様子はないし、息の乱れも脈拍も正常だった。やっぱり2人は私とはそもそもが違うなと、心底痛感してしまった。
だけどこれで全身筋肉痛は確定した。
はぁー、傷や怪我以外も治せたらよかったのにと、能力の惜しさに奥歯を噛んでしまいました。
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