第60話 罠はこう使おう
3.5章終わりです。
私はアイリスに言われるまま、ロープを瞬時に作成すると、そのロープの先に輪っかを作った。
それから紐を少しだけ長さを取っておいて・・・ん?
「もしかしてアイリス。これ、投げるとか言わないよね?」
私は嫌な予感がしたので、そう尋ねた。
流石にそんな西部劇スタイルが、こんなのころで展開されるわけないだろと。もっと魔法的な、マジカルなことを今更期待しても、遅いかもだけど、何かある。そんな期待をちょっぴり抱いたのも束の間。アイリスは、
「はいそうですよ。ここから投擲して、引っ張って取ります」
あー、やっぱりそうなんですね。
フェルルもそうだけど、アイリスもアイリスで、大概にも程があるよ。ファンタジーな世界で、せっかく転生したのに、未だに魔法的なことに出会ってない・・・とか言ってられないか。
私は、アイリスにその作戦を聞いた。
「えっと、捕獲して採るんじゃなくて、走っているシイタケノシシの体に直接このロープをくくりつけて、重みと反動で取るってことでいいのかな?」
「凄いです、クロエさん。その通りですよ!」
それを聞いて私は、“採る”から“取る”になってるじゃん!と心の中でツッコミを入れるのと、ほぼほぼ同時にこう思っていた。すっごく原始的。
「でも私、投擲なんてしたことないよ?」
「ご心配なく。投擲は私がやります。代わりにですが、クロエさん。実はもう一本ロープを編んでもらえますか?」
「えっ?それはいいけど、何に使うの?」
「こうするんですよ」
アイリスは私に作戦を教えてくれた。
これはまた、もっと古いやり方だ。だけど、それなら上手くすれば、簡単に椎茸が取れるぞ。そう思ったので、ちょっと頑張ることにしました。
「はぁはぁ、どれだけ速いの!?」
私はシイタケノシシの先を走っていました。
普通にやっても追いつかないので、ちょと危険だけど、山の斜面を利用して、滑り落ちるようにして、降っていくと、シイタケノシシの姿があります。
だけど猪突猛進の言葉通り、シイタケノシシはまるでスピードを緩めない。そのせいで、どんどん魔力を消費して、椎茸が今にも痩せてしまいそうでした。
「あれじゃせっかく捕まえても、納品できないよ」
やっぱり昨日の椎茸を残しておくべきだった。だけどいつまでも、落胆なんてしてられないので、私はアイリスが追いつくのを待った・・・って、すぐ近くにいるじゃんか!
「速っ!?どんなスピードなの」
あんなに動きにくそうな服を着ているのに、フェルルと変わらない速度を維持していた。しかも息の一つも荒げていないし、流石に違い過ぎる。
やって、そんなこと言ってる場合じゃなかった。えーっと、今だ!」
私はロープの先に鋭く加工した石ころをくくりつけると、思いっきりシイタケノシシの足元目がけて、投げ付けた。
すると、石ころは近くの木に突き刺さり、私は思いっきり引っ張る。
ギィィィィィィィィィィ
けたたましい音を立てて、シイタケノシシが転倒した。
私も私で、持ってかれないために、自分の身体に別のロープを巻き付けていたけれど、
「痛い痛い!千切れる、死んじゃうって!」
身体が裂けるぐらい痛かった。
目の奥からは熱い涙が出て、身体が強化されてる分、痛みも爆発した。
しかしそのおかげで、シイタケノシシは体勢を崩すと、動きが止まった。
「今です!」
サッとアイリスはシイタケノシシの背中の椎茸にロープの輪っかをくくりつけた。
すると勢いよく手元に引っ張ると、椎茸はポロンと取れてしまった。
「品質は……悪くないですね。取れましたよ、クロエさん!」
「あっ、ああ、あああ、うん」
私は痛すぎて、まともに話せなかった。
だけど今思った。
これって、どうせ転ばせるのなら、私が投擲でもよかったんじゃないのかな?と。だけど、終わってしまった後のアイリスはとっても笑顔でいたからか、何にも言えなかった。痛いしね。
こんなことしたら、めちゃ痛いよね。
引きちぎれるって。




