第58話 朝の騒音
この子達は、山の中でテントも張らずに野宿してます。
フェルルとアイリスがいるからか、野生動物は襲ってきません。
次の日の朝。
私達は凄まじい騒音め目が覚めた。
「うわぁ!」
「師匠、下がって!」
既に起きて、朝のトレーニングを終えていたフェルルが剣を抜く。
それから私とアイリスの前に立ち、音の正体である、モンスターに対して威嚇した。
「な、なにがいるの!?」
「かかったんですよ。行きましょう、クロエさん!」
私は先に起きていた、フェルルとアイリスに連れられて、昨日仕掛けた罠のところに向かった。
私達は少し離れた場所で、寝ていて、フェルルとアイリスが魔力で作った結界?とかのおかげで、ぐっすり安眠できていた。
だけど騒音で叩き起こされるなんて・・・ふわぁー、眠たい。
「師匠、眠そうだね」
「うん。まさかこんな形で起こされるとか思ったなかったから」
私は口に手を当てて大きな欠伸をかいた。
あーあ、私もフェルルやアイリスみたいに、もっと早く起きないとね。って、今何時?
「フェルル、今何時?」
「えっ、今!?えーっとね、5時?」
私は黙った。
とにかく黙った。これは口に出してはいけないやつだ。だけど思うのはいいよね。
(フェルルとアイリスって、どんだけ早く起きてるのさ!)
私はため息を吐いた。
「大丈夫ですよ、クロエさん。私達が早起きなだけですから」
「そ、そうだけどさ」
「でも師匠の寝顔って、可愛いよね」
「私も同感です!クロエさんって、無防備だから可愛いですよね」
いやいや可愛いとかじゃないでしょ。
って、2人共そんなことしてたの!?
「ちょっとやめてよ!」
「あはは。でも、師匠って可愛いから」
「本当ですよ。でも私一つ思ったことがあってですね……」
「「えっ、なに!?」」
私とフェルルは、アイリスの疑問を尋ねようとした。
しかし、アイリスが話し出そうとした途端、私達の前に現れたのは、昨日仕掛けた罠で、そこにはモンスターが掛かっていた。
「あれって!?」
「そうですよ。昨日、フェルルさんが採って来てくれた、椎茸の主です」
そこにいたのは、茶色に毛に覆われた大柄の四足歩行動物。
口からは立派な二本の牙が生えてあり、一番目を引くのは、背中から生えた立派な椎茸だった。
「これが、シイタケノシシ?」
「そうだよ師匠。ほら、凄いでしょ!」
「凄いね。なんで、背中から椎茸が生えてるの?」
私は聞いちゃいけなそうな、根本的なことを2人に尋ねた。
するとフェルルは「うーん」と唸るだけだったけど、アイリスはと言うと「それはですね」と楽しそうに話してくれた。
「シイタケノシシは背中に魔力器官が剥き出しになっている箇所が幾つもあるんです。産まれたばかりの頃は、イボみたいになっているんですけど、そこに椎茸の菌糸がくっつくことで、大量の栄養を伴った魔力を吸収することで、立派な椎茸になるんですよ!」
と、アイリスは説明する。
さらに聞けば、立派な椎茸になるには長い時間が必要で、最低でもこのサイズになるには、1年は普通に掛かるらしい。
その上、警戒心も強くてなかなか姿を見せないんだけど、そこは流石アイリス。シイタケノシシのことを研究して、誘き寄せるための、餌を用意したみたいだ。
「それじゃあ早速……」
フェルルは近づこうとする。
だけどその瞬間、シイタケノシシはなにを誘ったのか、急に私の作った罠を引きちぎって、その場から逃げ出した。
「あっ、ちゃっと待ってよ!」
フェルルは慌てることなく、急いで追いかけた。
けれどフェルルは急いで追いかけたけど、シイタケノシシのあまりのパワーに圧倒されて、木々を薙ぎ倒しながら、直進して進んでしまった。
このまま逃げられたら、昨日のが無駄になる。
そう感じたので、私は、
「追いかけよう!」
そう提案して、急いで追いかけることにしまして。
先に走り出した私の後ろを、アイリスは、
「わかりました!」
と言って、私の後を続いて追いかけました。




