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第49話 魚捕りは罠を張って

魚捕りってしたことありますか?

 アイリスと一緒にサイレントフィッシュを捕ることになったけど、そのやり方はアイリスとは違う。


「それでどうするの師匠?」

「なにが?」

「サイレントフィッシュ。やっぱり、アイリスみたいに私が衝撃波で弾いた方がいいかな?」


 そんなことを言う。

 私は首を横に振って、「しないしない」と全力で否定した。


「そんなやり方してたら、魚が逃げちゃうでしょ。だから、私なりのやり方をするの」

「師匠なりのやり方?」

「うん。これと、これ、どっちがいい?」


 私が見せたのは竹をビルドして作った釣竿(つりざお)と、草を()んで作った(あみ)だった。


「えーっと、普通だね?」

「そうそう。普通で確実。変なことはしないの」


 転生者だからって、無茶苦茶なことはしない。

 だいたいそう言う系って、自分は特に何にもしてないよって言っといて、結局他人とは違う凄いことの連発で注目を集める。

 ただでさえ、勇者と一緒にいるんだから、これ以上私が注目の的になるのはごめんだよ。


「だから今回は普通のやり方」

「なるほどね。うーん、アイリス!」

「はい、なんですか?」


 アイリスは振り上げた斧を置くと、こちらにやって来る。

 するとフェルルは、私の提案した方法を話した。


「師匠がね、釣りか網がいいんじゃないかなって」

「なるほど。確かにその方法はシンプルですが、効果的ですね。サイレントフィッシュは姿形自体が透明で、それに加えて音もしないような魚ですから、ランダムに衝撃波で叩き出しても、時間がかかってしまいますものね」


 と、アイリスは納得してくれた。

 と言うか、この人達自分達が普通じゃないからって考え方も普通じゃなくていいんだよ。考え方ぐらいは、普通の方がいい時もあるんだよ。と、言いたくなったけど、今回は黙っておく。


「それでどっちがいいかな?」

「そうですね、釣りですと時間がかかってしまいますし、指先の感覚だけで釣り上げないといけないので、網罠にしましょうか」

「オッケー!」


 アイリスの適切な提案に、速攻でフェルルは合いの手を入れる。

 調子いいですねー。


「それじゃあ罠、張ろっか」

「あっクロエさん、少し待ってください」


 アイリスは網を持って、川の中に入ろうとする私を止めた。


「なに、アイリス?」

「川の中にむやみに入れば、せっかくのサイレントフィッシュが驚いて隠れてしまうかもしれません」

「えっ!?」


 何だろ、すごくシビアだし、繊細(せんさい)何だなー、と改めて感じた。


「それと、少し色をつけておきましょうか」

「色?」


 色をつけるって何だろ。

 まさか、お金とかそっち系じゃないよね!


「さっき採った木苺(きいちご)です。これを潰して、果汁を垂らしておきますね」

「どうしてそんなことするの?」


 私は気になって聞いてみた。

 すると、


「サイレントフィッシュは透明なので、色を付けて見えるようにしておかないと、まず捕まりませんよ」


 と、納得しか出ない答えだった。

 えーっと、じゃあ網を川の底に仕掛けますか。


「それじゃあ私がこっちを持つから、フェルルはそっち持って」

「では私がこっちを持ちますね」


 アイリスはフワッと川を飛び越えて、反対側の岸に寄ると、網の反対側を持って川の底に沈めた。

 それからそこそこの大きさと重さのある石を使って、重石(おもし)にして、後は、待っておくだけだ。


「それじゃあしばらく待ってよっか」

「「はい」」


 私達はサイレントフィッシュが捕れるまで待つことにした。

 それから1時間後。


「あっ、師匠!」

「な、なに!?」


 フェルルが私を叫ぶようにして呼んだ。

 

「何か入ってるよ!」

「えっ!?」

「あの形、間違いありません。サイレントフィッシュですよ!」


 アイリスも飛び跳ねながら喜んでいた。

 その様子から間違いないと、確信を持ち、私達は無事にサイレントフィッシュを捕まえることができた。


「何だろ、(きす)みたいな見た目だね」

「そうですね」

「そうなの?」


 アイリスとフェルルの反応は全く逆だったけど、完全に鱚だった。

 だけどここは淡水だから、不思議だなーと思う私だった。

 

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