第45話 サイレントフィッシュ
今回の依頼はなんとミフユさんからです!
つまりは報酬金はありません!じゃあ何が報酬かって?そんなの決まってるでしょ!
その日、私とフェルルはミフユさんの困った顔から朝が始まった。
「えっ、サイレントフィッシュ?」
「それを捕って来ればいいの?」
私とフェルルは口々にそう言い張る。
私はサイレントフィッシュって名前に、フェルルは取ってくることに首を傾げていた。
「うん。本当は何でもいいんだけど、せっかくならね」
どうしてこんな話になったのかをざっくり説明するよ。
何でも最近食材が高いから、出来るだけ安く調達できるものはそうする方針に変えたみたい。お昼時のランチの食材は帰れないけど、せめて自分達が食べるものぐらいは、食材の価格が落ち着くまでの間、出来るだけ取ってくることになった。
そこでクエストを受けるついでに、私たちが取ってくる運びになったんだけど、今日の晩ご飯は、魚にするみたいで、少しでもいいものをと思って、口にしたのがサイレントフィッシュだったのだ。
「あの、サイレントフィッシュって?」
「サイレントフィッシュは、綺麗な川の上流に生息している、透明な魚だよ。身はほろほろしていて、食べやすかって、あっさりした味なんだよ」
「へぇー、素揚げにしたら美味しそうだね」
「うん。サイレントフィッシュは身が柔らかいから、素揚げとかじゃないと、駄目なんだけどね。でも流石師匠だよ、知らない魚なのに、今の説明だけで、それがわかっちゃうなんてさ」
「あはは、何となくね」
私は褒められて少し嬉しかった。
だけど本当に美味しそうな魚だ。でも、一つだけ気になることがある。
「ねえ、なんでサイレントなの?」
「ん?」
「だから、なんでサイレントなの?」
「えっ、なにが!?」
「いやいや、透明だったらクリアとかでよくない?」
私はそう尋ねるけど、フェルルは「ん?」のゴリ押しで、押し切ろうとする。
あぁ、これはそう言う感じなんですね。
そこにツッコんだり、踏み込んだら駄目な系なのね。はい、わかりました。
「えーっと、とりあえずサイレントフィッシュを捕りに行けばいいんですね」
「はい、お願いできますか?」
「まっ貸せてよー!ねー、師匠」
「うん。ちなみにどこに行けばいるんですかね?」
私はミフユさんに尋ねた。
するとミフユさんは思い出すように天井を見つめた。
「そうですね。私が冒険者の頃でしたら、サラミズ川ですかね」
「サラミズ川?」
私だけ首を傾げた。
しかしフェルルは「なるほど、サラミズ川かー!」と首を縦にコクコク振る。
「フェルル?」
「師匠、サラミズ川ならすぐだよ。途中で貿易用の道が塞がってないかとか、見に行こう!」
「そうだね。ついでなんだし」
「よーし、早速出発だー!」
今日のフェルルはテンションが高い。ハイになっている。
そんなに楽しみなんだ。確かにご飯は重要。特に、ミフユさんの作る料理は何でも美味しいからね。
私もフェルルも自然と、本気になっていた。




