第44話 ミフユさんはやっぱり最高だよ!
私達は今日のクエストを終えて、宿屋『篠月』に戻ってきた。
その途中で、食材を買って帰ることにした。
「うわぁ、鳥もも肉100グラム100円!?(いつもの2倍以上だよ……)
「師匠、こっちは大根が1本、400だよ!」
「よ、400!?」
もう口が閉じないよ。
最近、料理店が流行ってるから材料が足りないとかで、色々値上がりしているみたいだ。
ちなみに、この世界のお金の単位は女神様の名前を使っているみたいだ。確か、メアだったような気がする。
「ふ、フェルル手持ちある?」
「う、うん。でもこんなに高いなんてねー」
「でも食材の値段が高いのって、本当に繁盛しているだけなのかな?」
「どゆこと?」
「ちょっと考えてみれば、普通そんなこと起こらないでしょ。でもこれだけ高いってことは、そもそも入らないんじゃないかな?」
私はそう答えた。
そもそも材料が町に入ってこない。その理由がどこかにあるはずだ。だけどそれを調査することはできないし、根拠もないので、忘れることにした。
「「ただいまー」」
私とフェルルは食材を買って宿屋に戻ってきた。
するとミフユさんがいつもの笑顔で出迎えてくれる。
「お帰りなさい、クロエちゃん、フェルルちゃん」
「ミフユさん、これ買ってきたので使ってください」
私とフェルルは野菜やお肉が入った袋をミフユさんに手渡した。
すると少し驚いたような顔をされる。
「ミフユさん?」
「お野菜やお肉がこんなに。今、高いんですよ」
「あはは、確かに高かったよねー」
「でも使うと思って、先に買ってきました。あっ、気にしない方いいですからね。どうせ私達が食べるんですから」
私達は笑って答えた。
それを聞いたミフユさんは安心した表情を浮かべて安堵する。
「それじゃあ今日も腕によりをかけて、お料理しますね」
ミフユさんは腕枕をした。
見れば、冒険者時代の名残からか、かなり鍛えられている。
「凄い筋肉だね」
「うん。着痩せするタイプだったんだ」
フェルルは私に耳打ちしてきた。
「そう言えばミフユさん、一つ聞いてもいいですか?」
「はい、構いませんよ」
ミフユさんは袋の中の食材から、私達に視線を戻すと、快く答えてくれる。
「ミフユさんは、もしもですよ、もし凄いお客様が来て、それで皆んながやって来るようになったら嬉しいですか?」
私はそう尋ねる。
他のお店が今そういう風になっているから、ちょっとだけ気になっていたのだ。するとミフユさんの答えは、迷いがなかった。
「お客様に喜んでもらえるなら嬉しいですよ。でも、それがもし他人伝いで本当に自分の舌を信じていないのなら、それははっきり言ってつまらないですね」
ミフユさんの目は真剣そのもの。真っ直ぐなものだった。
それを聞いて、はっとなるのがわかった。
この人は本当に本当にホンモノだ。口コミだけで測らない。そんな強い信念がひしひしと伝わってくる。
「そうですか。なんだか安心しました。ミフユさんが、そう言う人で」
「どう言う意味ですか!?」
「そのまんまだよー」
フェルルはだらだらーと間延びして答える。
しかし対する本人であるミフユさんは、首を傾げていた。
「それでミフユさん、今日の晩ご飯も楽しみにしていますね」
「あっ、はい。任せてください」
ミフユさんは笑顔に戻る。
今日買ってきたのは豚肉ともやし、キャベツに人参。普通に考えて塩胡椒で味付けした、野菜炒めだろうけど、それでもミフユさんの料理は美味しいから、今から楽しみでした。
最近、野菜高いよねー。
マヨネーズとかケチャップ、駄菓子ですら値段が……




