表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/73

第27話 白百合の正体

今回はクロエのスキル大活躍の巻。

 私達は浮島に辿り着いた。

 そこにはフェルルの言っていた通り、白い花が咲いていた。

 ラッパみたいに広がった花弁(はなびら)。しかも大きい。(くき)は細くて、香りも強い。昔、図鑑(ずかん)で見たことがあるから間違いない。


「これが白百合(しらゆり)?」

「そのようですね」


 シルフは肯定(こうてい)してくれた。

 私は早速しゃがみ込んで、拾おうとしたのだが、どうもフェルルの顔色はムッとしている。


「フェルル?」

「これって、命の花だ」

「命の花?」


 そう言えばゴブリンワイフを治した時に使っていた花の名前も、命の花だった気がする。しかし、そんな偶然があるのか。

 もしかして、白百合の正体が命の花ってことになるのかな?そもそも、それって何よ。


「フェルル、命の花って?」

「この間、ゴブリンワイフに使った花の蜜。あれが命の花だよ。私も、(しぼ)った後の残り蜜しか使わなかったけど、かなり高価(こうか)代物(しろもの)だよ」


 フェルルの説明はさらに続いた。


「命の花の効果はとんでもなく高いんだ。だけど、まさかこんなに咲いている群生地(ぐんせいち)が見つかるなんて」

「珍しいんだ」

「うん、聞いたことない」


 フェルルは、命の花の価値について簡単にだけど、熱弁(ねつべん)した。

 つまり要約(ようやく)すると、高いし珍しいけど、とんでもなく高い効果を持っている。そういうことでいいのかな?


「それはいいけど、これをまだ帰らなきゃいけないんでしょ?」


 私が手を伸ばして、白百合を採ろうとしたが、フェルルは私の手を掴んで止めた。


「えっ?」

「確か噂で聞いたんだけど、命の花は採取(さいしゅ)がとっても難しいんだよ。根っこが土から離れた瞬間に、もの凄い速度で()れちゃうらしいんだ」

「それじゃあ、どうすればいいの?」

「うーん、最悪蜜だけまだ帰るしかないよ」


 フェルルは頼りなげに答える。

 しかしそれじゃあクエスト完了にならない。そこで私は自分の持っている武器を総動員(そうどういん)して、考えた。その結果、一つアイデアが浮かんだ。


「あっ、そうだ!」


 ポンと(てのひら)を叩いた。


「何か思いついたの、師匠?」

「うん。ちょっと試してみようと思って」


 そこで私は白百合の咲いている土を触った。

 一輪(いちりん)だけ、両手で持ち上げる。そして私がやることは、もうお決まりだよね。


「ビルドメーカー!」


 私がそう叫ぶと、土が急にスポンジみたいになる。

 そう、私がやったのは土を水を含んだスポンジに帰ることで、持って帰れるようにしたのだ。

 わかりやすい例えなら、スーパーの片隅(かたすみ)で売っている、カイワレダイコンのカップとほとんど同じことをしただけだ。


「凄いよ師匠!これなら、楽に持って帰られるね」

「うん。後はこれを……」


 私は肩から下げる、(かばん)の中に押し込んだ。このままじゃぐちゃぐちゃになっちゃうところを、(あらかじ)め、鞄をビルドメーカーで作り()えてあるので、この世界で言う魔法の鞄(マジックバッグ)と同じだ。


「主人様、そちらは」

「私が能力で変化した鞄だよ」

「それでしたら、後でお願いがございます」

「お願い?うん、難しくないことならいいよ」

「ありがとうございます」


 ペコリと頭を下げる、シルフ。

 そんな彼女の考えていることは、流石に予想出来ないので、今回は一旦(いったん)保留(ほりゅう)にする。

 とにかく、これでクエストは無事完了。

 私達は町に戻ることにしたのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=927623086&size=300
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ