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死体処理係の晩餐会へようこそ  作者: 焦げ職人
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2話 転生ドラゴンのこれまで

「『ごちそうさまでした!』」


あれから散々駄々をこねて嫌々料理を口にしていたが、後半はどうやら気にいってもらえたらしい。


『いやー、あんた料理のうめーな!ドラゴンの肉がこんなにおいしいなんて知らなかったぜ』


「私もあの量の肉どうしようかと思ったが無事なくなってよかった。ところで記憶は戻ったか?」


彼は顎に手を当て少し考える素振りを見せた。


『あー、なんとなく?いや、あ!そうだったわ!うん、思い出した!』


それから彼の話を要約するとこうだ。


彼は転生する前やはりこの世界を管理する神に会っていた。『この世界を救う手伝いをしてくれたら、転生した時に特別な力をあげるよ』と神に言われ『じゃあ、どんな生き物にでもなれる力をください!』って答えたらしい。そして“最初”に転生したのは虫。


どうやら人間であった前世からそのままドラゴンに転生したわけではないらしい。


その虫もなんかよくわからない内に死んだらしいが。


次に転生したのは狼。なんとか大人まで育ったそうだが、仲間との考え方の違いから群れを追放され、餓死。


次がピヨリムという小鳥の魔物。親鳥が何を考えてか、天敵である大型の鳥の魔物を連れて巣に逃げて来た為、そこであっさり食われたそうだ。


ここまでにもう3回も死の体験をしているわけだが、「精神的に大丈夫なのか?」と訊いてみると『確かに死ぬ瞬間は身が悶えるほど怖かったけど、転生したらその事実だけが記憶に残って、怖いって感情は特になかったな。それよりも今何に転生したのか、ここはどこなのかっていう方が大事だったし』って言われた。おそらく、神がその辺をうまくやったんだとは思うが、それにしても彼は鋼のメンタルの持ち主だろう。


その後やっとドラゴンに転生したが、縄張り争いに負けてしまい、お腹が減ってあちこちを彷徨っていたらまたいつの間にか死んで今に至るらしい。


『ここ最近は生きるので精一杯だったから考えなかったけど、世界を救うって具体的に何をするんだ?』


「それは転生する前に神から聞かなかったのか?」


『おー。異世界に転生できるって言われたらそれ以外考えられなくてな』


「そうか。まあ、その気持ちはわかるがな」


『ん?どういうことだ?あんたも転生者ってことか?』


「そうだな。私もおそらく君と同じ転生者だ。ただ確実に君と同じ世界の同じ時代から来たとは限らないが」


『お!マジか!アニメとか何見たんだ?好きなラノベは?得意なゲームはなんだ?!』


「それに答えてもいいが、その前に聞くべきことがあるんじゃないのか?」


『あんた知らないのか?男性はむやみに女性に年の話をしてはいけないんだぞ』


(そんなことに気を配れるやつだったのか)


「その心意気は素晴らしいと思うが、私は年を気にするような年齢で転生してないから気にするな」


『それくらい婆ちゃんってことか?』


「いや、高2だ」


『え!俺と同じじゃん!てか高2でその喋り方とかあんた変わってんな』


「転生してから50年も経てばそりゃ婆っぽい喋り方にはなるだろ」


『50年!?精神年齢的には60代やん!てか、こっちの世界に50年もいてその見た目か?!ぜんぜん高校生くらいやん。あれか?エルフとか魔族とか普通の人間じゃない系か?』


「そうだな。普通の人間ではない。転生者の時点でまずこの世界で言う“普通”の人間ではないだろうがな」


『じゃああんた何者なんだ?』


「その答えはもうそろそろ来るだろうから、まあ楽しみしてろ」


『じゃあ、名前だけでも教えろよ』


「今の名前はムーシュラだ。前の名前は村山 優木」


『そうか。俺は伊賀 数多(あまた)だ。よろしくな!』


「ああ、よろしく」


(てか、世界を救う話結局してないけど…ま、いっか。あいつがきたらどのみち話すことにはなるし)


ちなみにムーシュラが言った「その答え」が来たのは翌日の昼だった。

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