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エピローグ

「見学をご予約された、袋田様ですね。お待ちしておりました」


結婚式の式場見学に訪れると、にこやかに受付のお姉さんが出迎えてくれた。


あのネモフィラの丘の告白から10年、25歳、今度はコキアと言う植物で真っ赤な丘となっていた秋のひたちなか海浜公園で結婚のプロポーズをした。


「結婚してくれ」


「リュウちゃん、プロポーズなんて今更じゃん。ちゃんと私はあの時一緒に一生涯連れ添う仲になるって返事したんだもん」


「まっ、けじめだよ」


「らしいよね。返事はもちろん、はい、袋田千陽になります」


満面の笑みは今でもイケメンだった。


そして、結婚式場の見学。


「大変失礼な質問をさせていただくことをお許しください」


そう難しい表情を見せたお姉さんに対して千陽は、


「あっ、慣れているんで大丈夫ですよ。私、男っぽいですよね?女です。でも、ウエディングドレスは私が着ます」


イケメン過ぎる千陽でもウエディングドレスを夢見ていたのがなんとも可愛らしかった。


あの日ネモフィラの丘で愛を叫んだ日から10年、イケメンは成長し続けた千陽。


東京に遊びに行ったとき、


『俳優になりませんか?あっ、うちはちゃんとしたプロダクションです。●●って俳優や○○○ってアイドルも所属しています。お兄さんならきっとモデルから俳優にもなれますよ』


千陽は大手事務所のスカウトマンに声を掛けられるくらいになっていた。


決まって千陽は言う、


『私はもう永久就職決まっていますから』


そうニッコリ言うと、俺とディープなキスを見せた。


それは俺としては恥ずかしいからやめてほしかったが。


千陽のそんな悪戯でスカウトマンが固まるのは、なんとも面白かった。


「こいつ女ですよ」


俺が一言言い残して場を立ち去る。


何度あっただろうか。


後から他の店を見ていた一応ダブルデート中のヒロミとチーのカップルにも声が掛けられたらしく、


『お姉さん達ならアイドルになれますよ』


ヒロにスカウトマンは声を掛けると、ヒロは突き出された名刺を持つ手を自分の股間に当て、


「僕、付いてるよ」


ニンマリと言ったそうだ。


きっとスカウトマンは人間不信になっただろう。


ただ好きな格好をしているだけ。


そんな4人の俺たちは一生涯の友達を続けていくだろう。


格好良く男っぽい千陽、可愛い女っぽいヒロミ、成人しても高校生に間違われるゴスロリのミー、ヤンキー服が好きな俺。


ただ好きな格好をしている『普通』の男女だ。


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