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3.公園(2)



 彼はカールした端をつまみ、色紙を上から何枚か手に取った。指に触る紙の感触を感じると、何だか安心する。


 それから一枚ずつ、太陽に向けて透かし見た。


 黄、青。そして緑に紫。どれに光を通しても同じ。紙本来の色がわかる気がした。


 いつ見てもキレイだ。あきらは今日初めて、子供らしい笑顔を見せた。


 実を言えば、彼が毎日取り出していたので、色紙はみな新品の時よりだいぶ折り目がついたり、皺になっていたりした。


 けれどあきらの目に細かい傷は気にならなかったし、むしろ余計に愛着が湧いてくる。


 あきらはいつも思っていた。


 僕のひとことで、カラーペーパーから出てくる、もうこの世にはいない花や動物たち。


 眺めるのは嫌いじゃないけれど、何かが「違う」気がした。


 違和感の理由は自分自身にもわからない。


 ただこの紙たちは、少し折れたり汚れたりしても、こうやって手に持って透かしている時の方が、生き生きとしている気がする。


 この気持はどこから来るのだろう。ただ紙を持っているだけなのに。それがあきらをワクワクさせる。


 こんな気持ちになるなんて、ちょっと変だと思う時もある。


 なぜなら周りの子たちは僕みたいに、ときどき紙を見て『うっとり』していないから。


 だからこの事は誰にも喋った事はない。


 もしかしたら、あきらに優しいヒナだけは、打ち明ければわかってくれるかもしれない。


 けれど驚かれたら? あの大きな目が友情ではなく嫌いの色に変わったとしたら?


 考えれば考えるほど、ヒナにその事を言い出せなかった。


 もう別にいいやと、あきらはすでに諦めていた。


 ママにも、ヒナちゃんにも、ましてやあの生意気なぴーえーにも、笑われるのは嫌だから。


 それから、こうしてひとりで公園にいる時が、あきらの幸せな時間になっていた。


 あきらがベンチに色紙を並べていると、転がってきたボールを取りに来る子が何をしてるんだろうと覗き込んできたりする。


 紙から出てくる何かを期待してるのかな。あきらは心の中で謝る。ごめんなさい。僕の色紙はそういうんじゃないんだよ。


 その日もあきらは色紙を並べるのに夢中だった。


 そうして小さな喜びに浸っていたその時、ちょっと強めの風が吹いた。


「あっ!」


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