表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/23

3.公園(1)



「それでは、また明日会いましょう。みなさん、さようならー」


「さようなら! ほら、あきらも挨拶して!」


「ふふ、いいんですよーお母さん。じゃあね、あきらくん」


「……」


「あきらったら!」


 そんなやり取りが交わされるのは、園の迎えがピークとなる時間帯。


 子どもたちを迎えに来た父母たちのただいまの声と、親を見て喜ぶ子どもたちの声が重なる。


 あきらもそのひとりだ。ちょうど母親に連れられて、園の門から外に出た所だった。


 保育園からあきらの家までは5分とかからない。自宅のすぐ近くまでは親子で歩いた。けれど母親は買い物をするという理由を述べ、公園の前であきらと別れた。


「遊びに行くならいちど家に戻ってからね」


 去り際、母にそんな言いつけをされたが、少年はほとんど守ったことはない。


 あきらは今日も通園カバンを抱えたまま、公園の中に走っていった。


 公園はどこの町にもある標準的な広さで、小さな子どもたちと親で賑わっていた。


 あきらはすれ違う子供や大人に目もくれず、早足で歩いた。


 家に帰ればおやつがあるのは分かっていたが、その誘惑もあきらの足を止められない。彼にはすることがあったからだ。


 そう。公園にはお気に入りの場所がある。


 みんなが集まるすべり台やブランコではなく、園の隅の方にある2脚のベンチの右側。それがあきらの定位置だった。


 どうしてそんな何もない所を? 公園に遊びに来る者ならみな思うだろう。


 ベンチの周囲に遊び道具は無いため、あまり子供が寄り付かない。逆にそれが、ここをあきらに気に入らせた理由でもあった。


 あきらはベンチに座ると、早速カバンの中から、プラスチック製の正方形のケースを取り出した。


 何度も持ち運んでいるせいで、表面は擦れて傷だらけ。それでも持ち主は外観をまったく気にしていない。


 入れ物を覆う蓋を開けると、中には何色かの色紙が入っていた。


 それらは保育園でもらう度に集めていた、あきらの持つカラーペーパーの全てだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ