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1.カラーペーパー(1)

~~~※~~~※~~~※~~~※~~~※~~~※~~~※


はんぶんに折ります。


ひらきます。


ななめに折りめをつけます。


まん中に折りあわせます。


カドをひっぱりだします。


ななめに折りひらきます。


はんぶんに折りかえします。


ほら、できた。


ぴょんぴょんカエル。


おしりの所を撫でると、小さくぴょんと跳ねる。


誰が最初に作ったのかわからない。


緑色の紙で出来た、不思議な生き物。



~~~※~~~※~~~※~~~※~~~※~~~※~~~※



1.カラーペーパー(1)



「はーい、みんな起きる時間だよー」


 ぱっと灯りが付き、若い女性保育士の明るい声が、四角い部屋に響き渡る。


 ひとつ、またひとつと、昼寝していた子供たちの小さな頭が、起きあがっていく。


 伸びをする男の子。敷布団の上にペタンと座ったまま、服の袖で目を擦り、不平そうな声を出す女の子。胸の上にかけられた薄手の毛布の下から、まだ抜け出せない子供もいる。


 みな態度はさまざま。


 保育士はやれやれと腰に手をあてた。寝ている子を起こすのは、年齢に関わらず骨が折れるものだ。


 けれど、今日の保育士はへこたれていなかった。むしろ自信があった。なぜなら彼女は、強力な武器を持っていたからだ。


「新しいカラーペーパー、来たよー!」


 保育士は再び大きな声をあげた。


 一瞬、まるでその声がなかったかのように、部屋はしんと静まり返った。


 その直後だった。部屋のすべての子供たちが、訓練施設の新兵か何かのように、瞬時に起き上がった。


 兵隊たちと異なるのは、彼らの顔が、興奮と期待に満ち溢れていた点だった。


 先程まで眠っていた場所から人がばっといなくなり、後には乱れた布団たちの山ができあがった。


 子供たちは部屋の入口の引き戸に向かってバタバタと駆けていき、やがて見えなくなった。


 最後に引き戸がバタンと閉まる音があり、そして部屋はまた静まり返る。


 そこに、もぞもぞと動く影があった。


 訂正すると、飛び起きたのは全員ではなかった。


 むっくりと影が起き上がった。



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