1.カラーペーパー(1)
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はんぶんに折ります。
ひらきます。
ななめに折りめをつけます。
まん中に折りあわせます。
カドをひっぱりだします。
ななめに折りひらきます。
はんぶんに折りかえします。
ほら、できた。
ぴょんぴょんカエル。
おしりの所を撫でると、小さくぴょんと跳ねる。
誰が最初に作ったのかわからない。
緑色の紙で出来た、不思議な生き物。
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1.カラーペーパー(1)
「はーい、みんな起きる時間だよー」
ぱっと灯りが付き、若い女性保育士の明るい声が、四角い部屋に響き渡る。
ひとつ、またひとつと、昼寝していた子供たちの小さな頭が、起きあがっていく。
伸びをする男の子。敷布団の上にペタンと座ったまま、服の袖で目を擦り、不平そうな声を出す女の子。胸の上にかけられた薄手の毛布の下から、まだ抜け出せない子供もいる。
みな態度はさまざま。
保育士はやれやれと腰に手をあてた。寝ている子を起こすのは、年齢に関わらず骨が折れるものだ。
けれど、今日の保育士はへこたれていなかった。むしろ自信があった。なぜなら彼女は、強力な武器を持っていたからだ。
「新しいカラーペーパー、来たよー!」
保育士は再び大きな声をあげた。
一瞬、まるでその声がなかったかのように、部屋はしんと静まり返った。
その直後だった。部屋のすべての子供たちが、訓練施設の新兵か何かのように、瞬時に起き上がった。
兵隊たちと異なるのは、彼らの顔が、興奮と期待に満ち溢れていた点だった。
先程まで眠っていた場所から人がばっといなくなり、後には乱れた布団たちの山ができあがった。
子供たちは部屋の入口の引き戸に向かってバタバタと駆けていき、やがて見えなくなった。
最後に引き戸がバタンと閉まる音があり、そして部屋はまた静まり返る。
そこに、もぞもぞと動く影があった。
訂正すると、飛び起きたのは全員ではなかった。
むっくりと影が起き上がった。