おねぇ聖女が凄すぎて、歴史書には残すことができません!11.聖女と勇者
私はエドガー・バルマー。隣国から来た聖女ヴァルヴァラを代々聖女の護衛をしてきた家柄であるバルマー家で預かることになった。
本来、聖女はバルマー家で不憫不快がないようにする。マリアは嫌がって……もとい、謙虚にも辞退したが……
「旦那様……ヴァルヴァラ様がまたお呼びです」
何回も呼ばれると困るのだが、聖女のお相手をするのも私の仕事……
「エドガー! 会いたかったわ! 寂しくて死にそうだったの……多分死んじゃう……」
これが聖女の記録書に稀に書かれていた聖女病か……だが対処は分かっているので大丈夫だ。
「大丈夫ですよ、ヴァルヴァラ。私は貴女の側にいます」
名前を呼び、優しい言葉をかける……聖女の記録書は完璧だ……
「本当に? 嬉しい!」
また、青白い光が溢れた……奇跡の大安売りだな。さて、今日の予定は……
「今日は勇者と会う日です。準備をしましょう」
◇
ハインツ殿に会いに来たのだが第一王女のクララ様も一緒だ……失礼がないようにしないと……
「ハインツです。聖女様よろしく」
流石は勇者……爽やかだ。おや? ヴァルヴァラの目が暗い……
「ヴァルヴァラです。どうも……」
頼むからクララ様には同じ対応はしないでくれ……命が惜しい……
「私は第一王女のクララよ。ハインツ様の婚約者なの。貴女もエドガーとお似合いね」
クララ様は何を言って……って、青白い光が溢れ出した! 何が起きた?
「未来あるお二人に祝福を!」
◇
「また、この女の家! やっぱり、浮気? 浮気をしてるのね!」
アグネスに会いに来たのだが、何故マリアの家にいる……ヴァルヴァラが騒いで大変ではないか……
「これも勇者なの? 女装の変態だわ!」
ヴァルヴァラはアグネスが男とわかるのか? マリアも男だぞ?
「何?その年増の人?」
アグネス、女性に失礼だな……
「と、年増……」
ヴァルヴァラがナイフ持ってアグネスに向かったか……ん? マリアが何か言ってきたぞ?
「ちょっと! エドガー! 止めなくていいの?!」
ブシュー!
ヴァルヴァラがアグネスの前で手首切ったか……血のシャワーがアグネスの顔にかかって、アグネスは顔面蒼白だ。トラウマになるかもな……そろそろ止めるか……
「ヴァルヴァラ、貴女は美しい。子供の言うことを真に受けてはいけませんよ」
私がヴァルヴァラの後ろから手首を掴んで囁くと青白い光が溢れる。血も止まったし、大丈夫だろう。
「エドガー貴方……ある意味凄いわ……」
ん? マリアが何か言っているが、何が凄いのだ?
登場人物は揃いました! 次が作者的に一番盛り上がる回になるはずです!