第十一章 神・聖・魔・人☆我々はどこから来た
1
今から数千万年の昔、今の人類が生まれるずっと前になる。
地球上には今の人類によく似た生物がいた。
それは、現在ある歴史観が覆される事実だろう。
その生物は、やはり、自分たちが支配している惑星を地球と呼び、地上で一番優れた生物であると自認していた。
実際、地球の生態系上、一番であるのは間違いはない。
しかし、一番優れた生物とは、ただの奢りでしかなく、その奢りは地球人類間でも成立した。
その頃の地球人には、今とは違って、四つの種族がいる。
いや、正確には、一つの上位種族と三つの下位種族が存在していた。
上位部族は“神”という名を持ち、優れた力を持っている。
全ての人が今の人類にはできない素晴らしい力を持っていた。
しかし、時を経るにつれて、その力に優劣や善悪が生じて来て、聖と魔が生まれる。
聖なる者と魔なる者は、力が拮抗し合い、お互いを牽制しあっていたが、ある時双方に卓抜した能力者が現れた。
彼らがお互いの存在を忌み、互いに排斥しあったのは自然の成り行きだ。
けれども、争いは、あまりにも無意味で悲しい出来事と言える。
気が付いた頃には、地上には僅かな人類が残るのみであった。
残った人類は、己の愚かさを悔い、互いを認め合って、共存し始める。
この頃、特殊な力は、聖魔の区別がはっきりしていて相容れないものであった為か、互いが結ばれた末に生まれた子供達は、力を失っていた。
それが、今の人類の祖先となる。
2
新人類は忌まわしい力も無く、至って普通だ。
この時点で地球上には全人口の一割の神、二割の聖魔、七割の新人類がい存在した。
新人類にとって、他の種族は今でいう神にも等しい。
だから、神話の中に、神や聖魔の事が残される様になった。
とにかく、地球上は神と聖魔の監視の下、新人類によって支配される。
それからと言うもの、地球は順調に、そして、平和に栄えていった。
しかし、神、聖、魔はその平和な時を退屈に思えて仕方がない。
己の持つ力を試したくてうずうずしていた。
彼らの力はあまりにも絶大で、使う事が即、滅亡に繋がる事を皆知っている。
その為、今迄力を使う事を抑止していた。
しかし、神の中に卓抜した力を持つ者が現れる。
その名はカルキといい神の中の神と言うべき存在だ。
カルキは神々を支配し、他の種族を滅ぼすべく行動した。
それに対して、聖・魔は、未だ纏まりを見せず、新人類に至っては手も足も出ない。
神の力は新人類にとって何の効力も持たなかったが、元々、文明的に進んでいた為、数の上で七倍する兵力もあっさり打ち破られた。
聖・魔はそれぞれ神に対する対策を立て、何とか凌いでいるようだ。
それでも、やはり、神の軍勢に押されていたのは否めないだろう。
しかし、神が己の力に自信を持ち、それが過信になった時、力は暴走した。
暴走した力は、力が影響する全てのものを飲み込みなぎ倒して行く。
そこに残ったのは、力の及ばない新人類、その他の動物、植物のみだった。




