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ときめき授業中


授業中もその異様な事態は続いていた。

私の席はど真ん中。

四方八方から視線を感じる。お願いだから黒板を見てください。先生の声に耳を傾けてください。本当に。

幸い池綿くんは一番前の右端の席だった為、話しかけられたりということはなかった。………しかし幸いというわけでもなかったことにすぐ気づく。

5分に1回くらいの頻度でこちらを振り返ってはウインクを飛ばしたり、手でピストルの形を作ってこちらを撃ち抜いてきたり。お前は昭和の少女漫画から産まれたキャラか。

ちなみに池綿くんはこんなんでもイケメンなので、その流れ弾に当たった別の女生徒が倒れていた。なんて古典的。


もう完全に池綿くんを視界に入れないことにして、隣の誠くんを横目でチラリと見る。

こんな状況の中、ちゃんと黒板と先生の方を見て、時々ノートにペンを走らせてはうんうんと頷く。

至って普通なその仕草を見ただけで、胸がぎゅっとなるのを感じた。


ああ、やっぱり私は誠くんが大好きだ。

真面目な横顔がすごく格好いい。

池綿くんなんて目じゃないくらい。


私の視線を感じたのか、突然誠くんがこちらを振り向いた。

目が合ってしまい、反射で顔を背けてしまう。


「なーに見てんだよ、授業中だぞ?」


小声で意地悪く笑う声が聞こえて、恥ずかしくて顔が真っ赤になる。


「なんでもないし!」


少し大きな声になる。

すると、一斉に皆がざわめいた。


「声が可愛すぎ!!」

「顔が真っ赤だ!熱でもあるの!?それにしても可愛い!!」

「沢村、どうしたんだ?可愛いな!」


何の脈絡もない賛辞が四方八方から飛び交い、また数人が倒れる。

池綿くんは何か悔しそうに誠くんを睨みながらハンカチを噛み締めている。表現が昭和かって。


誠くんへの気持ちを再認識することはできたけど、結局カオスな空間に気圧され、それ以上の展開はなかった。


あれ、おかしいな…。

現実の恋愛って、こんなに進展ないもの…?



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