傍から見たら羨ましい光景
冷や汗をかいていると、それに気付いた誠くんが私の顔を覗き込んできた。
「澪、なんか変な汗かいてるぞ?体調悪いのか?そういや最初から様子が変だったもんな…」
「!そうだったのか…俺は全く気づかなかった。すまない…」
「あ、いや、そうじゃなくて…」
誠くんがポケットから取り出したハンカチで、そっと私の汗を拭う。
「誠くん!き、汚いよ!」
「汚くなんかねーよ」
何言ってんの?という怪訝な顔。
言い切られたことが嬉しいやら恥ずかしいやら。
こういう相手に気を遣わせない優しさ!
どう考えてもメイン攻略キャラでしょ。なんでモブ扱いなの?私の元いた世界なら確実にモテ無双してる。アイドルも俳優も誰も敵わないよ。このイケメン、もはや手がつけられないレベルですよ。
「ちょっとちょっと!なに羨ましいことしてるんだい!?俺の薔薇の刺繍と香りのするハンカチがあるのに!」
「ホント、ユダンもスキもありゃしねーヨ!ボクが拭いてあげタのに!舌デ!」
いやだからキミらは何を言っているんだ。
存在も発言も濃すぎるよ。
「おい、お前達、沢村は具合が悪いんだぞ?そんなに騒ぐな」
声色も発言も至って普通なんだけど、外見のせいで半端ない威圧感がある。
さすがの二人も一瞬怯み、少しおとなしくなる。
「…ふう。とりあえず今日はここらへんで勘弁してあげるよ」
「澪のカラダの方ガ大事だもンねー」
ぷいっとお互いにそっぽを向く。
誠くんは相変わらず私に寄り添って、肩を抱いてくれてる。心臓バクバク。汗が余計吹き出てくる。
その背後に薬座先輩。
私の後ろを守るようなゆっくりとした歩幅になんだか安心する。
前を歩く池綿くんとミロくんは不機嫌オーラがすごいけど今は無視しとこう。
そしてようやく学校に着き、私はこのカオスから開放されたのであった………。




