目に飛び込んだ現実
「あ……れ……?」
おかしい。
私はたった今、学校から帰宅してる途中、信号無視で突っ込んできた車に跳ねられて……
そして?
辺りを見渡す。
自分の趣味とは違うピンク色を基調とした可愛らしい部屋。
枕元には大きなテディベア。
それ以外にも至る所に大中小の様々なぬいぐるみが飾られている。
どこで買ったのかわからないドピンクの机には、開かれたままの教科書とノート。途中でミミズが這ったような文字になっているところから、昨晩勉強中に面倒になって投げ出した様子がうかがえる。
そして飾られた……写真。
ときめき☆めろめろの主人公と、幼なじみの誠くんが笑顔で写っている………。
………?!!
「はあ!?」
いくらこのゲームが好きだからといって、ゲーム中に出てきた写真を再現して飾る技術は私にはない。というかこの部屋は現実の私の部屋じゃない。
だって、だって、このメルヘンな部屋…
はっと気付いた私は、部屋に角にあった姿鏡の前まで跳ねるように向かい、見た。
ショートカットが似合うちょっとつり目のベビーフェイス。
華奢な体に大きめの胸。
細くて長い足。
現実の私とは似ても似つかないこの美少女は………
「…ときめき☆めろめろの………沢村 澪ちゃんだ………」