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if 明治興亡記  作者: 高田 昇
18/83

第十七話:戦闘

この話から日清戦争編に入ります。

 閣議で、朝鮮への派兵が決議されたのは6月2日の事である。


 6月5日、陸軍は大本営を設置し広島の第5師団が動員され、隷下の第9旅団を主体とした『混成第9旅団』が編制された。翌6日に清国は派兵を日本に通達をし、日本も7日に朝鮮との済物浦条約に基づく派兵を天津条約に基づき清国に通達をした。


 第9混成旅団の編成は以下の通りである。


  第1陣


   混成旅団司令部


   歩兵第11連隊


   騎兵第5連隊第1中隊(二小隊除く)


   野戦砲兵第5連隊第3大隊本部及び第5中隊


   工兵第五大隊第1中隊


   第1野戦病院

 

   輜重隊


   兵站監部及び司令部


   第1輸送部隊



  第2陣


   歩兵第21連隊


   騎兵第5連隊第1中隊の二小隊


   野戦砲兵第5連隊第6中隊


   衛生隊 


   第2野戦病院

 

   輜重隊残り


   兵站司令部残り


   第2輸送部隊


 第1陣が宇品港より2隻の巡洋艦の護衛に伴い出兵し、6月12日に仁川に到着して首都の漢城へと向かった。日本派兵の目的は当初邦人保護であったが、仁川に上陸する前日の11日に朝鮮王朝は東学党と和議を結んだ事で事態は収拾の方向へと向かったため、日清両軍の朝鮮駐留の意義が無くなった。


 しかし、兒玉十三朗は『朝鮮の人道支援』を名目に医療支援と復興支援を混成第9旅団隷下の部隊で行わせた。その際、十三朗は作業の効率化のため地元有力者と接見して融和を図った。そして日に日に支援の要求が増えていき、朝鮮駐留の大義名分を得ていた。


 その頃、外交官の大鳥圭介は海軍陸戦隊430名を引き連れ朝鮮王朝の首都漢城へ入り軍事力を背景に圧力をかけ日本軍駐留の承認と清国軍の撤退を要求していた。


 一方で日本の伊藤内閣は、清国に朝鮮の内政改革を日清両国で行う提案を持ち出したが清国は拒否し、更に朝鮮に増援を送った。日本もこれに対抗して直に混成第9旅団の第2陣を送り、いよいよ朝鮮における日清両軍の軍事緊張は高まり衝突は時間の問題となった。


*****


 日清両軍の最初の戦闘は海上で起きた。その7月24日、朝鮮半島西岸の豊島沖で日本海軍と清国海軍が遭遇した事から始まる。


 この時鉢合わせしたのは日本海軍連合艦隊の第1遊撃隊であった。


 編成は


 旗艦「吉野」坪井航三(つぼいこうぞう)少将


 防護巡洋艦「吉野」4,216t 艦長 河原要一大佐


 防護巡洋艦「秋津洲」3,150t 艦長 上村彦之丞大佐


 防護巡洋艦「浪速」3,709t 艦長 東郷平八郎大佐



 対する清国海軍は


 防護巡洋艦「済遠」2,440t


 水雷巡洋艦「広乙」1,000t


 この時点で戦力の差は歴然であり、日本海軍が優勢であった。まだ両国は宣戦布告がなされていなかったため、両海軍は何事もなく互いの距離が3000mまで近づいていた。日本側は国際法に則り礼砲の準備を始めていたら先に清国側から砲音が響いてきた。最初は誰もが清国海軍の礼砲と思った事だろう。しかし、次第に砲弾が落下する時に響く不気味な音が鳴り響いてきたと思うと、突然近くの水面から巨大な水柱が出現した。衝撃が第1遊撃隊を襲った。清国海軍が実弾を撃ってきたのであった。


 日本海軍も直ちに応戦した。砲戦の中で吉野の放った砲弾が済遠の艦橋に命中し指揮系統が混乱した。更に後部砲塔に命中して多数の死傷者が出た事で済遠は降伏旗を掲げた。


 広乙は秋津洲と浪速に追い込まれ海岸に乗り上げ座礁した。


 降伏旗を掲げた済遠であったが逃走を行った。第1遊撃隊の吉野は追撃した。吉野の速度は23ktと、世界最速を誇っていたが済遠はジクザク走行をして吉野を翻弄させ、生きている砲で応戦をした。


 ここで吉野は弱点を突かれた。吉野の主砲は15㎝単装砲4門ととても非力で済遠を沈める程の巨砲は無かったため、1隻だけでの深追いは危険と判断した坪井は追撃を中止した。



 同日、日本の外交圧力に屈した朝鮮王朝は大島公使に牙山に駐留する清国軍の掃討を依頼した。これを受け、混成第9旅団は軍事行動に動いた。


 

 

読んでいただきありがとうございました。


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