表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/130

正体

 ガバッと出入り口の垂れ幕を開けて、横に並んだ二つ先にあるリルのテントへ急いだ。



「なにをしている!?」



 俺が叫んで問うと、槍を持った男たちが一様に俺のほうを向く。



「なぜリルを(ねら)う? アランさんの娘だと知らない――ってわけじゃ無さそうだな」



 テントの(かげ)から一人、(はだ)の白い男が姿を現せた。



「むしろ私から問いたい。なぜ、どこで気付いた?」



 アランさん――。

 彼は槍を持っていないが、状況から見て実行犯と首謀者の関係性だろう。



「英雄様の勘ってやつだ。細かい()()(かん)()(のが)していたら命取りになるんでな」


「なるほど……」


「まさか実の娘を殺そうとするとは――。さすがに頭で考えたら予測できねえよ」


「それは『スキル』なのか、それとも本当にただの勘か……。興味深いことですね」


「勘だって言ってんだろ」



 むしろスキルは(じや)()をしていた。

 恐ろしいことに、今も彼らの好感度は六十パーセント前後を保っているんだ。とてもじゃないが殺意を()めた数値ではない。

 どうしてこんなことになっているのか。

 念のために、(くぎ)()す。



「リルに槍を向けるんじゃねえぞ」


「困りましたね。英雄の力もわからないことですし、なにより、そちらの小さなお(じよう)さん――。この状況で(こう)(げき)の機会をうかがうような目をしているということは、なにか方策があるということでしょう」



 言葉を向けられて、マノンが応じる。



「リルを殺す前に、私があなたたちを――」


「殺す……と? それはおっかない話です。もし私が首を飛ばされたら、あなたの目を見て(まばた)きをしてあげましょう」


「どこから聞いていたの」


「伝え聞いただけですよ。あなたが人殺しはおろか、動物が絶命する瞬間にすら恐れをなしていた――と」



 もう『東半島も同じ国で、敵じゃない』と言える状態ではないな。

 いや、最初からそうだったということだ。

 俺たちはずっと、(てき)(じん)の中心で泳がされていた。



「マノン。無理はするな」



 俺は敵へ伝わらないよう、(ささや)く。



「どうしてですか」


「マノンの魔法じゃリルも()()えだろ」


「お漏らしの感覚でどうにかします」


「そりゃ頼もしい。――だが、俺たちの出番はまだ先だ」



 俺はスッと息を吸って、声を最大限にまで張った。



「サラッ、ドラゴンになれ!!」



 ゲーム世界から召喚された彼女が寝ることはない。

 後ろのテントが(はじ)ける音が聞こえ、この世界に存在しないはずの(ちよう)()(きゆう)モンスターが姿を現した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ