表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/130

サラ① とらわれ

 城に帰って、サラマンダーの『サラ』と会う。


「ご主人様?」


 …………鉄格子(てつごうし)、越しに。


「あーあー、(ひど)(あつか)いだな」

「きのこ、沢山食べた」

「そりゃ良かったな。……けど、こんな環境じゃ落ち着かないだろ」


 王が退位を表明したことで、王族の一部が反発。

 特にぶよぶよの一件とサラマンダー騒ぎは収めることが(かな)わずに、サラは地下の(ろう)へ閉じ込められることになった。

 重罪人と同じ扱いは(ひど)すぎるだろうと俺とリルは抗議をしたのだが、城を騒がせた時点で重罪とのこと。ほんと、この中世世界は嫌いだ。


「今までより、ずっとマシ」

「今まで……って、この世界に来るまでは、どうしていたんだよ」


 ゲーム内での記憶があるってことか?


「サラマンダーより、ずっと、はやい! ――――ほとんどこの言葉の中で、(わたし)は生きてきました」

「…………ごめん。もうちょっと()(くだ)いてもらえないか?」

(わたし)は人間の創作物でしたから。人々に伝承される中で生きていたのです。忘れられることが死を意味します」

「あー……。まああのゲームでサラマンダーって言うと、そのシーンばかり語られるかもなぁ」


 不憫(ふびん)すぎる生き方である。


「でも、あのゲームではドラゴンの姿しかなかったんじゃないのか?」

「はい。ですが召喚の際に、女の子の情報が沢山流入してきました……」


 心当たりがありすぎる。

 召喚には集中力と脳内イメージが重要だと知った俺たちは、(じい)さんの頭の中を精一杯かき乱したわけで。

 いっそ純粋な女の子が召喚されてしまえば――という思いだったけれど、まさかドラゴンと女の子、二つの面を持つ存在が召喚されてしまうとは。


「サラはこの環境に、不満はないのか?」

「一つもありません。きのこを頂けますし」


 困ったな……。不満たっぷりだろうから、どうにか出してやろうと思っていたのに。

 本人に不満がないのなら、このままというのも『あり』になってしまう。


「……じゃ、今度は俺がきのこを持ってきてやるよ」

「本当ですか!?」


 おっ、急に抑揚に富んだな。


「ご主人様の、大きなきのこ……っ」

「やめろ。確実に誤解を招くから、マジでやめろ」


 地下牢(ちかろう)を守る兵がゲスいものを見る目でこっちを……。この誤解はしっかり解いておきたいところだ。狭い城内で(うわさ)が広まる速度というのは恐ろしいものがあるからな。

 ――それにサラのことは、俺一人(ひとり)で抱え込むことでもないだろう。

 本人が満足していて身が無事であり続けるなら、とりあえず、急ぎではないのかもしれないし。でも――。せめて大きなきのこの一つぐらい、ちゃんと採ってこよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ