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召喚!!

 国王を探す混乱のせいか、玉座の間を守る兵がいなかった。

 まあ爺さんさえいなけりゃ、こんなのただの部屋だからな。

 とはいえ、重く大きな扉にはしっかり鍵がかかっている。


「――仕方ない、か。リル、針金みたいなもん、持ってないか」

「持ってな…………あ、いえ、その……持って……る、けれど」


 なんで口籠もる?


「貸してくれ。扉を開ける」

「針金でどうやって……」

「いいから早く貸せって! 急ぐぞ!」

「う……うん」


 なぜか躊躇(ためら)いと恥じらいをタップリ持たせた困り顔で、リルは赤面していることを隠すように後ろへ向いた。そのまま手を背中に持って行き――。


「……おい、もしかしてワイヤーって……」

「い、言っちゃダメだからね! あと、その……っ。み、見ないで……」


 おいおいおい。なんでこんな時だけめちゃくちゃ乙女チックなんだよ。それでよくネトラレとか言えたもんだな。純情すぎるだろ。


「その――っ、ハヤトくんは、そういうお店で見慣れているのかも……しれないけどっ」


 はい……。お店で見慣れてます……。プライベートじゃありません……。純情じゃなくてすみません……。

 マノンも厳しい目で見てくるし、ここは女性の胸をこよなく愛する正統派紳士として、泣く泣く後ろを向くことにしよう。


「…………はい、取れたわよ。ちゃんと後ろを向いててくれたから、助かったわ……」


 ご褒美ぃーッ!!

 ほうほう、このワイヤーがあの綺麗なバストラインを支えておったのか。ノンワイヤーブラが増えた現代日本では薄れてしまったワビサビが、まさかこの世界にあったとはのう。ただの針金なのに奥深さがあるわい。ふぉっふぉっふぉっ……。

 ――って、今そんなこと考えてる場合でもないな。


「折るぞ」

「ちょっ、折っちゃうの!? お気に入りだったのに……」

「折らないとどうしようもないんだよ!」


 叫ぶように言うと、マノンが不思議そうに(たず)ねてくる。


「何をするんですか?」

「これはある兵士から受け継いだ特技。――ピッキングだ!」


 受け継いだとだけ言えば、普通は、教わったものだと思うだろう。実際はクロシードで継承したんだけど。


「――そんな人が紛れている国軍とは一体……。だいたいハヤトさんも、なんてことを教わってるんですか? よく、それで生きて帰れましたね」

「仕方ないだろ! 前線兵に志願する人なんて大抵が訳ありなんだから! 色々教えてもらうことも生き残るためには必要だったんだよ!」


 実際にこのスキルは役立ったんだ。敵国の治める危ない市街地の中で、使われていない倉庫を開けてそこに隠れたり……。戦争行為なんて、なんでもありだ。なんでもできたほうが、確実に勝率と生存率を上げることができる。

 俺は鍵穴にそっと針金を差し込んで、指先の感覚で中の構造を探った。

 懐かしいな、この感覚。

 今も人の命がかかっている状況。その状況が生み出す独特の緊迫感――――。あの頃と、似ている。


「うわぁ……。リル、あの人ブラジャーのワイヤーでピッキングしてますよ」

「もう犯罪の臭いしかしないわね」


 あとでお前らの部屋に侵入して、ありったけのブラからワイヤー抜き取ってやろうか!?

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