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マノン④ 世界一可愛い?

 実のところ(がい)(せん)以降は城に寝泊まりさせてもらっていたから、部屋が移動しても『大きさと内装がちょっと変わったかな』というだけで、特に違和感は無く、ベッドの()(ごこ)()にも不慣れた感じはない。



「おはよう」



 だからしっかり(ねむ)れたわけだが、どうにも()()めがよくない。

 起きるとなぜか、マノンが部屋の中にいた。

 引きこもり生活を常としているらしい彼女がなんでこの部屋にいるのか、(はなは)だ疑問だ。巣はここじゃないぞ。



「なんでここにいる?」


「…………私、こう見えて(さみ)しがり()なんですよ?」



 うわー、真意が読めないけど()(さん)(くせ)えー。

 でも否定してガチだったら悪すぎるしな……。

 七つも年下なわけで、そういや(ねん)(れい)をまだ聞いていないけれどまあ二つぐらいしか違わなさそうなリルに比べると、本音が()(づら)い相手だ。



「マノンって、引きこもってたんだよな。家族とはちゃんと会ってたのか?」


「両親は共働きなので家にいないことも多いのですが、まあ、必要に応じて」


「ふーん……」



 まあ、大抵の引きこもりは、そんな感じだろうな。

 特にこの国は、日本より共働き家庭が多いし。



「そうしなければ生活できない部分もありますから。……ご飯が出てこなくなったり」


「ネコみたいな(やつ)だな」


「ネコ?」



 そういやこの世界は、ネコ科っぽい獣はいてもネコそのものってのがいないな。



「俺のいた世界の動物だよ。(あい)(がん)動物……要するにペットだな。俺も飼ってたんだが、メシの時だけ飼い主に(なつ)く現金な奴でな」


「そんな性格で飼われるなんて、理解し(がた)いです。…………しかし、(えさ)の時だけ懐いて、飼われる……ですか。私はそういう存在になりたい」



 こいつ欲望を(かく)す気ないな。



「マノンなら本当になっちまいそうで怖いよ」


「どうしてそんな存在を飼っていたのですか? それなら私も飼ってくれますか?」



 十四歳の少女を連れ帰って、あまつさえ『飼う』とか言い出したら(うで)に鉄の輪っかが()められるっての。俺が三食付きになるわ。(おり)の中で。



「いた……っていうか、日本に帰りゃ多分まだ生きてるとは思うんだが……。んー、やっぱり飼うのは『可愛いから』じゃないか」


「そっ、そんなに可愛いですか!?」



 急にグッと顔を近付けられる。



「ああ。可愛いね」


「餌の時だけ(なつ)いても許されるぐらいに!?」


「ああ。そりゃもう、世界一可愛いさ」


「そっ、そうですか――」



 ん? なんだか好感度がグググイッと上がってるぞ。(ほお)も赤いし。



「…………」



 その上、目を()せて(だま)りこくってしまった。


 ――こうして見ると、ただの(いたい)()な女の子だな。


 多分、ネコのことを世界一可愛いと言ったことを(かん)(ちが)いしたか都合のいいように(とら)えたかで、自分のことを可愛いと言われたように感じているのだろう。『ネコみたいな奴』って言っちゃったし。

 引きこもっていると社会性が育たないから、勘違いを引き起こしやすい。

 (だま)すようで悪いけれど、まあ、(おも)(しろ)いからそのままにしておこう。



「私、もっとネコを目指します!」


「おう。(がん)()れ」



 (いのち)()けで異世界(こう)(りやく)した(ほう)(しゆう)にペットを連れ帰る――か。

 無いな。

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